日本産クロマダラソテツシジミ(Luthrodes pandava pandava
の後翅裏面における斑紋変異についての統計解析

杉坂 美典
〒444-0915  愛知県岡崎市日名南町18―1, SUGISAKA, Yoshinori

1. はじめに
 
 クロマダラソテツシジミ(Luthrodes pandava pandava)は,日本本土の関東以西に飛来するようになった.
本種は,以前は,台湾にいるコウシュンルリシジミ Chilades 属 と同じ属に分類されていたが,最近の研究(2023年)では, Luthrodes 属に変更され,遺伝子解析によって,日本本土で見られる個体は,名義タイプ亜種で,八重山諸島に生息する個体は,台湾亜種であることが判明した.なお,台湾には,台湾亜種が分布するが,台湾の西部には,名義タイプ亜種が生息するようになったという報告がある.
 ・Luthrodes pandava pandava (Horsfield, [1829])
                     名義タイプ亜種
 ・Luthrodes pandava peripatria (Hsu, 1989)
                     台湾亜種
 日本産の蝶類の中で,本種のように発生が連続して繰り返され,斑紋が発生時期によって大きく変化する種は他に例を見ない.そして,本種には,蛹の時の温度によって季節型が生じるが,ツマグロキチョウやキタテハの夏型,秋型のように,明確に違いが線引きできる季節型があるわけではない.個体変異はあるが,発生の後期にかけて斑紋は大きく変化していく.そこで,日本本土に生息する名義タイプ亜種について,斑紋の変異がどのように移り変わっていくのか,統計的に解析をしてみることにした.

(続く)





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