平成25年の台湾,沖縄本島,石垣島,西表島,奄美大島,北海道における蝶の写真撮影・採集旅行

杉坂 美典

1 はじめに

.......
 今から38年前の3月,私と妻は新婚旅行として,約1か月間,台湾・沖縄本島へ蝶の採集旅行に出かけた。初めの2週間の台湾には,友人の浅岡孝知氏,金田吉高氏も一緒で,4人で旅行に出かけたという不思議な旅であったが・・・。
 そして,私は退職を機に,再度,私は妻と一緒に,平成25年4月は約1か月間の日程で,台湾,沖縄本島,石垣島,西表島,奄美大島,7月は2週間の日程で,北海道に出かけた。
 旅行中,いろいろなハプニングがあったが,最も驚かされたのは,この38年間に自然環境や社会情勢が大きく変わっていたことである。そこで,今後,同地へ行かれる方たちのための参考になればと思い,この旅行記を書くことにした。

2 蝶の写真撮影・採集旅行の日程

  ・台湾    4月 1日〜11日
  ・沖縄本島  4月13日〜16日
  ・石垣島   4月16日〜18日
  ・西表島   4月18日〜20日
  ・奄美大島  4月22日〜26日
  ・北海道   7月14日〜27日

台湾 墾丁国家公園 にて

3 台湾

 (1)自宅から台湾最南端の墾丁国家公園へ (4月1日)
.........
 中部国際空港(セントレア)から台湾の台北国際空港(桃園空港)へは,何の心配もなく着くことができた。しかし,ここから墾丁(ケンティン)では,自分たちで切符を手に入れ,乗り物に乗っていかなくてはならなかった。
 まず,空港から新幹線の桃園(トウウェン)駅への移動をどうするかである。簡単なのは,タクシーで行くことである。そこで,私が,駅にいた案内係の女性に,たどたどしい中国語で尋ねると,桃園ヘはタクシーでなく,バスで行くことを勧められた。どうしようかと迷ったが,言われた通りにバス停へ行った。すると,空港から桃園駅までは,かなりの距離があり,やはりバスの方が安くてよかった。
 新幹線の切符は,自動販売機でも買えたが,不安だったので,駅の窓口で簡単に買うことができた。新幹線は,日本の新幹線と同様で,快適な旅であった。しかし,新幹線は,高雄(コウシュン)までは開通しておらず,隣りの左営(ゾウウン)までであった。そこで,左営から高雄までタクシーで移動し,高雄から恒春(ヘンツン)まで電車で行き,恒春から墾丁まではタクシーで行くことにしていたのであったが,乗り換えが不安だったので,左営から墾丁の墾丁凱撒大飯店までタクシーで行くことにした。高速道路(無料)を飛ばして,2時間半ほどかかったが,料金はとても安く,日本円に換算すると8000円くらいで安かった。
 墾丁凱撒大飯店は,墾丁国家公園のすぐ近くにあり,素晴らしいホテルであった。料金も比較的安く,設備は最高であった。フロントに日本語が分かる人がいて,とても助かった。そして,ここを基地として,主に墾丁国家公園での写真撮影を行った。

 (2)墾丁国家公園での写真撮影 (4月2日〜4日)
.........
 墾丁凱撒大飯店から墾丁国家公園までは,ホテルが用意してくれたタクシーを使った。ホテルのフロントに,ホテルに来る時間(8:00)と公園の門の前に迎えに来る時間(15:00)を指定してお願いした。料金は,往復で200元(約600円)であった。
 38年前の墾丁国家公園は,観光客がとても多く,門前の十数軒あった店は,非常に繁盛していた。その当時,私は,大学時代の4年間,毎春,墾丁国家公園を訪れ,公園のガイドをしていた林さんの宿舎に泊めてもらっていた。昼食は,その門前の飲食店や観海楼という展望台の最上階にあるレストランを使っていた。しかし,今は,観光客もほとんどおらず,店は飲食店1軒とお土産屋1軒が開いているのみで,後の店はつぶれていた。林さんは,台北に移住されており,公園のガイドさんは1人もいなかった。ただ,公園内で働いている人たちのための宿舎は,昔のままの形で残っていた。
 墾丁国家公園には,たくさんの植物が自然に生えていたり,栽培されていたりして,昔ながらのジャングルも残っており,自然が豊かな公園である。38年前は,その公園からさらに奥地のジャングルに続く道がたくさんあり,そのジャングルには,いくつかのランタナのお花畑があり,たくさんの蝶が訪れていた。しかし,今は,公園のガイドがいないため,公園全体をフェンスで取り囲み,公園からジャングルへ続く道は全てふさがれでいた。フェンスの隙間からジャングルへ続くけもの道を見つけても,すぐに道は,ジャッグルと同化し,人が通れるような状態ではなかった。
 そして,3日間,公園内の道を1日2万〜3万歩,毒蛇に備えて磯スパイクで歩くのは大変であったが,天候にも恵まれ,約1000枚の蝶の写真が撮影できた。また,約60種類の蝶の写真を撮影することができ,予定していた蝶の写真東南アジアの蝶参照は,ほとんど撮ることができたしかし,ツマベニチョウは,たくさん飛んでいるにもかかわらず,花に止まることがなかったので,撮ることができなかった。また,キシタアゲハは,発生期が終わっており,見ることができなかった。なお,墾丁国家公園内は,昆虫採集禁止となっており,38年前は,公園外の奥地のジャングルで採集を行った。来年の3月には,再度,訪問し,キシタアゲハを撮影する予定である。

ガジュマルの木の前で

墾丁国家公園内の通路

ジャングルへの入口

 (3)墾丁から台湾中部にある埔里への移動 (4月5日)
.........
 墾丁凱撒大飯店からは,左営まで,無料の送迎バスが出ていることが分かり,時間的に余裕があったので,その送迎バスを使うことにした。そして,左営から台中(タイチュン)までは,新幹線を使い,埔里までは,タクシーを使った。ところが,予約してあったホテル(Shui Cai Tian Guesthouse)の場所がよく分からず,タクシーの運転手が献身的に動いてくれ,なんとか夕方までには,埔里のホテルに着くことができた。ホテル(Shui Cai Tian Guesthouse)は,埔里の中央部にあり,ホテルの1階がコンビニになっていたので,とても助かった。食事は付いていないので,町での外食となったが,いろいろな屋台や飲食店があり,とても楽しかった。 

 (4)埔里の南山渓での写真撮影 (4月6日〜8日)
.........
 埔里に来た目的は,蝶の宝庫である南山渓に行くことであった。埔里から南山渓までは,タクシーで約40分である。やはり,墾丁と同じように,タクシーには,朝8時にホテルへ迎えに来てもらい,谷の入口で下車し,午後3時に谷の入口に迎えに来てくれるようにした。後は川沿いの道を歩きながら写真撮影をした。そして,毎日,同じタクシーを使い,同じ場所の南山渓に行くので,運転手とは仲良しになったが,日本語が話せず,中国語では会話が半分くらいしか分からなかったので,なかなか大変であった。
 結局,南山渓の天候は,3日間とも曇りであったが,それなりに蝶が姿を現し,少しでも晴れたときには,驚くほどの数の蝶が花に飛来していた。しかし,渓谷にあった有名な滝は,地震よって水の流れが変わったことによって水が全くなくなり,度重なる豪雨によって南山渓の地形は大きく変わっていた。そして,以前は大勢いた観光客は,全く姿を見せず,現地の蝶の採集人もいなくなっていた。それは,以前には埔里にたくさんあった標本商は,時代の変化によって姿を消したため,たくさんいた蝶の採集人もいなくなったからである。
 南山渓の3日間では,約800枚の蝶の写真が撮影できた。また,約50種類の蝶の写真東南アジアの蝶参照を撮影することができた。 

滝があった山の斜面

ミツボシフタオツバメ

たくさんの蝶が飛来する南山渓の奥地

 (5)埔里から台北への移動 (4月9日)
.........
 10日に陽明山へ行く計画で,埔里から台北へ移動した。埔里で滞在中に,埔里のバスターミナルから台北行きの直通便があることがわかり,それを利用することにした。移動中は,景色を十分に楽しみ,無事,台北駅へ着くことができた。台北駅から台北凱撒大飯店までは,歩いて数分であった。この日は,台北の下町を探索した。

 (6)陽明山での写真撮影 (4月10日)
.........
 天候は曇で,撮影にはあまり適さない日であったが,1日しか日程を組んでいなかったので出かけることにした。ホテルでタクシーを頼み,陽明山へ向った。陽明山は,自然が豊かで,晴れていたら,多くの蝶が見られる感じであった。しかし,しっかりと曇っていたので,なかなか蝶は姿を現さなかったが,十数種類の撮影をすることができた。帰りは,観光地であるのでタクシー乗り場があり,簡単にホテルまで帰ることができた。

 (7)台北から自宅への移動 (4月11日)
.........
 台北から桃園空港までは,台北駅前から直通バスがあり,それを利用した。桃園空港からは,飛行機の出発が遅れたため,深夜に帰宅することになったが,無事,帰ることができた。

4 沖縄本島・石垣島・西表島

 (1)自宅から沖縄本島の名護市への移動 (4月13日)
.........
 中部国際空港から沖縄の那覇空港までは,すんなりと移動することができた。そして,名護市までは,高速バスで移動した。ホテルは,石垣島へ移動しやすく,採集地である名護岳にも近いルートイン名護が予約してあり,バス停からは,徒歩でホテルへ入ることができた。その日は,まだ時間があったので,港近くの草地に行ってみると,イシガケチョウを数頭,見ることができた。

 (2)名護岳での写真撮影と採集 (4月15日)
.........
 14日は,雨だったので,美ら海水族館を見学した。そして,15日は晴れになったので,いよいよ名護岳に登ることにした。
 38年前は,名護岳へ続く道は舗装されておらず,自然が豊富で,オキナワカラスアゲハも川沿いで見ることができた。フタオチョウも登山口の近くにあった畑で見ることもできた。しかし,川沿いの道は舗装され,その周辺は宅地化され,昔の面影は全くなかった。
 ところが,登山口に差し掛かった時,私は目を疑った。道の横の斜面には,たくさんの蝶が乱舞していたのである。ナミエシロチョウ,ナガサキアゲハ,テングチョウなどの写真を撮ることができた。

ナミエシロチョウ

ナガサキアゲハ

テングチョウ

 山頂近くには,立派な公園があった。花壇では,特産種のオキナワカラスアゲハが吸蜜していた。オオゴマダラも林間をフワフワと飛んでおり,イシガケチョウも花畑に乱舞していた。

オキナワカラスアゲハ

オオゴマダラ

イシガケチョウ

 (3)名護市から石垣島の石垣市への移動 (4月16日)
.........
 名護市から那覇市までは高速バスで移動し,那覇空港から新石垣空港までは飛行機で移動した。しかし,新石垣空港が石垣市街からかなり離れており,タクシーで移動するしかなく,若干不便であった。

 (4)バンナ岳での写真撮影と採集 (4月17日)
.........
 ホテルからタクシーでバンナ岳へ出かけた。山頂近くの公園で下してもらったが,38年前とはやはり大きく違っていて,きれいに整備された公園になっていた。そこで,公園の周辺を探索していると,全く開発されていないジャングルに入っていく林道を見つけた。ハブが心配であったが,その対策として,磯靴のブーツを履いていたので思い切って入ってみた。すると,最初に姿を現したのは,特産種のマサキウラナミジャノメだった。さらに,特産種のヤエヤマウラナミジャノメもいて,これらの蝶が次々と姿を現し,最高に楽しい時間を過ごすことができた。
 ジャングルから出て,公園に戻ったときは,昼を過ぎていた。そこで,持って行った弁当を展望台でとり,下山することにした。帰りのタクシーは頼んでなかったので,途中で拾えばいいと考えていた。しかし,これが甘かった。町の方向へ歩けど歩けどタクシーはやってこない。例えやって来たとしても,観光客を乗せており,タクシーを使って観光地を周遊しているため,拾えないことがわかった。絶望的であった。ひたすら歩き続けた。すると,空のタクシーが後ろからやってきて止まってくれた。それは,そのタクシーが観光客を乗せて走っているときに私たちを見つけ,乗りたそうだったことに気づき,乗せていた客を降ろしてから,わざわざ戻ってきてくれたのだそうである。本当にうれしいの一言であった。きちんと足を確保しておくことの大切さを実感した1日となった。

マサキウラナミジャノメ

オオゴマダラ

タイワンクロボシシジミ

 (5)石垣市から西表島の上原への移動 (4月18日)
.........
 石垣港からは,高速艇で上原へ移動した。宿泊した上原館は,西表島の北部で採集するためには,調度よい場所であった。宿の周辺では,ヤエヤマカラスアゲハやツマベニチョウが飛んでおり,なかなか止まらないので撮影はできなかったが,好ポイントが多く,ジャコウアゲハやベニモンアゲハの発生期であったので,新鮮な個体が多かった。

 (6)カンピレーの滝での写真撮影と採集 (4月19日)
.........
 40年前は,カンピレーの滝で採集をするため,宿があった干立から漁船をチャーターし,浦内川のできるだけ奥地まで行き,そこからジャングルの中を歩いて,滝まで行った。滝の周辺は,クチナシがたくさん生えていて,その実に入っているイワカワシジミの幼虫を探し,10頭近くを自宅で飼育したことがあった。
 今回は,浦内川の船着場まで,宿の前からバスで行き,そこからは,観光船に乗って,奥地まで行き,整備された遊歩道を通ってカンピレーの滝まで行くことができた。その行程では,ほとんど蝶を見ることがなく,残念であったが,船着場周辺では,リュウキュウヒメジャノメやアマミウラナミシジミを撮影することができた。
 帰りは,バスを使わず,宿まで歩くことにした。道沿いでは,タイワンキマダラやスジグロカバマダラ,クロアゲハなどを撮影することができた。

リュウキュウヒメジャノメ

タイワンキマダラ

ツマベニチョウ

 (7)西表島の上原から自宅への移動 (4月20日)
.........
 上原から自宅までは,石垣島を経由し,沖縄本島へ行き,そこから中部国際空港へ戻った。乗り継ぎがうまくいったので,午後8時頃には自宅に着くことができた。

5 奄美大島

 (1)自宅から奄美大島の奄美市への移動と奄美市での写真撮影 (4月22日)
.........
 中部国際空港から奄美大島へは,鹿児島空港で一度降り,飛行機を乗り換える必要がある。そして,昼過ぎには奄美空港に着き,空港からはバスを使って奄美市に着くことができた。そこで,夕食までは,かなり時間があったので,町の北にある「あかざき公園」という公園がある山があり,そこへ行ってみることにした。モンキアゲハ,アマミウラナミシジミ,リュウキュウミスジなどを撮影することができた。

モンキアゲハ

アマミウラナミシジミ ♀

リュウキュウミスジ

 (2)レンタカーで奄美大島一周の写真撮影 (4月25日)
.........
 23日,24日は,釣りに出かけ,25日は,レンタカーを借りて,島内を一周し,各地で写真を撮影した。瀬戸内町では,念願のヒメシルビアシジミを撮影することができた。道路脇の明るい草地に多産していた。オキナワカラスアゲハの奄美亜種の写真も撮ることができた。

ヒメシルビアシジミ ♂

オキナワカラスアゲハ ♂

テングチョウ

 (3)奄美市から自宅への移動 (4月26日)
.........
 奄美市から奄美空港へは,やはりバスを使い,鹿児島空港経由で中部国際空港へ戻り,夕方には自宅に着くことができた。約1ヶ月間の遠征であったが,毎日がとても充実し,生きていることの楽しさを体感した日々であった。来年は,3月に再び,遠征を行う予定である。

6 北海道

 (1)自宅から北海道層雲峡への移動 (7月14日・15日)
.........
 北海道へは,北海道内での移動を容易にするため,新日本海フェリーを使い,マイカーで行くことにした。14日の夕方,自宅を出発し,敦賀へ向かった。そして,深夜10時にはフェリー乗り場に着くことができた。フェリーは時間通りに出発し,18時間の長旅が始まった。フェリー内は快適で,映画,大浴場,レストランなどを楽しむことができた。15日の午後8時には,東苫小牧港に着き,そのまま層雲峡に向った。

 (2)層雲峡と銀泉台への渓谷での写真撮影と採集 (7月16日)
.........
 層雲峡の手前には,林間をめぐる自転車道があったり,小さな草原があったりし,その都度,車を止めて蝶を探した。驚いたことに,カラフトセセリが発生している草原があった。その後,黒化するオオイチモンジが出現することで有名な銀泉台へ出かけた。9時頃に渓谷に着くと,すでに数名の採集者がオオイチモンジを狙ってポイントに陣取っていた。私は,その人たちから情報を教えてもらい,車でさらに奥地でへ向かった。そして,渓谷から少し離れ,ドロノキの群生地を抜けた辺りをゆっくりと走っていると,道横の石にオオイチモンジが止まっているのを見つけた。急いで車を止め,その石まで歩いて戻ってみると,石の上には獣糞があり,それにオオイチモンジが止まっていたことがわかった。近づいても飛ばないので,ゆっくりと撮影することができた。その後は,銀泉台の大雪山への登山口まで行き,エゾシロチョウ,ホソバヒョウモンなどの写真を撮ることができた。その後は,下流の渓谷まで戻り,ミヤマカラスアゲハやギンボシヒョウモンなどの写真を撮ることができた。午後3時には,層雲峡のホテルに向かった。

カラフトセセリ

オオイチモンジ ♂

エゾシロチョウ ♂

 (3)銀泉台への渓谷での写真撮影と採集 (7月17日)
.........
 まずは,銀泉台に向かった。すでに,入り口付近のポイントには何人かの採集者がいた。そこで,昨日,オオイチモンジを見つけた場所へ行こうと少し車を走らせると,道の真ん中にオオイチモンジが止まっているではないか。しかも,数頭が集まっていた。急いで車を止め,近寄ってみると,やはり獣糞に集まっていた。そこで,その場で狙っていると,計8頭の写真を撮ることができた。

オオイチモンジ ♂

クジャクチョウ

ホソバヒョウモン

 (4)大雪山・旭岳での写真撮影 (7月18日)
.........
 天候が悪く,曇りであったが,大雪山ロープウェイを使って,旭岳へ登った。しかし,山はガスに囲まれ,蝶は何もいない状況であった。リフトに乗っているとき,カラフトタカネキマダラセセリを見つけたが,写真撮影することはできなかった。下山し,山麓で,シータテハ,エゾスジグロシロチョウ,斑紋が白化したヒメウラナミジャノメを撮影することができた。

真夏なのに雪がある旭岳


シータテハ

エゾスジグロシロチョウ ♂

ヒメウラナミジャノメ ♀

 (5)大雪高原温泉での写真撮影と採集 (7月19日)
.........
 大雪山の南麓にあたる大雪高原温泉への林道を探索した。銀泉台へのルートのように,たくさんの蝶がいるわけではなかったが,コヒオドシやヒメウスバシロチョウの写真を撮ることができた。午後は,銀泉台の入口付近に立ち寄ったところ,何と,カラフトタカネキマダラセセリの写真を撮ることができた。さらに,石狩川沿いの林道を探索すると,シロオビヒメヒカゲのを撮影することができた。

ヒメウスバシロチョウ

カラフトタカネキマダラセセリ

シロオビヒメヒカゲ

 (6)石狩川沿いの自転車道での写真撮影と採集 (7月20日)
.........
 石狩川沿いに自転車道があるのを見つけ,その道沿いに歩きながら撮影をした。キバネセセリが群生する場所があったり,コムラサキが何十頭も川沿いの砂地に集まっていたりして,楽しい撮影ができた。コヒオドシも時々姿を現し,カラスシジミも出現した。午後3時頃には,ウラゴマダラシジミやミドリシジミが乱舞し,美しい姿を撮影することができた。

キバネセセリ

コヒオドシ

ミドリシジミ ♂

 (7)層雲峡から阿寒湖への移動と足寄町での写真撮影と採集 (7月21日)
.........
 層雲峡から阿寒湖へ移動するため,名残惜しい大雪山を後にした。途中,足寄町の川沿いに絶好のポイントを見つけ立ち寄ってみると,カバイロシジミ,カラスシジミ,エゾヒメシロチョウ,白帯の発達したフタスジチョウなどを撮影することができた。

カラスシジミ ♀

エゾヒメシロチョウ ♂

フタスジチョウ

 (8)オンネトー・鶴居峠での写真撮影と採集 (7月22日)
.........
 雌阿寒岳の麓にあるオンネトーへ出かけた。湖の水辺ではオオイチモンジを撮影することができ,林道沿いには,エゾミドリシジミが多産していた。雄阿寒岳東部の鶴居峠に行ってみると,カラフトセセリ,ウラジャノメ,ヒメキマダラヒカゲを撮影することができた。

オオイチモンジ ♂

カラフトセセリ

ウラジャノメ

 (9)摩周湖,屈斜路湖での写真撮影と採集 (7月23日)
.........
 観光を兼ねて,摩周湖と屈斜路湖へ出かけた。摩周湖では,展望台でオオイチモンジが飛んでいるのを見つけたが,撮影することができなかった。屈斜路湖周辺では,普通種が多く,あまり撮影ができなかった。

摩周湖

(10)陸別町の足寄川沿いの林道での写真撮影と採集 (7月24日)
.........
 足寄川沿いに林道があるのを見つけ,行ってみることにした。エゾヒメシロチョウ,オオヒカゲ,ゴマダラシジミが姿を現し,山間の水がわき出ている場所では,エゾスジグロシロチョウが大集団を作っていたり,獣糞にはコムラサキが群がっていたりして,楽しい撮影をすることができた。

オオヒカゲ

ゴマダラシジミ

 エゾスジグロシロチョウ ♂

(11)知床半島での写真撮影と採集 (7月25日)
.........
 一日中,くもり時々雨の予報であったので,観光を兼ねて,知床半島へ出かけた。知床半島の横断道の途中にある無料の温泉は,湯加減,雰囲気とも最高であった。帰りには天候が回復し,きれいな斜里岳を見ることができた。

斜里岳

(12)自宅への移動 (7月26日・27日)
.........
 阿寒湖のホテルを出発し,東苫小牧港へ向かった。途中,足寄町のポイントにより,オオヒカゲを撮影することができた。フェリーは,23時30分の出発で,敦賀には,27日の20時30分に到着した。自宅に着いたのは,夜の10時30分であった。2週間の長旅であったが,マイカーで移動することができ,北海道の素晴らしさを満喫する旅となった。




「蝶の生態写真集」
「蝶の研究」
杉坂美典」のトップページ
E−mail