クロヒカゲ (タテハチョウ科)

 クロヒカゲは,黒っぽい日陰に棲むチョウという特徴からこの名前が付いています。
大きさは,翅の端から端までが6cm程の中型のチョウで,モンシロチョウと同じような大きさです。翅の表側に
は,斑紋はほとんどありませんが,翅の裏側には,眼状紋があり,その縁を紫色の輪が囲んでいます。前翅の裏側
の先端付近には,灰白帯があり,飛んできるときには,よく目立ちます。
 非常に素早く飛びますが,すぐに止まる性質があります。止まると,翅をわずかに開いたり閉じたりし,素早く
体の向きを換えて,辺りを警戒するような仕草をすることがあります。花に集まることはほとんどなく,クヌギや
ヤナギの樹液,動物の死体や糞などに集まります。幼虫は,メダケ,アズマネザサなどのイネ科のメダケ属,ササ
属を食べます。
 雑木林や山間の林道の周辺に棲んでいますが,平野部や平野部に近い丘陵地にはいません。日中は,日陰でじっ
としていることが多く,夕方になると盛んに飛び回り,他のチョウを追いまわしたりして,気性の荒いチョウです。
岡崎市では東北部の丘陵地の限られた場所で見ることができます。6月の上旬から10月上旬にかけて見られます。
 よく似たチョウに,ヒカゲチョウがいます。大きさも斑紋もよく似ていますが,ヒカゲチョウは,翅の色が明る
い褐色で,クロヒカゲは,黒褐色なので見分けることができます。ヒカゲチョウは,丘陵地から山地にかけて広く
分布していますが,クロヒカゲは,限られた山地にしか生息していません。



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