ツマグロヒョウモンは,日本にいる10数種類いるヒョウモンチョウ類の1つです。アフリカにいる大型肉食獣 であるヒョウの模様のように,橙色の翅に黒い斑紋がたくさん散らばっています。ツマグロヒョウモンは,雌の前 翅の先端部分(ツマ)に黒紫の斑紋が大きく広がっており,この名前がついています。また,雄も雌も後翅の縁の 部分に,黒紫の斑紋が広がっています。 大きさは,翅の端から端までが7cm程の中型のチョウです。5月の中旬から12月の上旬にかけて見られます。 いろいろな花に集まりますが,キク科の花が好きで,特にマリーゴードにはよく集まります。ふわりふわりと飛ぶ ので,観察はしやすい蝶です。 この蝶は,南方系の蝶で,主に,沖縄や九州,紀伊半島の南部に数多く見られます。今から20年程前は,知多 半島や石巻山周辺でまれに見られる程度で,愛知県ではとても珍しい蝶でした。しかし,日本がだんだんと温暖化 し,東海地方でも冬の最低気温があまり下がらなくなりました。そこで,分布をだんだんと北上し,ついに,愛知 県でも幼虫が冬を越すことができるようになり,今では,最も普通に見られる蝶になりました。食草は,スミレ科 の植物で,ビオラや三色スミレなどがよく栽培されるようになったのも普通に見られるようになった原因の1つで す。 よく似た蝶には,ミドリヒョウモンがいます。この蝶も,最近は,平野部でも見られるようになっていますので, 見分けがつきにくいですが,本種は,翅の縁が黒紫になっていることと裏側の斑紋の違いで見分けることができま す。 |