『 第12回 台湾撮影旅行記 』

2016年4月16日〜5月9日

 ・・・・・ 春のチョウたちの舞いを眺めに ・・・・・

杉 坂 美 典....................................
 プロローグ
 今回の撮影旅行は、前半は、台北を拠点とし、モクセイアゲハ、アサクラアゲハ、カバシタアゲハを撮影したいと考え、後半は、高雄市の宝来に行き、この周辺で記録されているツバメシジミ、ハマヤマトシジミを狙い、さらに3月に確認できたベニモンシロチョウが次の発生期に当たっているので狙いたいと思う。そして、中部山岳の埔里では、ホッポアゲハを撮影したいと考えている。さて、どのような旅になるのであろうか。

● 4月16日  曇り後晴れ
 午前11時40分、桃園国際空港に着くことができた。しかし、入境に時間がかかり、台北行きのバスに乗れたのは、午後12時30分であった。そのバスもたいへん混んでいたが、料金が125元で、本当に安い。
 午後2時からは、台北市立動物園虫虫探索谷に行った。幸運にも、ムラサキイチモンジを撮影することができた。午後5時に動物園を出るまで、670枚の撮影をすることができた。
 明日は、天気が良さそうなので、烏来の福山村へ行き、モクセイアゲハを狙うつもりである。

● 4月17日  晴れ時々曇り
 午前7時30分、日本にいたときに連絡があった帯広市の西島暢博氏と合流し、烏来の福山村へ一緒にモクセイアゲハを探しに行くことになった。高速鉄道MRTで新店まで行き、そこからはバスを使って行くことにした。道中は、虫談議に夢中で、楽しく、いつの間にか、福山村に着いてしまった。途中、電車やバスで使える電子切符EasyCardの買い方、使い方を西島氏より教えてもらい、これからは、バス、電車で小銭を使わなくてもよくなるので、とても助かった。
 福山村では、先回の3月に来た時にポイントをチェックしていたので、早速、そこへ行ってみた。途中、ツシマウラボシシジミを見つけ、撮影することができた。ポイントに着いてみると、カバシタアゲハやミカドアゲハ、アオスジアゲハの吸水群があり、待望のカバシタアゲハの写真を十枚近く、撮ることができた。しかし、アサクラアゲハかモクセイアゲハか分からない個体が1頭、目の前を飛んで行っただけで、1時間ほど粘ったが、撮影することはできなかった。そこで、少し戻って対岸に渡って、他の蝶の撮影をしたが、大したものは撮影できなかった。午後は、再度、アサクラアゲハのポイントに戻ったが、曇っていて、アゲハ類はアオスジアゲハ以外はいなかった。午後2時まで周辺を探索したが、大したものは撮影できなかった。明日は、小雨模様なので、陽明山へ行き、午後は、写真の整理をする予定である。

● 4月18日  雨
 雨であったが、陽明山へ下見に出かけた。終点から陽明山を周回するバスの起点となるバス停は、バスが待機している陽明山総站の中にあり、周遊バスは、20分間隔くらいで出ていることが分かった。
 台北へ帰ってから、バタフライトラップの餌作りをした。パイン、バナナ、マンゴウを粉砕し、ビールを入れた。うまく発酵してくれるとありがたい。
 明日からは、数日間、曇りか晴れの日が続くので、烏来の福山村を探索したいと思う。

● 4月19日  曇りのち晴れ
 台北は晴れていたので、新店までMRTで行き、バスで烏来へいった。烏来の福山村へは、烏来からタクシーで向かった。馬家という食事ができる場所で降り、午後3時に迎えに来るように頼んだ。片道600元である。そこからは、胡蝶公園の渓流沿いのポイントまで、20分間、歩いていった。しかし、天気予報通り、曇っていて、胡蝶公園の渓流沿いのポイントには何もいなかった。そこで、トラップを仕掛けた後、かなり下流になるが南勢渓に歩いて向かった。
 南勢渓の分岐点の福山第一橋まで、歩いて30分の行程である。ここからは、ひたすら登りとなるため、覚悟を決めて歩いた。しばらく進むと、渓流の工事をしている場所に着いた。しかし、何もいない。さらに、渓流が2か所連続して流れている場所も工事をしていた。何もいないので、さらに先に進んだ。すると、前方にこれまでの蝶類とは全く違う飛び方をしている何かが現れた。急いで近寄ると、何と、クビワチョウであった。運よく、長く伸びた草に止まってくれた。よい写真を撮ることができた。気をよくしてさらに進むと、今度は、カバシタアゲハのような小型のチョウが現れた。しかも吸蜜している。急いで近寄ると、キボシアゲハであった。人を恐れる様子もなく、花から花へ飛び回っている、たくさんの写真を撮ることができた。
 南勢渓への入口は、福山第一橋から歩いて1時間の場所であった。下りかかなりきつく、足元に気を付けながら下った。しばらく行くと、道が二股に分かれていた。グーグルマップでは、渓流沿いの1本道であったので、まずは、渓流沿いに進んだ。30分ほど下ったところで、ついに沢に出た。南勢渓の支流である。モクセイアゲハのポイントで、確かに感じは良い。しかし、ヒメフタオチョウが飛んでいたが、他の蝶はいなかった。渓流の斜度がきつく、あまり動けなったが、次回来る機会があれば、ポイントは把握することができた。そこで、先ほどの二股に分かれている場所に戻った。すると、案内板があり、下りの道は、何と、先程、通った福山第一橋まで続いていることが分かった。行程は、1時間ほどである。崖沿いに作ってある道なので、足場は悪い。滑落すると、渓谷へ真っ逆さまである。気を付けて歩いて行った。この道は、最近、人が歩いている気配がなく、それなりに整備されているが、ところどころ、崩れている場所があった。本当に橋まで着くのか、不安がよぎった。しかし、コジャノメ、ツシマウラボシシジミ、ニセアオバセセリなどが顔を出し、ワクワク感いっぱいで歩くことができた。50分ほど進んだろうか。突然、道が全くなくなり、崖崩れで山が崩壊している場所に出くわした。やっぱり、予感は当たったのである。崖は、眼下数百メートルまで落下していた。下を見ていると、足がすくんだ。ひょっとして、今立っている場所も崩れるかもしれないと思えた。さっそく、来た道を引き返すことにした。登りなので、かなりきつかった。大きな道路に出るまで、約1時間は、本当に辛い時間であった。そこからは、下りの道が橋まで続くので、ひたすら歩いた。そして、若干時間があったので、最初の胡蝶公園の渓流沿いのポイントまで行ってみた。しかし、何もいなかった。
 今日一日で歩いた歩数は、30,000歩であった。ちょっと無理をしすぎて、左の足の甲を痛めてしまった。すでに右ひざの痛めていたので、これからがちょっと不安である。
 明日は、再度、胡蝶公園を攻めてみたいと思う。

● 4月20日  晴れ
 今日は、絶好の撮影日和となった。これでだめなら終わりであると覚悟を決め、烏来の福山村へ向かった。馬家に午後3時に迎えに来るように告げ、今回は、足が悪いので、そこから1200m先にある胡蝶公園の裏の入口までタクシーで行ってもらった。そこは、フェンスがあるが、簡単に開くし、空いていることも多い場所である。そこからは、100mも行けば、胡蝶公園である。
 ポイントへ、期待と不安を抱きながら歩を進めた。着いた。小さな小川を超え、トラップをのぞくと、カバシタアゲハ2頭、ミカドアゲハ十数頭、アオスジアゲハ数頭が吸水に来たていた。しかし、モクセイアゲハやアサクラアゲハの姿は見えない。数十枚の撮影をした。すると、アオスジアゲハを追いかけている白いアゲハが現れた。アサクラアゲハである。そして、トラップに止まった。夢中で撮影した。さらに、もう1頭が給水に現れた。最高である。そこで、他のトラップを見に行った。ビール、パイン、バナナのトラップには、何も来ていなかった。しかし、小便トラップには、アサクラアゲハやミカドアゲハがたくさん集まっていた。しかし、モクセイアゲハはいなかった。たくさんの写真を撮影することができた。

 ところが、10時を過ぎると、カバシタアゲハが姿を消した。そして、10時30分には、アサクラアゲハも一斉に姿を消した。吸水に来ていたのですべて♂なので、♀を探しに、稜線や山頂に向かったのであろう。これは、日本のギフチョウと同じ行動と思われる。
 そこで、もう少し上流にある川に入って渡る必要がある場所へ行くことにした。膝まで濡れたが、対岸に渡ることができた。しかし、何もいなかった。
 馬家から対岸に渡る橋があるので、それを渡り、渓谷の崖沿いにある道を探索することにした。かなりきつい道であったが、ツシマウラボシシジミを見ることができた。Sの道の到達地点は、何と、胡蝶公園の対岸であった。そこで、昼食をとり、引き返すことにした。
 山を下って、南勢渓の昨日に行った場所の対岸にあたる場所へ向かった。吊り橋を渡り、山の斜面をひたすら登った。ナガサキアゲハの♀を追う♂2頭の写真を撮ることができた。さらに1時間ほど進んだ所で、ツシマウラボシシジミを数頭、見つけることができた。しかい、他には何もいないので、引き返すことにした。
 午後2時50分、タクシーが迎えに来てくれたので、少し早く、烏来に戻ることができた。
 明日からは、陽明山に行くつもりである。

● 4月21日  曇り時々晴れ
 今日は、陽明山に出かけた。台北駅の北側のバス停から8時00分のバスに乗ることができた。これまで、ここで乗ったバスは、陽明山総站が終点で、安心して乗っていることができた。このバスも、直ぐ近くにある陽明山というバス停で一旦停車し、1人の乗客を降ろした。そして、次は、陽明山総站だと思っていると、バスは、総站がある左の道に曲がらず、そのまま進んで行くではないか! このバスは、陽明山総站が終点ではなく、陽明山公園が終点であった。バスに、どちらに行くかの表示がないので、困ったものである。
 バスは、次の停車場の陽明山公園に着いた。歩いて陽明山総站まで戻ることにした。逆戻り20分の行程である。途中、行く予定であった横峰古道があるので、古道に入ってみた。しかし、何もいない状態であったので、20分ほどで引き返した。その後、陽明山の総站に着き、二子坪へ向かうバスの乗った。
 二子坪は、30分ほど歩いて峠まで行った。しかし、何もいない状態であった。脇道を探索すると、木の花が咲いており、タイワンアサギマダラやウラフチベニシジミがいたが、大したものはいなかった。そこで、二子坪まで戻り、20分ほど下山して大きな駐車場がある場所にでた。そこの駐車場の隅にある小道が、淡基横断古道である。
 入口は、かなり急な下り坂であった。しばらく進むと、緩い下り坂になり、獣道のような小道を進んだ。何もいない状態であった。30分ほど歩き、引き返そうかと思った頃、川が流れる音がした。何かいるのではないかと思い、歩を進めた。着いてみると、源流の最深部で、ここから川が始まるという場所であった。当たりは薄暗く、苔が岩にびっしりと生えている状態であるが、ところどころ、日差しが明るい空間を作り出していた。昼飯の時間であったので、その日差しのある岩場で弁当を開いた。すると、クロセセリが手元に止まった。さっそくマクロで撮影した。ところが何と、アリサンクロセセリではないか! すぐさま、弁当を置き、たくさんの写真を撮影することができた。台湾本島では、初めての撮影となった。
 その後は、来た道を戻り、下山することにした。七星山のバス停まで古道を歩いたが、何もいなかった。
 七星山のバス停から陽明山総站まで行き、さらにバスを乗り継いで鉄道の剣潭駅まで行き、MRTで台北に戻った。
 明日は、天気が良い最後の日になりそうなので、再び、烏来の福山村へ行くつもりである。

● 4月22日  曇り時々晴れ 後 雨
 今日は、最後のチャンスと、烏来の福山村に出かけた。烏来に着くと、一昨日のタクシーが丁度、待っていたので、昨日と一緒と言って、直ぐに福山村に出かけることができた。迎えは午後3時であるが、福山国小がある場所に迎えを頼んだ。この方が余分に歩く必要がなくなるので、楽である。タクシーは、胡蝶公園の裏の入口につけてもらった。
 タクシーを降りると渓谷のトラップをかけてある場所に向かった。しかし、残念ながら、トラップには、ミカドアゲハとアオスジアゲハが十数頭来ているだけで、アサクラやモクセイ、カバシタは来ていなかった。そこで、10時半まで待ったが、状況は変わらないので、南勢渓へ向かうことにした。
 福山第一橋を渡り、登りになった。ナガサキアゲハの有尾型が訪花しており、ルリタテハが獣糞に来ていた。さらに進むと、シロオビクロヒカゲを撮影することができた。そして、1時間半ほど登ったところで、ようやく南勢渓へ降りる階段にたどり着いた。ところが、急に豪雨になり、このままいくと谷筋の道は滑って危険であるので、残念ながら引き返すことにした。時間があったので、ゆっくりと歩いていくと、道の横の暗くなった場所から、ツシマウラボシシジミが現れた。しかし、なかなか止まらない。しばらく粘って、偶然に止まった時に2枚だけ、撮影することができた。その後も、2頭の♂が現れたが、全く止まらないので、撮影することができなかった。
 その後は、雨が降り続くようになり、午後3時に予定通りにタクシーが迎えに来て、帰路に着いた。
 明日は、予報が良くなり、晴れ一時雨なので、再度、福山村に行こうと思う。
 
● 4月23日  晴れ後曇り
 予定通り、福山村の胡蝶公園へ行った。しかし、ミカドアゲハやアオスジアゲハは十数頭が吸水に来ているものの、カバシタアゲハやアサクラアゲハ、モクセイアゲハは来ていなかった。別のトラップの場所では、タイワンカラスアゲハがいたが、他は同じであった。そこで、南勢渓へ向かった。途中、クビワチョウを撮影することができた。ところが、南勢渓の入口には、車が13台も止まっていて、遊びに来ている人で撮影できる状態ではないことが分かった。そこで、南勢渓への階段を下りて、二股に分かれているところで、渓谷ではなく、山の斜面を進む道に行くことにした。予想通り、観光客はおらず、ツシマウラボシシジミやクロセセリ、コジャノメを撮影することができた。福山村への帰り道では、フタオチョウとクビワチョウが、獣糞に来ており、たくさんの写真を撮影することができた。
台北に戻ってからは、埔里に行っていた西島氏と再会し、霧社、松崗、翠峰付近のたくさんの情報をいただくことができた。6月の撮影旅行に活かしたいと思う。
 明日と明後日は、雨の予報なので、写真のデータの整理をする予定である。

● 4月24日  雨後曇り
 今日は、雨なので、洗濯と写真のデータ処理をした。
 明日は、天候が良くないが、26日が晴れなので、その下見で、カルミモンシロチョウがいた新北市の仁愛橋へ、電車とバスを使って行ってみようと思う。

● 4月25日  うす曇り
 今日は、意外に天気がよく、予定通り、汐止火車站まで電車で行った。そこで、仁愛橋行きのバス停を探したのだが、なかなか見つからない。グーグルマップで調べた場所に、F920の路線のバス停がないのである。その近くをだいぶ歩き回ったところで、ようやく仁愛橋と書かれた路線を見つけた。F920ではなく、F905であった。しかも、朝は、8:00分と10:00のバスしか出ていないことが分かった。仕方がないので、タクシーを使って、仁愛橋まで行くことにした。片道15分で250元だった。仁愛橋について、帰りのバスの時間をバス停で見たところ、11:00、11:55の後は、15:00であった。そこで、状況によって11:55分か、15:00で帰ることにした。
 さっそく撮影の支度をして、仁愛橋の左の端から渓流沿いの小道に入った。すると、センダングサの花畑があった。すると、1頭の中型のシロチョウが飛んでいた。近寄ってみると、何と! カルミモンシロチョウではないか!! 綺麗な♂であった。花から花へ飛び回り、吸蜜している。たくさんの写真を撮ることができた。その他には、タケアカセセリ,ホソバセセリなどがいた。そこで、渓流を離れ、山道を進むことにした。道は渓谷に沿って上がっているが、斜度がきつく、厳しい登りであった。クロセセリ、シロウラナミシジミ、ナガサキアゲハなのがいたが、普通種ばかりであったので、下山することにした。そして、先ほどのセンダングサの花畑へ行ってみた。カルミモンシロチョウはいなかったものの、イチモンジセセリが吸蜜に来ていた。しばらくはモデルをしてくれたが、樹林へと消えていった。
 11時30分になったので、55分のバスで台北へ戻ることにした。バスは、この仁愛橋が始発で、汐止火車站まで20分。この仁愛橋と汐止火車站を結ぶバスは、公共バスなので、料金は無料であった。こういうところは、台湾政府の地元の人へのサービスはすごいと感じた。
 明日は、天気が良さそうなので、再度、陽明山へ行くつもりである。

● 4月26日  晴れ後うす曇り
 午前中は、陽明山の冷水坑から七星山への登山道に入り、童軍站から陽明山総站へ抜けるルートを探索したが、ツマグロヒョウモンがいたくらいで、大したものはいなかった。そこで、午後からは、市立動物園の虫虫探索谷に出かけた。木の花に小さなシジミチョウが飛来していたので撮影してみると、何と、ミツオシジミであった。台湾南部の墾丁国家公園で1頭、見ただけのチョウである。その他にも、タイワンコムラサキ、ヒメクロモンコノハワモン、アトムモンセセリなどがいて、この谷は、いつ来ても何か珍しい蝶がいる貴重な場所である。
 明日は、烏来へ行き、ロープウェイを使って、対岸の山の上へ行ってみようと思う。

● 4月27日  雨後曇り
 今日は、残念ながら朝から雨で、写真のデータ処理と明日の宝来への移動に備えて、新幹線の切符を買ったり、洗濯をしたりの日だった。
 結局、今回の烏来の福山村では、モクセイアゲハは撮影することができなかった。アサクラアゲハの傷み具合からして、発生時期が、2週間、早かったように思われる。つまり、3月下旬から4月上旬が、福山村でのモクセイアゲハの発生期に当たるように思われる。
 明日は、新幹線の新左営の駅で荷物を預け、高雄の西部にある丘陵地に行ってみるつもりである。その後は、タクシーで宝来へ移動である。

● 4月28日  台北:雨  高雄:晴れ
 今日は、高雄へ移動し、その後、高雄市の西にある寿山へ行き、午後3時ころに宝来へ行った。 
 ホテルを8時にチェックアウトし、8時25分の新幹線で新左営へ行った。途中には、途中駅にほとんど止まらない新幹線で行ったので、10時ちょうどに、新左営に着いた。そこで、大きな荷物をコインロッカーに預けた。
 コインロッカーは、暗証番号式で、預けると自動的に紙が出てきて、そこにある暗証番号が、荷物を取り出す際のキーになっていた。3時間ごとに50元で、最初に50元を入れ、取り出す際に追加の料金を払う仕組みになっていた。
 大きな荷物やカメラバックを預けた後、タクシーで寿山に向かった。20分で、山の西側にある寿山自然公園に着いた。料金は、チップ込みで300元だった。
 バスの動物園站があったので、帰りはここから高雄までバスで行き、そこから新左営まで列車を使うことにした。
 まず、バス停から動物園方向に向かった。さすがに台湾の南部に位置するだけあって、膨大な数のウスシロキチョウ、ホリイコシジミが飛んでいた。しかし、動物園に入っても仕方がないので引き返し、山に入っていく道を登った。すると、カクモンシジミが現れた。台湾南部の墾丁の海岸で見ただけのチョウである。さらに、タイワンルリシジミの♀が産卵に来ており、たくさんの写真を撮ることができた。オナシアゲハも現れたが、撮影のチャンスはなかった。その後、寿山に登る道を歩るき、ヒメウラナミシジミ、タイワンルリシジミ、カクモンシジミ、クロボシセセリを撮影できたが、期待していたオルフェナトガリシロチョウはいなかった。
 午後1時39分のバスで、高雄火車站にもどり、新左営へ行き、荷物をコインロッカーから出し、タクシーで宝来に行った。タクシーはメーターで走り、チップ込みの1800元だった。タクシーは、値段交渉で走った時は、2000元なので、メーターで走るタクシーの方が安い。しかし、タクシーによっては、最初からメーターを倒さず、値段交渉で走るものもあり、難しいところである。
 宝来には、タクシーがないので、宿に着いて、明日のタクシーの予約をした。明日は、バスではいけない梅山へ行く。

 4月29日  晴れ 後 豪雨
 今日は、朝、晴れていたので期待ができた。しかし、8時になってもタクシーが来ない。そこで、宿のフロントの人に聞くと、昨日、タクシーの手配を頼んだ人が、どういうわけか、タクシーを頼んでいないと言うではないか! 怒らずに神対応するしかないので、仕方がないのですぐにタクシーを呼んでほしいと頼むと、ふもとの町からタクシーが来るまで相当時間がかかるので、私が梅山口まで送って行ってあげると言ってくれた。その言葉に甘え、依頼をした。
 目的地の梅山口までいく途中で、従来の道が崩壊していて、川沿いの仮に作られた道を通る場所があり、車で通ってもかなり危険であった。川の水かさが増えれば、水没する状態であった。何とか、出発から1時間かかって、梅山口まで車で行くことができた。そして、帰りは、ここにタクシーを午後3時に迎えに来させてほしいことを、宿のフロントの人に頼んだ。この人は、結局往復2時間も車を走らせることになり、しかも、宿のフロントには誰もいない状態なので、大丈夫なのかと心配した。でも、出かける前に、誰かに電話していたので、他の人がフロントにいてくれたのかもしれないとも思った。
 梅山口からは、歩きで玉山国家公園の奥地に入った。目的地の山は、梅の果樹園に開発された場所が多く、大したものはいなかった。急峻な崖が多く、所々にルリマダラ族が多数、崖から湧き出すエキスを吸っている場所があり、興味深かった。オオシロオビクロヒカゲ、ルリウラナミシジミ、コヒトツメジャノメなどがいた。ところが、だんだんと曇って来て、3時間ほど歩いたところで、雨が降り出した。仕方なく、下山することにした。
 しばらくすると、雨が急に強くなり、ポンチョと傘をさしていても、服が濡れてしまう状態になった。何とか、梅山口まで戻ることができた。そこで、雨宿りする場所がないかと探してみると、警察署があり、そこの前にある広いテラスで車が来るまで雨宿りをすることにした。雨は、豪雨となった。屋根がトタンでできているので、雨の降り続く音が、轟音となっている。濡れた服を着替えてしばらくすると、警察官がお茶を持ってやってきてくれ、いろいろと話をした。すると、この雨が降り続くと、途中の道が水没して、宝来には帰れないことや、水が引くまでは、3日間以上はかかることを教えてくれた。こりゃ、大変なことになったと唖然とした。でも、もう仕方がないので、警察官に、この近くに宿はあるかと聞くと、直ぐ近くにあることを教えてくれた。当分の間、この地に隔離されることを覚悟した。ひょっとして来るかもしれない車を待つ1時間は、とても長かった。約束の午後3時に車が来なければ、OUTである・・・。 着た! ホテルの従業員が、タクシーがこの豪雨では、道がなくなっている可能があり、帰れなくなるかもしれないから、行かないと断られ、自分の車で迎えに来てくれたのである! 感謝、感謝である。帰る途中、やはり水かさが増して、道がかなり危険な状態であったが、1時間後、無事、宿に着くことができた。工事中の道路が完成するまでは、宝来の奥地の梅山方面へは、行かない方が安全であることが分かった。
 明日は、バスを使って、3月に行った直瀬渓に行くつもりである。

● 4月30日  晴れ 後 薄曇り
 宝来を6:30発のバスに乗り、南下し、6:45には、濃国小のバス停に着いた。朝は、この便しかないので、不便であるが仕方がない。帰りは、15:50で、次は18:00になってしまうので、気を付けなければいけない。約9時間の歩きになる強行軍である。
 国道をひたすら直瀬渓に降りる場所に向かって歩いた。時間が早いので、何もいない。1時間25分かかり、ようやく谷に降りられる場所に着いた。3月に来た時には、モンシロチョウやタイワンモンシロチョウがたくさんいたが、発生期が違うのか、全くいない。沢に出る途中にある空き地で、小さなシジミがいたので、ハマヤマトシジミの記録が宝来の南部で出ているので期待したが、撮影してみるとヤマトシジミであった。そして、ついに沢に出た。
 吸水集団はないか探したが、全くいない。仕方がないので、沢の奥地へ進もうとした時、ウラナミシジミのような色をした小型のチョウが現れた。撮影する、と、何と、ツバメシジミではないか! 高雄市周辺でしか発生していない珍蝶である。そこで、その周辺いあるセンダングサの群落を探すと、4♂♂2♀♀を撮影することができた。日本とは別亜種になっていて、裏面の色が褐色で、表面の色は、日本の個体のようにブルーではなく、アサギ色をしている。飛び方もとても速く、日本産のようにチラチラと飛ぶのではなく、活発に飛び、♂同士で攻撃し合い、乱舞をする行動が見られた。しばらく観察し、沢の奥へ向かった。
 沢沿いの道を2時間ほど登った。途中、ミツボシフタオツバメ、アカボシゴマダラを撮影できた。
 小さな沢の横にある小さな草むらでは、3月と同様にコシロウラナミシジミが発生しており、オジロシジミも同じ場所で発生していた。直瀬渓で、コシロウラナミシジミがいるのは、この場所だけである。
 そこからさらに30分ほど進んだが、道が渓谷からそれ、山の斜面を登るようになると、チョウはほとんどいなくなったので、下山することにした。
 国道まで戻り、国道沿いを20分ほど進んで、次の谷がある場所まで行ったが、谷に入る道がなく、バス停へ引き返すことにした。途中、2つの谷に入ったが、ウラギンシジミがいたぐらいで、大したものはいなかった。しかし、国道を歩いているとき、沢の水が出ている場所で、タイワンビロウドセセリを撮影することができた。
 そして、老濃国小のバス停に近づいて、最後の橋のたもとに小さな空き地がった。朝は何もいなかったが、立ち寄ると、地面すれすれを小さなシジミが飛んでいた。大きさは、ホリイコシジミくらいである。よく見ていないと、どこに行ったのか、すぐにわからなくなってしまう程の大きさである。ひょっとして! 撮影してみると、何と、この3年間、探していたハマヤマトシジミではないか!! 斑紋はヤマトシジミと似ているが、♂は前後翅の外縁部に同じ幅の黒帯がある。しかし、性質が全く違う。飛び方が地面から離れようとしないし、同じ場所にいるヤマトシジミと一緒になると、ヤマトシジミを追い回し、しかも、この小さな荒れ地から出ようとしない。草むらより砂利場を好み、よく飛ぶが、小石には時々止まる。土の上を飛んでいるときは、よく見ていても見失ってしまうことが多い。20分ほどで3♂♂2♀♀を確認することができた。もう少し撮影したかったが、バスの時間が迫っているので、明日、再度、撮影に来ることにし、その場を後にした。
 今日は、私にとっての新記録種を2種追加でき、撮影枚数も1700枚もあり、納得のいく日となった。明日は、宝来の奥地で、道が壊れている手前の桃源へバスで行き、帰りは、バスを宝来で降りず、老濃国小まで行き、直瀬渓の荒れ地に行くつもりである。

● 5月1日  曇り
 今日は、すべてバスを使って、宝来から奥地の桃源へ行き、そこから南下して直瀬渓のハマヤマトシジミがいる場所へ行ってから宝来へ戻るという計画を立てた。
 まず、宝来を9:25分発のバスに乗り、9:45分には、桃源の部落に着いた。そこで、山に入ったのだが、コウラナミシジミがいたくらいで、大したものはいなかった。そこで、下山し、対岸の山に入ることにした。すると,橋の手前の雑木林にベニモンシロチョウが現れ、数頭が追飛をしているのが見えた。

 しかし、このチョウもなかなか止まらないので、連射で飛んでいる姿を撮影した。この後、対岸の山に入ったが、ダイミョウセセリがいたくらいであったので、下山し、先ほどの雑木林で撮影することにした。ベニモンシロチョウが3頭いたが、やはり止まらなった。
 その後、予定通り、直瀬渓へ行き、1時間ほどハマヤマトシジミを撮影することができた。
 明日も、同じコースで撮影したいと思う。

● 5月2日  曇り 後 豪雨
 9:25のバスで奥地の桃源に向かった。ベニモンシロチョウのポイントには、やはり吸蜜に来ていたが、追尾行動をしてなかなか止まらない。しかし、1時間ほど待っていると、ようやく吸蜜するようになり、たくさんの写真を撮ることができた。その後、さらに1時間を費やして撮影した。そして、バスを使って、ハマヤマトシジミのポイントまで南下し、数十枚の写真を撮影することができた。しかし、午後2時ころから雷が鳴り出し、豪雨となってしまい、撮影を終了した。
今回の宝来では、これまで探し続けたツバメシジミ、ハマヤマトシジミ、ジャコウアゲハを撮影でき、撮影が難しいベニモンシロチョウのきれいな写真を撮影出来たことが大きな成果であった。
 宝来の奥の梅山口やその奥地へは、今、工事中の道路が完成しない限り、豪雨になるとその地が孤立化してしまうので、行くことは危険が伴うと思われる。まだ、数年はかかると思われる。
 明日は、高雄へバスで移動し、その後、新幹線で台中へ行き、埔里へはバスで行く予定である。

● 5月3日  晴れ
 宿を11時にチェックアウトし、宝来発11:30のバスで、六亀へ行き、そこからさらにバスを乗り換えて、新幹線の新左営站へ行った。そこからは、新幹線で台中へ行き、バスで埔里に向かった。
 埔里のホテルに着くと、フロントのとってもきれいな女性が、お久しぶりと迎えてくれた。何回も来ているので、毎回、ちょっと話をするのが楽しみである。部屋に入ってから直ぐにシャワーを浴び、近くにあるコインランドリーで溜まっていた洗濯をし、買い物と食事に出かけた。埔里の町は、日本料理やステーキ店、果物店通りなど、いろいろな店があるので、本当に楽しみである。
 明日は、バスで霧社へ行こうと思う。

● 5月4日  曇り 時々晴れ
 7:10の翠峰行きのバスで松崗の手前のナールー湾に行った。ところが、雑木林が伐採され、チョウは全くいなかった。その奥で工事をしており、重機を入れるためだった。高山チョウの宝庫だったので残念である。
 そ仕方がないので、松崗から埔里に向かうバスにバス停・青青草原で乗り、検査站で降り、カ行産業道路を進んだ。松崗や翠峯は、大きな山の峰を進む道路であるが、このカ行産業道路は、その峰と並行して走る道路である。1時間ほど歩いたが、大したものはいない状態であったので引き返し、検査站から霧社へ行った。
 霧社の町から北側の谷へ降りる道があるので、その道を下った。途中、タイワンウラナミジャノメが発生している場所があった。その後、さらに眉渓まで降りたが、何もいない状態であった。6月ほ、かなり面白そうなポインであった。仕方がないので引き返し、本部溪に向かった。
 本部溪では、たくさんのチョウが発生していた。フタオチョウ、タイワンウラギンシジミ、ミヤジマミスジなど、これまであまり撮影できなかったチョウを撮影することができた。タイワンメスシロキチョウやルリモンアゲハが吸水集団を作っていた。この本部溪は、本当にチョウの宝庫であった。
 明日は、霧社の手間の眉渓、南山溪に行くつもりである。

● 5月5日  晴れ
 8:00のバスで眉渓に向かった。30分ほどで着き、渓谷を上流に向かった。しかし、道が整備されすぎていて、茶園への車が頻繁に通る状態であった。1時間ほどは歩いたが、何もいない状態であった。そこで、眉渓を諦め、南山溪に行くことにした。眉渓のバス停に着くと、ちょうどバスが来て、運よく乗ることができた。こちらのバスは、時間があってないようなもので、10分から20分は、遅れるのが普通であるが、たまには、10分も早く来ることがあり、時間が読めない。時間を調整して走るという意識がなく、バス停にお客が多ければ遅れるし、いなければ、どんどん早くなるのである。
 南山溪の入口の村の様子が昨年の6月とはだいぶ違っていて、花が少なく、チョウも集まっていなかった。しばらく行くと、ゆっくり飛ぶ大型のチョウが現れた。マダラチョウかと思ったが、飛び方が少し違うのでよく見ると、アカボシゴマダラであった。たくさんの写真を撮ることができた。さらに道を進むと、川に降りられる場所があり、道を下っていくと、大型の黒いチョウがゆっくりと飛んでいた。近寄ってみると、キゴマダラの♀であった。翅を開いてくれて、きれいな写真を撮ることができた。その後、河原を探索し、タイワンメスシロキチョウ、カラスアゲハなどがいた。来た道を戻ろうとすると、茂みの中に中型のジャノメチョウがいた。普通のチョウとは違うと感じ、そっと近づくと、珍蝶のタイワンクロヒカゲモドキであった。数枚、撮影することができた。その後は、奥に向かってひたすら進んだ。整備された道から土の道に入り、しばらく進んだ岩場が、ギンジャノメの発生地である。時期が遅いのでいなかったが、44年前や3年前に見つけることができた場所で、懐かしさを感じた。さらに進むと、小型のミスジチョウが飛んでいた。ひょっとしてとカメラでのぞくと、何と、ホシミスジであった。私にとっての新記録種である。44年雨、やはりこの場所で採集しており、本当に奇遇である。さらに奥に進んだが、特別なものはいなかった。そこで、時間があるので、果子林の渓谷に行くことにした。岩場の近くで、ゆっくりと飛ぶ中型のジャノメチョウがいた。変だなと感じ、そっと近づいて撮影すると、ギンジャノメの♀であった。発生の最後なのであろう。本当に運がよい。
 南山溪のバス停から果子林へは、バスで5分で着いた。渓谷を奥に進んだが、やはり茶園関係の車が多く通り、マダラチョウ類が集まっている場所があったが、他の種は、ほとんどいなかった。仕方がないので、今日の撮影を終えることにした。
 明日は、標高2100mの翠峰へ行くつもりである。

● 5月6日  晴れ
 7:10のバスで翠峰に向かった。1時間30分かかった。バスを降りると、ひんやりと涼しい風が吹いていた。チョウは、ツマグロヒョウモンが飛んでいたが、他には見当たらない。6月の下見を兼ねているので、来た道を下り、三角峰へ向かう古道に入った。感じはとても良い。しばらく進んだが、何もいないので、翠峰のバス停に引き返すことにした。6月に来たときは、この三角峰古道と警察署の横から降りるカ行産業道路を探索する予定である。
 9時35分のバスで、松崗まで行った。そこからは歩いてポイントを探したが、見つからないので、ナールー湾へ行くことにした。
 小道を登っていくと、雑木林がある。上空を見上げたところ、大型のチョウが占有行動をしていた。さっそく撮影すると、カバシタアゲハであった。さらに、ホッポアゲハが現れ、追飛行動をしている。カバシタアゲハの方が優位であった。しばらくすると、どちらのチョウも小さなツツジの花に訪花するようになった。たくさんの写真を撮ることができた。
 その後、青青草原まで降り、バスが来るまで時間があったので、奥の小道に入ってみた。すると、何と、珍蝶で高山蝶のシロキマダラヒカゲが現れ、たくさんの写真を撮らせてくれた。他のチョウも探したが、オオベニモンアゲハ、タイワンタイマイがいたくらいであった。
 明日は、朝から本部溪に行き、峠まで行きたいと思う。

● 5月7日  晴れ
 8:00のバスで本部溪に向かった。20分で本部溪に着いた。さっそく支度をし、渓谷に入った。50m行った場所のブッシュにアサクラシジミがいて、久しぶりに撮影することができた。橋を渡ったポイントには、トビイロセセリが吸水に来ていた。きれいな個体で、数枚、写真を撮ることができた。しかし、その他には大したものはいなかった。
 道は、渓谷を離れ、山道に入った。ここまで、約30分間である。ここからは、ひたすら登りとなるので大変である。しかし、いろいろなチョウが顔を出してくれるので飽きない。ホソバウラナミジャノメ、スズキミスジなどを撮影することができた。さらに1時間ほど登ると、犬が数頭いる果樹園に出る。この手前の樹林が絶好のポイントで、カノウラナミジャノメ、タイワンキマダラヒカゲ、タカサゴイチモンジ、ホリシャイチモンジなどがいる場所であるが、今回は、発生期が違うのでタイワンコムラサキがいただけであった。
 ここからしばらくは、カシ類の林があり、6月は、ゼフィルスが期待できる。今日は、久しぶりにムラサキツバメを撮影することができた。
 さらにそこから1時間ほど登ると、茶畑が出てくる。この周辺もポイントであり、今回は、カバシタアゲハの♀が道路わきのセンダングサに吸蜜に来ていた。数枚の写真を撮ることができた。
 ここからは、竹林が多くなり、6月にはワモンチョウがいて楽しませてくれるが、今日は、何もいない状態であった。
 ようやく峠が近づくと、ギンジャノメが現れた。峠では、上空でカバシタアゲハが占有行動をしていた。峠周辺は、カシ類が多く、ここもゼフィルスが期待できる。ここまで、渓谷の入口から4時間30分、かなり厳しい登りであった。午後1時を過ぎたので、昼食にし、下山することにした。途中、シロオビクロヒカゲが現れ、メスチャヒカゲも数頭、撮影することができた。渓谷沿いの湧水がある場所では、ヒメウラボシシジミを撮影することができた。
 本部溪の峠までの往復は、8時間。万歩計は、30000歩を超した。6月が楽しみである。
 明日は、合歓山を探索する予定である。

● 5月8日  快晴
 土、日、祝日のみ、霧社の奥にある「国民賓館」というバス停から、標高3158mの合歓山の山頂近くまでバスが出ているので、探索してみることにした。終点のバス停は、「松雪楼」 で、手前には、もう一つのピークである 「武領」 というバス停がある。
 埔里を7;10発のバスで出て、「国民賓館」までは、1時間10分。その後、バスの系統が違う8:30分が始発の「松雪楼」行きのバスに乗った。時間は、ちょうど1時間で合歓山の山頂近くに着いた。帰りのバスは、15;35なので、乗り遅れないように気を付けなくてはならない。6時間の滞在時間がある。
 バスを降りると標高が3000mを超えているので、さすがにひんやりとした空気が漂っていた。山一帯は、背丈の低い竹で覆われ、チョウがいそうもない雰囲気であった。日曜日であったので、車の数が非常に多く、なるべく人のいない場所を探したが、どこもかしこも人だらけで、環境としてはかなり厳しい場所であった。
       
 しかし、風に乗ってアサギマダラ、テングチョウ、ウスキシロチョウ、シータテハ、ルリシジミの仲間、タイワンキマダラヒカゲが姿を現したが、止まる様子はなく、たまたまアサギマダラ、テングチョウ、ウスキシロチョウが撮影出来ただけであった。
 午後は、山の東北部分を探索した。すると大きな谷があり、川の源流にあたる場所が見つかった。斜面はかなりきついが、人は全くいない。水があるので、植物の種類も多かった。しかし、チョウはいなかった。下りに30分、登りに1時間を要した。だが、6月であれば、ここにチョウが集まる可能性が高いと感じた。
 帰りのバスで、武領の周辺を見渡したが、ポイントはないように思えた。
 帰りは、翠峰でバスを降りた。終点の国民賓館までいくと、乗り継ぎのバスが混むからである。案の定、埔里行きのバスは、途中のバス停で大勢の人が乗り込んできて、大混雑であった。往復5時間の長旅であったが、6月の撮影で行くかどうか、検討する価値はありそうである。
 明日は、帰国である。

● 5月9日  晴れ
 いよいよ帰国である。11:00にチェックアウトし、台中へのバスに乗った。台中から新幹線で桃園站へ行き、そこからはバスで桃園国際空港へ向かい、無事、帰国することができた。
 
● エピローグ
 今回の撮影旅行は、天候に恵まれ,内容の濃い撮影旅行であった。
 今回のポイントは、台北で一緒になった西島氏に教えてもらったイージーカードである。台北では、MRTに乗れるし、台湾全土のバスで使えるし、コンビニで簡単にチャージできるしと、使い勝手がよく、さらに切符を買う手間やバスの運転手に行先を告げるという大きな負担を減らすことができた。
 ホテルも同じ場所を何回も使っているので、フロントの人と顔見知りになり、記念品をいただけたり、一緒に写真を撮ってくれと言われたりした。何よりも嬉しいのは、本当に嬉しそうな笑顔で迎えてくれたことである。
 今回は、先回よりも体調がよく、迷惑をかけずにすんだこともありがたいことであった。
 次回は、5月15日から再び台湾で、フトオアゲハを狙いたい。 体調を崩さないように気を付けたい。 




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