...<総合評価> ★ ★ ★ ★ ★
台湾の南部の山岳地帯の代表的な南峰である。
山頂一帯は軍事基地になっているため,この一帯は,外国人の入山が禁止されており,そ の趣旨の看板が立っている。日本人だけの入山は困難で,軍人の車が林道をよく通り,色々 と聞かれた。 台湾では,絶滅が危惧されている超珍蝶のハッセンザンセセリの発生地である。 ...<標 高> 1576m ...<採集の可不可> 軍事基地があり,外国人は入山禁止で,一般人では入山ができない。 ...<目的地までの交通手段> 日本人だけでは,入山できない。ガイドか地元の人の案内が必要である。 ...<日 程> 高雄市からタクシーを使うか,列車で枋寮駅まで行き,そこからタクシーを使うしかない。 高雄市からタクシーを使うと,タクシー代は,1日貸し切りになるので,日本円で3万円以上 かかる。 ...<昼 食> 食べ物,飲み物は,買っておく必要がある。 ...<ト イ レ> トイレはない。 ...<特筆すべき蝶と撮影ポイント> ・ ハッセンザンセセリ 山に入ってから,かなり奥の林道沿いで見られた。 . <撮影ポイントの案内> 友人の林さんの車で台南市を出発し,高速道路を通り、大漢山近くまで行った。そして,
...車は長くて舗装が悪い山道をどんどん進んで行った。 そして、出発から3時間後、ようやく最初の目的地に着いた。そこは、アサクラコムラサ キのポイントで、すぐにバタフライトラップを仕掛けるという。様子を見ていると、スプレー 瓶に入った液体を撮影しやすい木に吹きかけていた。 液体の中身を聞いてみると、パイナップルのしぼり汁にいろいろなものを加えた液を約 3ヶ月間、発酵させたものであった。においは、良いにおいで、確かにパイナップルの香り がした。そこで、チョウが集まるまで、その周辺を探索することになった。 小道を入っていくと、ミツボシフタオツバメ、エグリシジミ、タッパンチャバネセセリなどが 現れた。台湾の南部に来ているという実感がした。30分ほどして、トラップを仕掛けた場 所に戻ったが、ジャノメチョウ類が来ているだけで、目的のアサクラコムラサキはいなかっ た。天候が曇っていたのが悪かったかもしれない。 そこで、次は、いよいよハッセンザンセセリの発生地へ向かった。さらに1時間を要した。 道は、車が何とか通れそうな山道である。しかも、林さんも1度しか撮ったことはないそう である。ポイントは数ヶ所あり、ポイントに着くたび、車から降り、辺りを探索した。しかし、 全くいなかった。 林さんは、場所、時期、天候、時間帯、運の5つ全てが揃わないと、撮影するのは難し いと話しておられた。やはり、ここまでの珍蝶は、フトオアゲハと同じなんだなと感じた。 全てのポイントを見終わり、やはりいなかった。そして、来た道を戻ることになった。しか し、発生地に来れただけでも良かったと思った。帰りは、車に乗ったまま、ポイントのそば で車を止めて、目で探した。しかし、見つからない。最後のポイントに着いた。駄目だなと 思っていたら、林さんが、「ハッセンザンセセリ!」と叫んだ。運転席の窓越しに見ると、赤 褐色の翅が、新緑の草の上に広がっていた。急いで車を降り、そっと近寄って撮影した。 やった! 非常に新鮮な個体であった。林さん、奥さんも撮影に加わった。皆で代わる代 わる場所を交代しながら撮影した。ハッセンザンセセリは、あまり人を怖がらず、人の気配 を感じると少し飛んで、直ぐに翅を広げて止まる習性があることが分かった。ダイミョウセセ リのような習性である。たくさんの写真を撮影することができた。ハッセンザンセセリは、10 分間ほどは、その場に留まっていたが、やがてジャングルの中へ消えていった。 |
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