本 部 溪



 <総合評価>     ★ ★ ★ ★ ★
  
● 発生数        
★ ★ ★ ★ (3月〜4月)
★ ★ ★ ★ ★ (5月〜6月上旬)
★ ★ ★ ★ (6月中旬〜7月)
● 種類数
★ ★ ★ ★ (3月〜4月)
★ ★ ★ ★ ★ (5月〜6月上旬)
★ ★ ★ ★ (6月中旬〜7月)
● 行程の容易さ★ ★ ★ (行きは,ほとんど登り)
● 行程の安全性   
★ ★ ★ ★ ★ (安全)
● 目的地までの経費 
★ ★ ★ ★ ★ (往復バス=80元)
● 人の多さ  
★ ★ ★ ★ ★ (皆無)

   南山溪が観光地化され,地震や洪水によって,壊滅的な被害を受けたのに比べ,本部
  溪は,道が流されて,入山ができなくなっていたが,現在は,山への道が通じた。
   自然が残されており,蝶の個体数と種類数は,驚くほどである。山道には,何百頭のシロ
  チョウ類やアゲハチョウ類が吸水に集まっており,一斉に飛び立つと,前が見えなくなって
  しまうほどであった。
   ポイントHまでの往復には,8時間のかなり厳しい坂道の連続になり,健脚でないとお勧
  めはできない。

...<標   高>  632m (本部溪バス停) 〜 1190m (ポイントH)

...<採集の可不可>
  昆虫採集は,2019年10月,規制が厳しくなり,採集禁止になった!

...<宿泊地までの交通手段>
  台中から埔里までの高速バスがある。その埔里を基地として,バスを使って山岳地帯の
 ポイントへ出かけるとよい。

...<宿   泊>
  埔里には,大きな町で,たくさんのホテルがある。さらに,バスのターミナルがあり,山岳
 地帯への便も良い。さらに,バス代が安いのもありがたい。

...<目的地までの交通手段>
  埔里総站から霧社行きのバスは,30分に1本は出ているので,それを利用するとよい。

...<日   程>
  霧社行きのバスに20分ほど乗り,バス停の本部溪で降りると,バス停の反対側には,
 川沿いに上流に向かう道がある。30分ほど歩くと川から離れて,林間の道になる。道は山
 頂まで続いているようだが,行程が長いため,行ったことはない。行きは,ほとんど登りな
 のできつい。バス停から峠のまで行き,バス停に戻ってくると,約9時間かかる。
  バスで早朝6時に埔里を出て,1時間20分かかって山岳地帯の松崗まで行き,2時間ほ
 ど撮影をしたら,本部溪のバス停まで戻ってきて,11時頃から本部溪を登り始めて,
 点まで行き,夕方の5時にバス停まで戻ってきたこともあった。山道で30,000歩以上歩
 いたので,翌日はひどい筋肉痛になった。それでも魅力のある場所で,数日後,再び同じ
 行程で写真撮影をしたこともあった。
  本部溪のみを探索し,峠のまで行くと,峠付近とその手前の峠付近には,カシの林があ
 り,6月にはゼフィルスが発生しているものと思われる。行程は厳しいが,攻めてみる価値
 はあると思う。

...<昼   食>
  バス停付近に店はないので,埔里の町で昼食を買っていく必要がある。

...<ト イ レ>
  ない。

...<特筆すべき蝶と撮影ポイント>  
  ・ ワタナベアゲハカラスアゲハタイワンカラスアゲハモンキアゲハクロアゲハ
   タイワンモンキアゲハオナシモンキアゲハタイワンルリモンアゲハマダラシロ
   チョウメスシロキチョウアカボシゴマダラヒメフタチョウコシロウラナミシジミ
   ヒメウラボシシジミ  
     川を渡った地点には,山からの湧水があり,ミネラルが多いのか,多数の蝶が集
    まって吸水していた。
  ・ キゴマダラヒメクロモンコノハワモン 
     開けた場所で,道には小砂利が散らばっており,湧水に集まってきていた。
  ・ ユウマダラセセリホシボシキチョウ 
     山道をひたすら登って行くので,かなりきついが,次から次へと他の産地では見られ
    ない蝶が現れてくる。
  ・ カノウラナミジャノメタイワンキマダラヒカゲウラキマダラヒカゲ 
     森林が深くなり,その間を道が抜けていく。珍しいジャノメチョウ類が姿を現す。
  ・ タイワンコムラサキヒメキミスジ 
     道沿いの林の樹上や飛び出した枝などで,占有行動をしていた。
  ・ ムラサキシジミアサクラシジミ 
     暗い森林を抜ける道沿いの低木で,数頭が静止していた。
  ・ シロタテハ E
     林道にあった獣糞に飛来していた。
  ・ ゴイシシジミ B,F
     数頭を確認することができた。
  ・ アサクラコムラサキ F
     林道の横の樹木に止まっていた。
  ・ タカサゴイチモンジホリシャイチモンジ 
     やや暗い樹林で,占有行動をしていた。
  ・ スズキミスジミヤジマミスジ 
     明るい林道で見られた。数は少ない。
  ・ ワモンチョウ 
     竹が生えている場所で見られた。個体数は少ない。
  ・ ヤマナカウラナミジャノメ 
     やや暗い樹林で見られた。少ない。
  ・ タイワンクロヒカゲモドキ 
     道が分岐しており,うっそうと茂る草むらを進むと,荒れた竹林になり,行き止まりに
    なるが,その倒れた竹の周辺で見られた。
  ・ ワイルマンクロヒカゲ 
     森林に囲まれて,うっそうと茂る草むらに生息していた。
  ・ ホソバオオウラナミジャノメ 
     森林に囲まれて,うっそうと茂る林間に生息していた。
...
<埔里を起点とするバスの時刻表> (20184


. <撮影ポイントの案内>
   本部溪のバス停を降りると,直ぐ近くに川の上流に向かう道がある。それを登って行くと,
  川を渡る橋があり,それを渡った場所(地点A)は,山からの湧水が道路に流れている。そ
  の水には,ミネラルが豊富にあるようで,モンキアゲハタイワンモンキアゲハオナシモン
  キアゲハカラスアゲハワタナベアゲハなどが十数頭も吸水している。タイワンキチョウ
  やメスシロキチョウの吸水群も見られ,その数の多さには,圧倒される。アカボシゴマダラ
  吸水に来ており,大型の陸貝のタイワンマイマイが車に引かれた死骸には,ヒメフタオチョウ
  が飛来していた。コシロウラナミシジミヒメウラボシシジミも見られた。
   この道をさらに登っていくと人家がある。常に犬が放し飼いにされており,大きな声で吠え
  られるが,知らぬ顔をして通り過ぎればよい。この道の両側は,ブッシュになっていて,ここ
  で外来種のトガリワモンを見つけることができた。
   しばらく歩くと,急に視界が開けて,本部溪の河原の横を歩くことになる。この地点Bでは,
  ヒメフタオチョウルリタテハキゴマダラメスチャヒカゲなどが現れる。道沿いの水が
  染み出ている場所には,数十頭のタイワンメスシロキチョウが集まり,別の吸水群では,
  やはり数十頭のウスムラサキシロチョウが集まっていた。その中に,テングチョウも混ざっ
  ていた。
   もう少し歩くと,道は川から離れ,山道を登って行くようになる。このポイントでは,山肌から
  にじみ出る水に,タイワンルリモンアゲハキゴマダラタイワンルリシジミなどが多数,集
  まっていた。そして,この後は,ほとんど登りになるので覚悟が必要である。
   道が左右に曲がっている地点Cの近辺では,ホシボシキチョウが見られる。この蝶は,台
  湾では,ここでしか見たことがない。さらに登っていくと,地点Dでは,道が樹林の中に入っ
  ていく。ここからは,絶好のポイントの連続である。
   林間の陽だまりには,タカサゴイチモンジホリシャイチモンジキンミスジが見られ,
  カノウラナミジャノメも姿を現す。ウラキマダラヒカゲタイワンキマダラヒカゲがブッシュ
  の中から現れ,コジャノメコヒトツメジャノメが道端の草に止まっている。
   さらに道を進んで,地点F付近では,スズキミスジミヤジマミスジが姿を現し,竹林の近く
  では,大型のワモンチョウがフワリフワリと飛び交うが,なかなか止まらないので撮影は難し
  い。道沿いには,ホソバセセリも多い。暗い樹林には,アサクラシジミが数頭,同じ木に集
  まっており,陽だまりには,ムラサキシジミもいる。ここでしか見られなかったゴイシシジミ
  チラチラと飛んでいた。
   地点Gは,道が二手に分かれている場所で,右側の道は,道が草に覆われ,入るのに勇
  気がいるが,道なりに竹藪の中に進んでいくと,タイワンクロヒカゲモドキが生息していた。
  この地点G付近では,ヤマナカウラナミジャノメヒメキミスジユウマダラセセリホソバ
  オオウラナミジャノメが姿を現す。
   地点Gから左の道のひられた場所では,クビワチョウが樹間の十数m上空をフワリフワリ
  と飛んでいた。ワイルマンクロヒカゲも姿を現した。
   地点付近では,4月には,ギンジャノメ,カバシタアゲハなどが見られた。
   峠を過ぎると,道は,急な下り坂になるので,帰りのバスの時間を考慮すると,この辺りが
  限界であった。この本部溪は,蝶の宝庫である。
<下の地図をクリックすると,大きな画像を見ることができます>

埔里を基地とする周辺の地図


本部溪の地図


バス停の横にある本部溪の入口


昆虫採集禁止の看板


カノウラナミジャノメがいるポイント 



台湾の蝶
「蝶の生態写真集」
「蝶の研究」
杉坂美典」のトップページ
E−mail