南 山 溪



...<総合評価>     ★ ★ ★

● 発生数        
★ ★ ★ (3月〜4月)
★ ★ ★ (5月)
★ ★ ★ ★ ★ (6月〜7月)
● 種類数
★ ★ ★ (3月〜4月)
★ ★ ★ ★ (5月)
★ ★ ★ ★ ★ (6月〜7月)
● 行程の容易さ★ ★ (奥地は傾斜がきつい)
● 行程の安全性   
★ ★ ★ (安全)
● 目的地までの経費 
★ ★ ★ ★ ★ (往復バス=100元)
● 人の多さ  
★ ★ ★ (土日は多い)

   南山溪は,地震や洪水によって,壊滅的な被害を受け,即物相が貧困になり,蝶の数
  や種類が激減した。しかし,ここでしか見られない蝶も残っており,1度は訪れたい場所で
  もある。最近は,徐々に種類数が復活してきている。

...<標   高>  720m (南山溪バス停) 〜 1130m (ポイントH)

...<採集の可不可>    風景特定區内
  昆虫採集は,自然保護のため,条例で禁止になった。ポイントAに監視員の詰所があり,
 採集用具を持っていると,帰るように言われる。

...<宿泊地までの交通手段>
  台中から埔里までの高速バスがある。その埔里を基地として,バスを使って山岳地帯の
 ポイントへ出かけるとよい。

...<宿   泊>
  埔里には,大きな町で,たくさんのホテルがある。さらに,バスのターミナルがあり,山岳
 地帯への便も良い。さらに,バス代が安いのもありがたい。

...<目的地までの交通手段>
  埔里総站から霧社行きのバスは,30分に1本は出ているので,それを利用するとよい。

...<日   程>
  霧社行きのバスで30分ほど乗ると,バス停の南山溪で降りる。最奥地までを往復する
 と,約5時間である。早朝に,高山地帯にある松崗に行ってから,この南山溪を訪れるこ
 とも可能である。また,南山溪と本部溪の両方を訪れることもできるが,どちらも行きはか
 なりきつい登りになるので,体力勝負となる。

...<昼   食>
  バス停付近に店はあまりないので,埔里の町で昼食を買っていく必要がある。

...<ト イ レ>
  ない。

...<特筆すべき蝶と撮影ポイント>  
  ・ アサクラアゲハ  
     早春にしか見られない蝶である。40年前はかなりの個体数が見れたが,現在は
    少ない。
  ・ タイワンタイマイワタナベアゲハカラスアゲハタイワンカラスアゲハ  
     地点には,花畑やブッシュ,荒れ地,湧水などがあり,アゲハチョウ類,シロチョ
    ウ類,タテハチョウ類が集まる。
  ・ ヒメフタオツバメミツボシフタオツバメ  
     この南山溪では,地点のみで発生し,数頭は確認することができた。
  ・ ツマムラサキマダラカバマダラ  
     ランタナが栽培されており,多数の蝶が集まっていた。
  ・ タイワンルリシジミホリシャルリシジミ  
     河原に降りることができ,トラップをかけると,たくさんのルリシジミ類が集まった。
  ・ キタテハ  
     温室で菊やバラを栽培しているハウスの横にある草原で確認することができた。
  ・ ホリシャミスジ  
     トラップに飛来していた。
  ・ スギタニルリシジミ  F
     春に見ることができる。
  ・ アリサンシジミタテハ  
     山を越え,峠を下った当たりの薄暗い道沿いの林間にある陽だまりに,数頭が集
    まっていた。
  ・ ヒメキミスジ  
     キミスジやタイワンキミスジは,各所で見られたが,このヒメキミスジは,このポイン
    トと本部溪でのみ,見ることができた。
  ・ ギンジャノメ  
     林道の山側がガレバになっており,ここでしか見られない珍しい蝶である。
...
<埔里を起点とするバスの時刻表> (20184



. <撮影ポイントの案内>
   かつては,台湾有数の採集地であったが,今は,その面影はない。
   南山溪のバス停を降り,西側に向かって20mほど歩くと,北側に道がある。これが,
  南山溪に向かう道である。橋を渡り,人家が十数軒並ぶ村には,ランタナなどの花壇
  があり,カラスアゲハタイワンカラスアゲハナガサキアゲハホリシャルリマダラ
  ツマムラサキマダラなどが集まっている。
   部落を抜けると,山間の林道となるが,道は舗装されており,道の左右の草むらに
  は,タイワンウラナミジャノメコウラナミジャノメがいるが少ない。
   道はゆっくりと上りになっていき,地点Aまで行くと,そこは,公園のようなになってい
  る。各種の花が栽培されており,スジグロカバマダラカバマダラツマムラサキマダラ
  ナガサキアゲハクロアゲハカラスアゲハイワンカラスアゲハなどがたくさん集ま
  っている。
   さらに進んでいくと,夢谷暴布看板がある場所に出る。ここは,以前,対岸に大きな滝
  があり,有名な観光地であった。しかし,地震で水路が変わり,今は水が流れていない。
   ここからは,かなりきつい坂道になる。キャベツ畑があり,たくさんのモンシロチョウ
  発生している。その先の草原では,ここでしか見られないキタテハが生息していた。厳し
  い上りが終わると,道は二手に分かれており,左側の舗装されていない道に進んでい
  く。数年前,この道を右に行ってみたが何もいなかった。
   ここからが,よいポイントが続く。道端の花には,マダラシロチョウが時々飛んでくる。
  日陰になっている場所では,オオウラナミジャノメホソバオオウラナミジャノメが稀に
  現れる。さらに道の右側が崖になっている場所では,珍蝶のギンジャノメが生息しており,
  タイワンクロツバメシジミも発生している。
   この先は,道はさらに狭くなり,暗い樹林の中を歩いていく。この道の両側の草むらに
  は,膝くらいの高さで,シソの葉によく似た植物があり,葉には小さなイボのようなもの
  がたくさんある。葉の渕は,ギザギザになっていて,小さなトゲがあり,そのトゲには毒
  があり,少しでも触るとチクチクと痛くてたまらない。刺された後,ズボンを脱いで見てみ
  ると,刺された場所が赤く腫れ上がっていた。1日で腫れは引いたが,十分に気を付け
  る必要がある。
   そこを抜けると地点Eになり,広い草原となっている。道の右側は,草むらになってお
  り,小さな白い花をつける植物が咲いている。タイワンタイマイアサクラアゲハヒメ
  フタオツバメエサキウラナミジャノメなどを見ることができる。
   地点Eの川沿いは岩場になっており,砂地には,ウスムラサキシロチョウメスシロキ
  チョウタイワンルリシジミホリシャルリシジミなどが集まっている。ホリシャミスジ
  ここで見つけることができた。クロタテハモドキも見られる。
   地点EとFの間は,川が流れており,橋はないので,気を付けて川を渡る必要がある。
   地点Fは,草原になっており,ミツボシフタオツバメアサクラアゲハが花に飛来してい
  た。春は,スギタニルリシジミもいる。普通は,ここで昼食をとり,引き返すことが多い。
   ここからは,きつい山登りの道になる。道は左右にジグザグと曲り,草が道を覆ってい
  る場所もある。クロセセリタイワンキミスジキミスジなどが時々,姿を現す。
   峠に着くと,ここからは下りになる。そして,この峠を下って,道が平らになった場所が,
  アリサンシジミタテハの発生地である。40年前も同じ場所で発生しており,ここでしか見
  られない蝶である。
   さらに道を進むと,道が完全に草に覆われている場所に着く。この草むらには,ダニ,
  ヒルがいて,足元から登ってくるので,要注意である。
   ここを抜けると,河原に出る。河原では,ヒメキミスジアサクラアゲハルリタテハ
  コノハチョウタイワンルリシジミウラフチベニシジミなどが飛んでくる。この河原の先
  は道がなく,ここで引き返すことになる。
   アリサンシジミタテハを狙う以外は,この山登りをする必要はないように思えた。
  
<下の地図をクリックすると,大きな画像を見ることができます>

埔里を基地とする周辺の地図


南山溪の地図


道路沿いにある南山溪の入口


地点から への川に入って渡る場所



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