蘭  嶼



...<総合評価>     ★ ★ ★

● 発生数        
★ ★ ★ (3月上旬)
● 種類数
★ ★  (3月上旬)
● 行程の容易さ (交通不便)
● 行程の安全性   
★ ★ ★ (普通)
● 目的地までの経費 
★ ★ ★ (バイク1日=1000元)
● 人の多さ  
★ ★ ★ (少ない)

  台北の松山空港から飛行機で台東空港に行き,そこから蘭嶼空港まで飛行機で行く方
 法と,台東から船便で蘭嶼に置く方法がある。どちらも事前の予約をしておく必要がある。
  特に,台東空港から蘭嶼空港への飛行機は,蘭嶼空港が小さいため,風の影響を受け
 やすく,天候が悪いと飛行機が欠航になりやすい。また,帰りも同様で,飛行機が飛ばない
 ことも多い。欠航した場合,以降の便のキャンセル待ちになるのだが,満席状態で席を確
 保することは非常に難しい。実際,私の場合も欠航となり,翌日の便を取るのが精一杯で
 あった。
  島には,タクシーは1台しかなく,バイクをレンタルして動きまわるのがよい。免許は,日本
 の免許証の翻訳書をJAFに作ってもらい,それも持参すれば,運転が許可される。
  島には,ツツガムシ病があるので,草に触れるようなジャングルに入らないことが安全で
 ある。どうしてもジャングルに入る必要があるときは,吸血されないように,足元や腕の部分
 の衣服に隙間がないように着ることや虫よけスプレーを十分に散布しておくことが必要であ
 る。
  
...<標   高>  10m 〜 304m (ポイントH)

...<採集の可不可>
  昆虫採集は,コウトウキシタアゲハなど,一部の昆虫は,法律で採集が禁止されている。

...<宿泊地までの交通手段>
  宿の人に到着の時間を知らせておくと,空港まで自家用車で迎えに来てくれる。その他の
 方法はない。

...<宿   泊>
  蘭嶼の島には,民宿がたくさんあるが,観光地のため,予約をしておく必要がある。 価
 格は結構高い。朝食はついていない民宿が多く,村のどこかで朝食を売っている店があり,
 村人が大勢,買いに来ている。

...<目的地までの交通手段>
  民宿からポイントまで歩くのは無理なので,バイクを使うしかない。

...<日程>
  島を一周する道路があり,40kmほどである。また,島の南西部には,島を横断する道路
 があり,標高が324mある山の山頂付近まで行くことができる。そこには,気象観測所があ
 る。また,島の北西部には,やはり小高い山の山頂まで行ける道があり,山頂は,軍事基地
 になっていて,入れない。

...<昼   食>
  村に雑貨屋があり,パンや飲み物を買うことができる。

...<ト イ レ>
  宿以外はない。

...<特筆すべき蝶と撮影ポイント> 
   
  ・ コウトウキシタアゲハ A  ※ 採集禁止
     このポイントには,ハイビスカスの花が咲き乱れていて,午前中に吸蜜に集まってくる。
    午後は,いない。1日に10頭近くを近距離で見ることができる。この周辺でも見ることは
    できるが,少ない。
  ・ カラスアゲハ(紅頭亜種) A
     Aでは,ハイビスカスの花に集まるが少ない。 では,センダングサの群落があり,
    そこに時々飛来した。では,尾根沿いに時々飛来した。
  ・ アリサンクロセセリ B
     センダングサの群落があり,そこに集まってくる。
  ・ シロオビマダラ 
     台湾では,近年は記録がない。センダングサに飛来した。
  ・ ベレニケアマミウラナミシジミニセウラナミシジミ B
     センダングサの群落があり,そこに集まってくるが,非常に少ない。
  ・ ルリウラナミシジミ C
     ここは,ジャングルの中にアスファルトで舗装された道があり,ツツガムシに怯える必
    要がない。うっそうとした木々の間を飛翔しているが少ない。
  ・ コウトウシロシタセセリ C
     ジャングルの一角で見られたが,非常に少ない。
  ・ オオゴマダラ C,F
     では,ジャングルの樹間に見られ,では,小さな木々の樹上を十数頭の個体が乱
    舞する姿が見られた。
  ・ ツマグロヒョウモン 
     Dでは,草原に入ることができる小道があり,その周辺で見られる。Hでは,山頂に集
    まる数頭の個体を撮影できた。
  ・ オオシロモンセセリ E
     山の斜面にある小さな木々の一角に発生地があり,数頭を確認することができた。
  ・ ウラナミシジミコウシュンルリシジミ I
     豆科の草が生えている場所があり,産卵や吸蜜に訪れていた。
  ・ タテハモドキ J
     岩場と草が一帯に広がっており,かなり多数の個体が発生していた,
  ・ キシタシロチョウ K
     この場所のみで見られ,センダングサに飛来した。

. <撮影ポイントの案内>   
   海岸線に沿って進むと,では,ハイビスカスの植え込みが50mほどは続いている。3月
  上旬は,コウトウキシタアゲハの最盛期で,一日に十頭近くの個体を見ることができる。
  カラスアゲハ(紅頭亜種)も時々飛来するが,少ない。
   さらに進むと,大きな橋があり,その袂には,センダングサの群落があり,アリサンクロ
  セセリベレニケアマミウラナミシジミニセウラナミシジミカワカミシロチョウなど,各種
  の蝶が集まる。台湾初記録?のシロオビマダラも飛来したのもこの場所である。
   その橋の向こう側には,ジャングルへ続く道があり,舗装してあるので安全に入ることが
  できる。カラスアゲハ(紅頭亜種)アリサンクロセセリルリウラナミシジミコウトウシロ
  シタセセリオオゴマダラユウレイセセリなど,たくさんのチョウが姿を現す。
   からは,海岸側に広がる草原に入ることができる。土の道や木道が整備されていて,安
  全である。ツマグロヒョウモンは,センダングサに飛来したり,草原を飛び回っている。
   さらに進むと,崖沿いの斜面に岩がゴツゴツと顔を出し,背丈の低い草が繁茂している場
  所に出る。その一か所にオオシロモンセセリの発生地があり,数頭の個体が飛翔してい
  た。
   までの道の周辺は,畑になっており,ヤマトシジミがいるくらいで,殆ど何もいない。
  は,オオゴマダラがたくさん集まっている。木の花に飛来したり,仲間同士で乱舞している様
  子を間近で見ることができる。
   は,山に上る途中の場所で,センダングサの群落があり,カラスアゲハ(紅頭亜種)
  カワカミシロチョウなどが姿を現す。
   は,山頂で,気象台の観測所があり,入ることができる。そこは,平地であるので,山頂
  性のあるツマグロヒョウモンアサギマダラなどを見ることができた。
   は,廃家の隣にある荒れ地で,マメ科の植物が生えており,ウラナミシジミが飛来してい
  た。蘭嶼では,非常に少ないコウシュンルリシジミも撮影することができた。
   からは,山に向かって道が続いている。その周辺では,タテハモドキが発生しており,こ
  こでしか見られなかった。この道は急峻で,一番奥が軍事基地になっている。
   では,蘭嶼でしか見られないキシタシロチョウが姿を現した。他の場所では,全く見られ
  なかったので,平地には分布せず,このような急峻な斜面のジャングルに生息しているもの
  と思われる。飛び方は非常に速く,3頭を確認することができた。には,センダングサの群
  落があり,吸蜜に来るならば,空間が広がっているこの場所が最適と考え,しばらく待ってい
  ると,本当に吸蜜にやってきて,たくさんの写真を撮らせてくれた。
   は,尾根沿いの林道で,カラスアゲハ(紅頭亜種)リュウキュウムラサキなどが姿を現
  した。
   
<下の地図をクリックすると,大きな地図を見ることができます>

蘭嶼のポイント


台東市の知本・楽山から見た蘭嶼の全景

※ 島全体が山岳地帯となっており,島の中央部のやや右にピークがある
島の左の隅には,もう一つのピークがあり,軍事基地となっている


台東-蘭嶼 を結ぶ飛行機


ハイビスカスの花が咲くポイント 


ジャングルへ続く通路 


ポイントから見た蘭嶼の西部の海岸

※ 写真の右上にある尖った山が,ポイント


北西部の海岸線に生息する野生のヤギ



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