知本溪 (知本温泉)



...<総合評価>     ★ ★
  
● 発生数        
★ ★ ★ (3月〜4月)
★ ★ ★ (5月)
★ ★ ★ ★ (6月)
● 種類数
★ ★ ★  (3月〜4月)
★ ★ ★ (5月)
★ ★ (6月)
● 行程の容易さ (上りの道,一部ジャングル状態)
● 行程の安全性   
★ ★ (危険)
● 目的地までの経費 
★ ★ ★ (往復バス=48元)
● 人の多さ   
★ ★ ★ (皆無)

  2014年の台風で,渓谷の崖崩れが発生し,道路が崩壊している場所が2か所ある。
 最初の崩壊場所は,2015年の豪雨でさらに崩壊し,相当な覚悟をしなければ渡ること
 ができない。足を踏み外せば,谷底へ落下し,確実に死に至る。
  この場所を抜けると,人がほとんど通らないためジャングル状態になっており,草をかき
 分けて進む状況になるが,200mほど行くと舗装された道になるので,それほど厳しくは
 ない。しかし,ほとんど登りの道であることは変わりがない。
  2か所目の双子滝がある場所は,非常に危険で,渡るルートが見つからなかった。しか
 し,それより先は,数百mで行き止まりになり,良いポイントはないので,ここまで行けば十
 分である。
  この知本渓は,2014年以前は,素晴らしいポイントであったが,今後,道路が普及し
 ない限りは,行かない方が良い場所になってしまった。

...<標   高>  135m (遊楽区バス停) 〜 463m (ポイントB)

...<採集の可不可>
  昆虫採集は,知本森林遊楽区は,禁止されている。

...<宿泊地までの交通手段>
  新左営かられ列車で知本火車站まで行く。列車は本数が少なく,席がなかなか取れない。
 座席なしで乗ることもできる。知本火車站からバス,もしくはタクシーで,知本温泉へ行く。
 20分ほどで着く。帰りの知本火車站から新左営までの切符は,1[週間前から売っている
 ので,なるべく早めに購入しておく方が安心である。

...<宿   泊>
  温泉街には,数件の大型ホテルがあり,食堂街もある。コンビニは2つあり,便利である。
 中国からの旅行者が多く,ホテルの近くには,大型バスが何台も駐車している。

...<目的地までの交通手段>
  知本温泉街からバスを使って,終点のバス停の森林遊樂區まで行く。そこからは,歩き
 で,知本溪ぞいに歩く。

...<日   程>
  8時に森林遊樂區のバス停を出発して,撮影をしながら歩いていき,約6km先のB地点
 で昼食をとり,行き止まりの場所まで行って,森林遊樂區のバス停まで戻ってくると,夕方
 の4時頃になる。後は,バスに乗って,知本温泉まで行く。バスは,1時間に1本程度であ
 るので,時間を確認してから歩き出すことが大切である。バスの最終は,17時前後である
 ので,気を付けたい。

...<昼   食>
  地図のB地点は,道を横切るように川が流れており,岩の上に座っての昼食は,最高で
 あったが,崖が崩壊し,これ以上,先には進めない。

...<ト イ レ>
  トイレがあるのは,森林遊樂區のバス停下ったところに,水洗のトイレが1ヶ所あるだけ
 である。

...<特筆すべき蝶と撮影ポイント>  ※ 地図のA〜B の間が絶好ポイント
  ・ タッパンウラナミジャノメ
     最近は,この知本溪でしか見られない珍しい蝶で,地図のA〜B の間で,ススキ
    のような草が生えている場所に生息している。
  ・ カノウラナミジャノメ
     台湾の南部では,非常に少なく,この渓谷でも1頭が撮影できただけである。
  ・ シロスジマダラ
     大型のジャノメチョウで,数頭を撮影できた。
  ・ ダイミョウセセリ
     知本溪では,発生期には,1日に十数頭をみることができるが,他の場所ではほと
    んど見ることができない。
  ・ ホソバキボシセセリ
     あまり数は多くない。他の場所ではほとんど見ることができない。
  ・ キマダラコチャバネセセリ
     知本溪のみで記録することができた。
  ・ アサクラシジミ
     1地点であったが,薄暗い林の中で,数頭を確認することができた。
  ・ ムラサキツバメ
     アサクラシジミが生息する場所で,確認できた。
  ・ ミツオシジミ
     薄暗い林道で,確認できた。
  ・ クロセセリ
     知本溪でも,特定な場所で確認できた。他の場所では少ない。
  ・ ホリシャアカセセリ
     少ない蝶である。
  ・ タッパンチャバネセセリ
     知本溪でも,特定な場所で確認できた。
  ・ タイワンヤマキチョウ
     発生期では,数頭の個体を撮影することができた。

. <撮影ポイントの案内>  
   知本温泉街に宿泊し,バスを使って森林遊樂區まで行き,そこから歩くようにした方が,
  渓谷の行程が長いので楽である。
   森林遊樂區のバス停を降りたら,帰りのバスが何時に来るかを調べておくことが大切
  である。1時間に1本くらいしかないので,乗り遅れると何もしないで待たなくてはならない
  からである。
   バス停からは,100mほどは下りになる。そこに,水洗トイレがあるので,用を足しておく
  とよい。他にはトイレはない。
   そこから1km程は,舗装された道路を歩いていく。道沿いには,荒れ地があり,タイワン
  ウラナミジャノメクロテンシロチョウタイワンモンシロチョウなどが多く,稀にキシタ
  アゲハも木の花に飛来しているのを見ることができる。キンミスジも確認できた。
   しばらく行くと分岐点があるので,そこは,右側の道を歩く。登りになるので,かなりきつ
  い。道の右側は,草むらになっており,オオウラナミジャノメタイワンウラナミジャノメ
  どが姿を見せる。さらに進んでいくと,タイワンキマダラキミスジリュウキュウミスジ
  シロウラナミシジミなどが現れる。そして,500m程進むと,分岐点になるが,右側の道に
  は柵があり,入れない。左側の道は狭く,ここからが絶好のポイントが連続するようになる。
   地点Aの登りは,かなりきつい。ゆっくりと歩んでいけばよい。道端には,小さな花が咲い
  ており,ホソバセセリタイワンキマダラセセリタケアカセセリホリシャアカセセリ
  どが吸蜜している。タイワンヤマキチョウも多い。メスチャヒカゲクロコノマチョウなども
  時々,姿を現す。明るい場所には,リュウキュウムラサキコノハチョウもいる。
   その先,200mほどの所で崖が崩落し,10m位,瓦礫の上を歩いて対岸へ渡らなけれ
  ばならない。瓦礫に上は,水平に近い部分があるので,足を滑らせないようにして渡れば,
  通れないことはない。しかし,足を滑らせれば,谷底へまっさかさまである。そこを抜けると
  人がほとんど通っていないので,草が生い茂り,道がほとんどわかない状態となる。生えて
  いる草が,キク科もので種が棒状で服に着くので,チクチクして痛く,通り抜けて前進が種だ
  らけになってしまう。しかし,そのジャングルを抜けてしまえば,放送されている道になるの
  で,植物が侵入できないため,少しは通りやすい。  
   さらに500m程進むと,背の高いススキが道の両側に生えている場所がある。そこが,珍
  蝶のタッパンウラナミジャノメカノウラナミジャノメタカオウラナミジャノメの生息地で
  あるが,個体数は,極めて少ない。ススキの林の中からなかなか出てこないが,すぐに止ま
  るので,粘れば撮影は可能である。
   道は,さらに奥地へ続いており,ホソバキボシセセリキマダラコチャバネセセリクロ
  セセリタッパンチャバネセセリムモンセセリアトムモンセセリなどが現れる。渓流を
  渡る橋の周辺では,タイワンヤマキチョウが見られ,カラスアゲハタイワンカラスアゲハ
  も時々飛来する。
   樹林の中を通る薄暗い場所には,アサクラシジミムラサキツバメエグリシジミミツ
  オシジミなどが見られ,大型のジャノメチョウであるシロスジマダラも時々,姿を現す。
   さらに,地点Bに近づくと,コジャノメタッパンウラナミジャノメなどがいたり,シロオビク
  ロヒカゲオオシロオビクロヒカゲなども見られる。
   地点Bはまで来ると,昼食の時間になっている。道の上を渓谷の水が流れ,双子滝があり,
  大きな岩が数個,転がっているので,その上で弁当を食べることにしている。しかし,ここも
  2014年の崖崩れで,道は完全に崩壊しているが,この先には,良いポイントはなく,200m
  ほどで行き止まりになるので,これ以上,進む必要はない。
   ニ子滝の近くの水溜りには,カラスアゲハタイワンカラスアゲハタイワンルリシジミ
  ホリシャルリシジミなどが吸水に訪れる。タカオウラナミジャノメも現れた。
   ここまで来たら,同じ道を引き返すことになる。帰りは,ほとんど下りであるので楽である
  が,崖崩れの場所や道が湿っていて滑る場所が数ヶ所あり,気を付ける必要がある。バス
  の時間とかかった時間を計算して,待ち時間のないように,歩いていくことも大切である。
   なお,バス停の対岸にある森林遊樂區は有料の公園で,あまりに整備され過ぎており,
  蝶はほとんどいなかった。
   知本溪は,台北から遠く,交通の便があまりよくない場所で,危険性が高いが,台湾の蝶
  の中で,セセリチョウ類,ジャノメチョウ類の撮影(採集)ポイントとしては,最高の場所の一
  つであることは間違いない。
    ...
<下の地図をクリックすると,大きな画像を見ることができます>

知本溪の地図


最も危険な崖崩れ箇所
2014年の夏までは,向こう側からこちら側まで,舗装道路があった。


瓦礫の右は,落差50mの崖になっている。
ここを渡って行っても,奥はジャングルになっている。


双子滝の下の崖崩れの場所  (落差3m)


タイワンヤマキチョウが集まるポイント


タッパンウラナミジャノメがいるポイント



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