日本の蝶 <シロチョウ科>  トンボシロチョウ亜科


<写真の下に,データ付きの拡大写真もあり> 


・ヒメシロチョウ  名義タイプ亜種, 中国地方・九州・大陸亜種    Leptidea amurensis amurensis (Menetries, 1858)


写真数: 1枚 


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  山間にある日当たりのよい草原に生息し,地上近くを緩やかに飛ぶ習性がある。
 日本には,次の2亜種がある。
   名義タイプ亜種, 中国地方・九州・大陸亜種 L.amurensis amurensis (Menetries, 1858)  
   北海道・本州亜種 L.amurensis vibilia (Janson, 1878)
 この名義タイプ亜種は,翅形が丸みを帯び,エゾヒメシロチョウに似ている。
 次の地域では,法律で採集禁止種に指定されている。
広島県全域(県)
【雌  雄】 ♂は,夏型は,翅頂付近の黒斑がり,♀は,翅形が丸くなるので,雌雄を区別することができるが,春型は黒斑が発達しないので難しい。
【食  草】 ツルフジバカマ(マメ科)
【生  態】 本州では,年3回,発生し,4月上旬〜9月に見られる。蛹で越冬する。
【生息地】  この亜種は,中国地方と九州に分布している。
 大分県,宮崎県では,絶滅危惧T類に指定されている。
 環境省のレッドデータでは,絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。
【分  布】  種としては,日本以外では,アムール,中国,アルタイ,朝鮮半島に分布している。
 中国では,黒竜江省,河北省,遼寧省,山東省,山西省,陳西省,河南省,甘粛省,新疆ウィグル自治區に分布している。
【近似種】 (エゾヒメシロチョウの欄を参照)
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
九 州



































記録


・ヒメシロチョウ  北海道・本州亜種    Leptidea amurensis vibilia (Janson, 1878)

夏型 ♂
写真数: 114枚 

夏型 ♀
出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  山間にある日当たりのよい草原に生息し,地上近くを緩やかに飛ぶ習性がある。最近は,自然に恵まれた草原の減少により,個体数は非常に少なくなっている。
 春型と夏型がある。春型は小型で,表面の地色は灰白色で,前翅外端の黒斑は発達せず,3本の線状になる。前後翅の裏面の地色は,暗黄色になる。
 夏型の表面の地色は白色になり,前翅外端の黒斑は良く発達し,楕円形になる。
 次の地域では,法律で採集禁止種に指定されている。
新潟県妙高市(市)
【雌  雄】  ♂は,翅頂付近の翅形が尖り,前翅表面の黒斑が♀よりも発達し,♀は,翅形が丸くなり,♂よりも大型になるので,雌雄を区別することができる。

♂ 春型

♀ 春型

♂ 夏型(上) ♀ 夏型(下)

♂ 春型(裏面)

♀ 春型(裏面)

♀ 夏型(裏面)(左)  ♂ 夏型(裏面)(右)
【食  草】 ツルフジバカマ(マメ科)
【生  態】  本州では,年3回,発生し,4月上旬〜10月上旬に見られる。
 北海道では,年2回,発生し,5月〜8月に見られる。蛹で越冬する。
【生息地】  この亜種は,北海道から中部地方にかけて見られる。 
 栃木県,東京都,島根県では,絶滅した。宮城県,新潟県,群馬県,茨城県,神奈川県,岐阜県,広島県では,絶滅危惧T類に指定されている。
 環境省のレッドデータでは,絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。
【分  布】  種としては,日本以外では,アムール,中国,アルタイ,朝鮮半島に分布している。
 中国では,黒竜江省,河北省,遼寧省,山東省,山西省,陳西省,河南省,甘粛省,新疆ウィグル自治區に分布している。
【近似種】 エゾヒメシロチョウに似ているが,本種は前翅の翅頂付近がやや尖り,前翅の幅が狭いので,区別することができる。
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
本  州



































北海道



































記録
2014.5.4,長野県白馬村,1♂,関戸裕靖
2014.8.31,長野県諏訪郡,1♂,足立幸子
2015.5.10,長野県白馬村,1♂,関戸裕靖
2015.4.29,長野県諏訪郡,1♀,足立幸子
2016.4.30,長野県白馬村,2♂♂1♀,関戸裕靖
2016.5,4,長野県白馬村,1♂,鈴木栄二
2016.8.20,静岡県富士吉田市,2♂♂2♀♀,安中弘行
2018.7.6,岩手県遠野市,2♂♂2♀♀,安中弘行
2019.5.4,長野県諏訪郡,1♀,松井慶夫
2019.5.4,長野県北安曇郡,1♂,関戸裕靖
2019.6.9,青森県七戸町,1♂,足立幸子
2022.9.6,長野県東部,2♂♂2♀♀
2022.9.7,青森県東北町,1♂1♀,三河和夫
2023.4.20,長野県東部,1♂
2023.5.9,長野県東部,1♀
2023.5.16,岩手県久慈市,1♂,三河和夫
2023.6.28,青森県東北町,2♂♂2♀♀,三河和夫
2023.8.7,青森県上北郡,1♀,三河和夫
2023.8.9,青森県八戸市,1♂,三河和夫
2023.8.22,長野県原村,2♂♂6♀♀
2023.9.6,青森県東北町,1♂1♀,三河和夫
2023.10.2,青森県東北町,1♀,三河和夫

・エゾヒメシロチョウ    Leptidea morsei morsei (Fenton, [1882])


写真数: 13枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  発生地は限られており,草原,河川の堤防,荒れ地などで,弱々しく飛ぶ習性がある。
 春型と夏型がある。春型は小型で,表面の地色は灰白色で,前翅外端の黒斑は発達せず,後翅裏面の中央にある暗黒条は発達する。
 夏型の表面の地色は白色になる。
【雌  雄】 ♀は,翅頂付近の黒斑の色が薄くなるので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 クサフジ・ホソバクサフジ・ツルフジバカマ・ヒメレンリソウ(マメ科)
【生  態】 年2〜3回,発生し,4月中旬〜9月上旬に見られる。蛹で越冬する。
【生息地】  北海道の道南,道北を除く地域に見られる。
 北見市,足寄郡足寄町で撮影することができた。
【分  布】 北海道の特産種である。
【近似種】 ヒメシロチョウに似ているが,本種は前翅の翅頂付近がやや丸く,前翅の幅が広いので,区別することができる。
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
寒冷地



































記録
1998.7.25,北海道北見市,2♂♂1♀
2013.7.21,北海道足寄郡足寄町,4♂♂2♀♀
2013.7.25,北海道千歳市,1♂,安中弘行
2014.5.30,北海道帯広市,1♀,安中弘行
2022.5.17,北海道帯広市,1♀,安中弘行
2022.5.18,北海道池田町,1♂,安中弘行
2022.5.19,北海道帯広市,1♂1♀,安中弘行


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シロチョウ亜科 は,ここをクリックすると見ることができます

    

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