日本の蝶 <アゲハチョウ科- アゲハチョウ亜科2>


<写真の下に,データ付きの拡大写真もあり> 


ウスバアゲハ亜科 は,ここをクリックすると見ることができます

アゲハチョウ亜科1 は,ここをクリックすると見ることができます


・アオスジアゲハ    Graphium sarpedon nipponum (Fruhstorfer, 1903)


写真数: 130枚


出現頻度
★★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】  平野部に広く分布するチョウである。春に見られる個体は,青色の帯がよく発達する。各種の花に集まる。飛び方は非常に速く,なかなか止まらない。
 春型は,夏型に比べて小型で,青色帯の幅が広い。
 羽化直後の個体は,中央の青色帯が黄白色である。この黄白色の帯は,数時間が過ぎると通常の青色帯になる。羽化直後の黄白色の個体を標本にしても,中央の帯は黄白色のままで青色にはならない。

 地理的変異があり,伊豆諸島の三宅島,八丈島に生息する個体は,春型も青色帯の幅が広く,以前は,別亜種 ssp. hachijo-insulanum とされたが,現在では,日本本土と同じ亜種に含まれた。
 八重山諸島周辺に生息する個体は,台湾亜種に似たような特徴があり,大型で,青色帯の色が濃く,以前は,別亜種 ssp. morius とされたが,現在では,日本本土と同じ亜種に含まれた。
 本種は,斑紋異常の個体が稀ではあるが記録され,その形状によって型の名前が付けられており,その複合型も出現している。そこで下記に型をまとめてみた。 

・ハンキュウ型
…前翅の翅頂付近の前縁側に,
さらに1つの青色斑が現れる個体

斑紋異常 ハンキュウ型
2013.4.28  愛知県 西尾市
撮影: 足立 幸子 氏

♀ 斑紋異常 ハンキュウ型
2015.6.30  台湾 南投縣 翠峰

♂ 斑紋異常 ハンキュウ型
2017.4.3  台湾 新北市烏来区

♂ 
斑紋異常 エサキ型 + ハンキュウ型
2017.4.3  台湾 新北市烏来区

♀ 斑紋異常 ハンキュウ型
2022.4.30  愛知県 岡崎市
撮影: 高村 葉子 氏
・タンノ型
…前翅の翅頂付近の外縁側に,
さらに1つの青色斑が現れる個体


※ 高知県の東部では,タンノ型が
 かなり高い確率で出現する。
 

♂ 斑紋異常 タンノ型
2018.7.16  愛知県 岡崎市

♂  ♂  吸水集団
2019.7.27  高知県 香美市
斑紋異常 タンノ型 (右端の3頭)
撮影: 高月 陽生 氏

♂ 斑紋異常 タンノ型
2015.7.14  台湾 新北市汐平路


斑紋異常 白化型 + タンノ型
台湾
※ 裏面も白化している

♂ 斑紋異常 タンノ型
2020.7.4  高知県 香美市
撮影: 高月 陽生 氏

♂ 斑紋異常 タンノ型
2020.8.1  高知県 香美市
撮影: 高月 陽生 氏

♂♂ 吸水集団
 斑紋異常 タンノ型
2020.8.9  高知県 香美市
撮影: 高月 陽生 氏

♂♂ 吸水集団
 斑紋異常 タンノ型
2020.8.9  高知県 香美市
撮影: 高月 陽生 氏

♂ 斑紋異常 タンノ型
2023.7.30  高知県 香美市
撮影: 高月 陽生 氏

♂ 斑紋異常 タンノ型
2024.4.28  愛知県 春日井市
撮影: 荒川 尚彦 氏
・エサキ型
…前翅に中室の前縁側に,さらに
1つの青色斑が現れる個体


斑紋異常 エサキ型 + ハンキュウ型
2017.4.3  台湾 新北市烏来区


斑紋異常 エサキ型 + サワノ型
2021.5.15  高知県 高知市
撮影: 高月 陽生 氏
・サワノ型
…前翅には,通常は青色斑が9つ
出現するが,最も翅頂に近い斑紋
が消失し8斑になったり,小さくな
っている個体

♀ 斑紋異常 サワノ型
2015.6.21  台湾 高雄市 茂林

♂ 斑紋異常 サワノ型
2017.3.29  台湾 新北市烏来区

♂ 斑紋異常 サワノ型
2017.4.3  台湾 新北市烏来区

♂   ♀
 斑紋異常 サワノ型
2019.7.15  台湾 台東縣

・ルヌラ型
…後翅の中央にある青色斑の前縁
部にある白斑の外縁側の曲線が直
線的になる個体
・ヒラヤマ型
…後翅の尾状突起が,異常に突出
した個体
・ナミダ紋型
…後翅中室の青色斑の外縁側に
涙型の小さな青色斑が現れる個体
・黄斑型
…後翅裏面の亜外縁,後角部付
近には,正常な個体は赤色斑が
出るが,それが黄色斑になる個体
・スズキ型
…後翅亜外縁の青色斑が消失し
たり,不鮮明になっている個体
・白化型
…後翅の地色が白化した個体

♂ 斑紋異常 白化型 + タンノ型
台湾
※ 裏面も白化している


・ホソオビ型
…夏型の個体は,前後翅の青色
斑が細くなるが,異常に細くなる
個体

♀ 斑紋異常 ホソオビ型
2019.7.15  台湾 台東縣 知本

♀ 斑紋異常 ホソオビ型
2019.7.17  台湾 花蓮市 碧緑

♀ 斑紋異常 ホソオビ型
2019.7.17  台湾 花蓮市 碧緑
・フトオビ型
…春型の個体は,前後翅の青色
斑が太くなるが,それが異常に太
くなる個体

♂ 斑紋異常 フトオビ型
2024.5.10  東京都 台東区
撮影: 小林 清二 氏
・ウスズミ型
…前後翅の青色斑に黒褐色点が
混じり,青色斑がぼやけた感じに
なる個体

♂ 斑紋異常 ウスズミ型
台湾
※ 裏面も黒化している

♂ 斑紋異常 ウスズミ型
台湾
※ 裏面も黒化している

♂ 斑紋異常 ウスズミ型
台湾
※ 裏面も黒化している
・スルスミ型
…前後翅の青色斑が地色の黒褐
色になり,青色斑がなくなった個体

♂ 斑紋異常 スルスミ型
台湾
※ 裏面も黒化している

♂ 斑紋異常 スルスミ型
台湾
※ 裏面も黒化している

♂ 斑紋異常 スルスミ型
台湾
※ 裏面も黒化している

♂ 斑紋異常 スルスミ型
台湾
※ 裏面も黒化している

♂ 斑紋異常 スルスミ型
台湾
※ 裏面も黒化している

♂ 斑紋異常 スルスミ型
台湾
※ 裏面も黒化しているる
【雌  雄】 標本では,♂は後翅内縁に白毛があることで区別できるが,生態写真では,尾部を横から見ることができ,交尾器の形状が分かれば,雌雄を区別することができる。
【食  草】 クスノキ・ヤブニッケイ・ニッケイ・タブノキ・アブラチャン・イヌガシ・バリバリノキ(クスノキ科)
【生  態】  暖地では,年5〜6回,発生し,3月〜11月に見られる。
 寒冷地では,年3回,発生し,5月〜9月に見られる。蛹で越冬する。
【生息地】 東北地方から八重山諸島まで分布している。
【分  布】  種としては,日本以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,台湾に分布している。
 台湾産は,別亜種 G. sarpedon connectens である。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に分布している。広東省,海南省,福建省,浙江省,上海市に分布しているものは,別亜種 G.sarpedon semifasciatum で,それ以外は,名義タイプ亜種 G.sarpedon sarpedon である。
【近似種】 なし
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
八重山
暖  地
寒冷地
記録
1976.4.22,愛知県岡崎市上青野町,1♂
1976.4.24,愛知県岡崎市上青野町,1♀
1976.7.23,愛知県岡崎市土井町,1♂
1979.5.3,愛知県岡崎市下青野町,1♀
1979.5.21,愛知県岡崎市戸崎町,1♂
1979.10.4,愛知県岡崎市下青野町,1♀
1980.5.2,愛知県岡崎市中園町,1♂,村田文彦
1982.9.7,愛知県岡崎市東蔵前町,1♂
1989.9.12,愛知県岡崎市本宿町,1♂,松井直人
1992.5.6,愛知県岡崎市本宿町,1♂,松井直人
1997.7.6,愛知県岡崎市岡崎公園,4♂♂2♀♀
1997.8.17,愛知県岡崎市岡崎公園,5♂♂1♀
1997.10.19,愛知県岡崎市岡崎公園,1♀
2000.5.12,愛知県岡崎市中町,1♂,大矢佑基
2000.5.21,愛知県岡崎市中町,1♂,大矢佑基
2003.9.25,愛知県岡崎市戸崎町,1♂
2004.9.16,愛知県岡崎市戸崎町,1♀
2005.9.28,神奈川県川崎市,1♀,中川紀世
2005.11.4,愛知県岡崎市戸崎町,1ex.
2006.6.30,神奈川県川崎市,1♀,中川紀世
2011.7.16,愛知県岡崎市六名3丁目,1♂,安田葉南
2012.5.13,愛知県岡崎市堂前町,1ex.,吉田 健
2012.7.6,名古屋市守山区,1♂
2012.8.30,静岡県駿河区丸子,2♂♂
2013.4.15,沖縄県名護市名護岳,3♂♂
2013.4.28,愛知県西尾市,1ex.,足立幸子
2013.9.19,愛知県岡崎市日名南町,1♀
2015.4.27,愛知県岡崎市日名南町,1♂
2017.5.2,愛知県岡崎市日名南町,1♂
2017.6.12,愛知県岡崎市山中町,1♂
2018.7.16,愛知県岡崎市北山湿地,1♂
2018.8.1,愛知県常滑市多賀神社,3♂♂
2019.5.22,愛知県豊橋市葦毛湿原,1♂
2019.7.27,高知県香美市,多数♂♂,高月陽生
2019.9.3,愛知県春日井市落合公園,1♂,荒川尚彦
2019.9.9,愛知県名古屋市名城公園,3♂♂1♀
2019.10.9,愛知県田原市蔵王山,1♂
2019.10.23,愛知県名古屋市名城公園,1♂2♀♀
2020.4.27,高知県香南市,1♂,高月陽生
2020.5.10,高知県香美市,1♂,高月陽生
2020.5.22,愛知県豊橋市葦毛湿原,1♂
2020.6.7,愛知県岡崎市石原町,1♀
2020.7.4,高知県香美市,1♂,高月陽生
2020.7.18,高知県香美市,3♂♂,高月陽生
2020.7.25,徳島県三好市,2♂♂,高月陽生
2020.8.1,高知県香美市,多数♂♂,高月陽生
2020.8.9,高知県香美市,多数♂♂,高月陽生
2020.9.2,愛知県名古屋市名城公園,多数♂♂♀♀
2021.4.10,高知県高知市,2♂♂,高月陽生
2021.5.15,高知県高知市,1♀,高月陽生
2021.7.9,愛知県春日井市,1♂,荒川尚彦
2021.7.25,高知県香美市,3♂♂,高月陽生
2021.7.28,愛知県岡崎市八ツ木町,1♀
2021.9.7,愛知県岡崎市八ツ木町,1♀
2021.9.21,愛知県岡崎市竜泉寺町,1♂
2021.10.5,愛知県名古屋市名城公園,1♂2♀♀
2022.4.28,高知県高知市,1♂,高月陽生
2022.4.30,愛知県岡崎市八ツ木町,2♂♂1♀,高村葉子
2022.5.4,高知県香美市,1♂,高月陽生
2022.5.5,愛知県岡崎市八ツ木町,1♀,高村葉子
2022.5.24,東京都小金井市,1♂,小林清二
2022.7.22,高知県土佐清水市,1♂,高月陽生
2022.8.22,愛知県岡崎市岡崎公園,1♂,高村葉子
2022.9.20,愛知県碧南市,1♀
2022.9.27,東京都多摩市,1♀,小林清二
2022.9.28,愛知県名古屋市名城公園,1♂
2022.10.8,愛知県蔵王山,1♀
2022.10.11,沖縄県国頭村,1♂,三河和夫
2023.4.20,沖縄県宮古島,1♂,高村葉子
2023.4.23,高知県香美市,1♂,高月陽生
2023.4.29,静岡県函南町,1♂
2023.7.2,沖縄県石垣島,1♀,高村葉子
2023.7.30,高知県香美市,多数♂♂,高月陽生
2023.8.19,東京都小平市,1♀,小林清二
2023.8.27,高知県香美市,1♂,高月陽生
2023.9.13,愛知県碧南市浜町,1♂1♀
2023.10.12,東京都小平市,1♀,小林清二
2023.10.18,愛知県西尾市吉良町,1♂
2023.11.2,沖縄県石垣市,2♂♂,荻野秀一
2023.11.5,沖縄県石垣市,1♂,荻野秀一
2023.11.6,沖縄県石垣市,2♂♂1♀,荻野秀一
2023.12.13,沖縄県石垣島,1♂,荻野秀一
2024.4.27,高知県香美市,1♂,高月陽生
2024.4.28,愛知県春日井市,1♂,荒川尚彦
2024.4.30,東京都小平市,1♂,小林清二
2024.5.5,茨城県坂東市,1♀,吉田信雄
2024.5.6,茨城県坂東市,1ex.,吉田信雄
2024.5.9,愛知県岡崎市八ツ木町,1♂,高村葉子
2024.5.10,東京都台東区,1♂,小林清二
2024.6.9,愛知県岡崎市岩津町,1♀,松野光恭
2024.6.16,茨城県坂東市,1♂,吉田信雄
2024.7.6,愛知県岡崎市岩津町,1♀,松野光恭
2024.7.27,高知県香美市,多数♂♂,高月陽生
2024.9.17,東京都小平市,1♀,小林清二
2024.10.17,茨城県坂東市,1♂,吉田信雄

・タイワンタイマイ    Graphium cloanthus kuge (Fruhstorfer, 1908)


写真数: 1枚
(参考:台湾産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 正確なデータがなく,誤報の可能性もある。
【雌  雄】 標本では,♂は後翅内縁に白毛があることで区別できるが,生態写真では,尾部を横から見ることができ,交尾器の形状が分かれば,雌雄を区別することができる。
【食  草】 (迷蝶のため,日本での繁殖例はない)
【生  態】 不明
【生息地】 不明
【分  布】  種としては,インド北部,ヒマラヤ,中国の南西部,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,江西省,福建省,浙江省に分布している。福建省,浙江省に分布しているものは,台湾と同じ亜種 G.cloanthus kuge (Fruhstorfer,1931) で,それ以外は,別亜種 G.cloanthus ciymenus である。
【近似種】 なし
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
日 本



































記録
(参考)2017.7.11,台湾拉拉山上巴陵,1♂
(参考)2018.7.10,台湾花蓮市碧緑慈恩,1♀

・コモンタイマイ    Graphium agamemnon (Linnaeus, 1758)


写真数: 1枚
(参考:台湾産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 開長65〜75mm。非常に速く飛び,なかなか止まらない。
【雌  雄】 ♀は尾状突起が長くなるので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 (迷蝶のため,日本での繁殖例はない)
【生  態】 2003年12月8日に記録された。
【生息地】 与那国島で記録された。
【分  布】  種としては,日本以外では,インド,インドシナ半島(マレーシアシンガポール),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,台湾に分布している。
 中国では,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に分布し,台湾と同じ名義タイプ亜種である。
【近似種】 なし
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
八重山



































記録(参考)2018.11.6,台湾南投縣本部渓,1♀

・ミカドアゲハ  日本本土亜種    Graphium doson albidum (Wileman, 1903)

♂   ♀
写真数: 45枚 


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  非常に速く飛び,なかなか止まらない。♂は,湿地に集まる習性がある。
 日本産には,次の2亜種がある。
   日本本土亜種 G.doson albidum (Wileman, 1903)
   八重山亜種 G.doson perillus (Fruhstorfer, 1908)
 裏面の基部の斑紋には,赤斑型と黄斑型がある。九州各地,屋久島,山陽地方は,黄斑型となり,紀伊半島,対馬,奄美大島以南は,赤斑型が多く,稀に黄斑型が出る。
 四国は,両方の型が混じり,愛知県のものは,紀伊半島のものなので,赤斑型が多い。
 次の地域では,法律で採集禁止種に指定されている。
山口県萩市指月山(市),高知県室戸市室戸岬(市),高知市「天神町天満宮境内、筆山町要法寺境内、塩江中学校校庭」(国),大分県臼杵市津久見島(県)
【雌  雄】 標本では,♂は後翅内縁に白毛があることで区別できるが,生態写真では,尾部を横から見ることができ,交尾器の形状が分かれば,雌雄を区別することができる。
【食  草】 オガタマノキ・サイタンボク(モクレン科)
【生  態】  この亜種は,奄美大島では,年4回,3月〜11月に見られる。
 本州では,年2回,5月〜9月に見られる。蛹で越冬する。
【生息地】  この亜種は,愛知県から奄美大島まで広く分布している。神戸市,奈良県でも記録が出た。
 愛知県では,常滑市で継続して発生しており,2022年5月には,西尾市でも記録された。
【分  布】  種としては,日本以外では,インド,インドシナ半島(マレーシアタイ),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,中国の南西部・南部,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布している。
【近似種】 なし
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
九州周辺



































本    州



































記録
2014.5.10,三重県玉城町,1ex.,関戸裕靖
2014.5.18,愛知県知多半島,2♂♂,足立幸子
2018.4.14,鹿児島県屋久島,1♂,足立幸子
2019.5.12,高知県室戸市,2♀♀,高月陽生
2019.5.16,三重県玉城町,2♀♀,関戸裕靖
2019.5.27,愛知県常滑市,3♂♂1♀
2022.4.7,鹿児島県奄美大島,1♀,高村葉子
2022.5.7,高知県室戸市,2♂♂3♀♀,高月陽生
2022.5.8,高知県香美市,1♂,高月陽生
2022.5.14,高知県香美市,1♂1♀,高月陽生
2024.5.3,高知県香美市,1♀,高月陽生
2024.5.4,高知県香美市,1♂,高月陽生

・ミカドアゲハ  八重山亜種    Graphium doson perillus (Fruhstorfer, 1908)


写真数: 22枚 


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 この八重山亜種は,日本本土亜種に比べて,表面の青みが強くなるという特徴がある。
【雌  雄】 標本では,♂は後翅内縁に白毛があることで区別できるが,生態写真では,尾部を横から見ることができ,交尾器の形状が分かれば,雌雄を区別することができる。
【食  草】 タイワンオガタマノキ(モクレン科)
【生  態】 この亜種は,年4〜5回,周年,見ることができる。越冬態はない。
【生息地】 この亜種は,沖縄本島から八重山諸島にかけて分布している。
【分  布】  種としては,日本以外では,インド,インドシナ半島(マレーシアタイ),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,中国の南西部・南部,台湾に分布している。
 台湾産は,別亜種 G.doson postianus である。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 G.doson axion が分布している。
【近似種】 なし
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
八重山



































記録
2013.9.9,沖縄県石垣島撮影,多数♂♂,辻 元
2016.4.21,沖縄県石垣島,多数♂♂,松井慶夫
2015.11.5,沖縄県石垣島,3♂♂1♀,安中弘行
2016.10.22,沖縄県石垣島,1♀,安中弘行
2017.4.18,沖縄県石垣島,多数♂♂,安中弘行
2020.2.20,沖縄県石垣島,1♀,荻野秀一
2020.2.28,沖縄県石垣島,1♂,荻野秀一
2022.10.13,沖縄県大宜味村,1♂,三河和夫
2023.10.30,沖縄県石垣市,1♂,荻野秀一

・モクセイアゲハ    Pazalamullah mullah mullah (Alpheraky,1897)    名義タイプ亜種


写真数: 1枚
(名古屋市産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  迷蝶である。採集されたのは,中国大陸の名義タイプ亜種 Graphium mullah mullah (Alpheraky 1897) である。
『月刊むし』(No.343,Sept.1999)に大塚篤氏は,『名古屋市内で採集されたモクセイアゲハ』という報文を出され,私(杉坂)はご本人から原文をいただけたので下記に掲載する。
 「筆者は,現在,輸入フルーツをデザート加工する会社に,勤務している。この個体は,会社事務所の片隅に置かれていたフルーツの空箱の脇で死んでいたもので,鈴木氏が発見,筆者の託された。
 発見当時,社内には中国・台湾方面からの荷物はなく,このチョウが流通の過程で紛れ込んだのは間違えないと思われるが,詳細は不明である。
 写真で分かるように,右尾状突起が傷ついている以外は,ほとんど完全な美しい標本で,多分フルーツの箱に紛れて偶然に運ばれた蛹が室内暖房に反応して羽化したが,羽化完了の時点で室温が下がり,そのまま凍えて死んだものと推測される。
 体が頑丈な甲虫類とちがい,破損しやすいチョウが ”ほとんど無傷のままの自然死” といった状態で発見されるのは珍しい例と思われる。」
 台湾産は,Graphium mullah chungianus (Murayama, 1961)  台湾亜種 である。
 台湾亜種は,台湾北部の山岳地帯の渓流沿いに生息しているが,名義タイプ亜種は,中国大陸の平野部にも生息し,河岸近くの島である馬祖列島の北竿島や南竿島でも生息している。
【雌  雄】 ♂は,後翅表面基部に性標があるので黒帯がV字型になり,♀は1本だけの黒帯となるので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 (迷蝶のため,日本での繁殖例はない)
【生  態】 不明
【記録地】 愛知県名古屋市中区上前津
【分  布】  種としては,台湾以外では,チベット東部,ラオス,中国の南東部,台湾の北部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 台湾の領土で,中国本土に隣接する馬祖列島の北竿島,南竿島では,2018年3月,中国大陸の名義タイプ亜種Graphium mullah mullah (Alpheraky 1897) が,元日本鱗翅学会会長の高橋真弓氏によって生息することが確認された。
 中国では,江西省,浙江省,江蘇省,福建省に分布している。
【近似種】 なし
成虫期
1月
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記録
1997.3.3,愛知県名古屋市中区上前津,1♂,鈴木英彦(標本所有者:大塚 篤)

 




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