日本の蝶 <タテハチョウ科- タテハチョウ亜科2


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・メスアカムラサキ    Hypolimnas misippus (Linnaeus, 1764)


写真数: 27枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 山林の周辺や人家の周辺など,明るい草原で見られることが多い。
【雌  雄】 ♀は,赤褐色の斑紋が広がるので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 スベリヒユ(スベリヒユ科)
【生  態】 八重山諸島では,年数回,発生し,周年,見ることができる。越冬態はない。
【生息地】 八重山諸島では,定着している。日本本土の各地で見つかっているが,迷蝶,偶産蝶である。
【分  布】  種としては,日本では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部・東部,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に,台湾や日本と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】 リュウキュウムラサキに似ているが,本種の♂は,後翅裏面の白帯が発達することで区別することができる。
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
暖 地



































記録
2016.10.24,沖縄県石垣島,1♂,安中弘行
2017.11.29,沖縄県石垣島,1♂,松井慶夫
2023.11.4,沖縄県竹富町,1♂1♀,荻野秀一

・リュウキュウムラサキ  台湾亜種  偶産蝶    Hypolimnas bolina kezia (Butler, [1878])


写真数: 70枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  八重山諸島では,定着した可能性があるが,冬期に全く見られない年もあり,単に記録がないだけなのか,本当に発生していないのかは,もう少し生態調査が進まないとはっきりしない。八重山諸島以外では,迷蝶,偶産蝶である。ここでは,これまで通り,偶産蝶として扱う。
 山林の周辺や人家の周辺など,明るい場所で見られ,見通しの良い場所で占有行動をとる。
 日本では,次の5亜種が記録されている。
   台湾亜種 H.bolina kezia (Butler, [1878])  ※ ♀の前翅表面の白斑はあまり発達しない
   大陸亜種 H.bolina jacintha (Drury, [1773])  ※ ♂♀とも後翅裏面の外縁の白帯が発達し,後翅表面の中央に白斑が発達する
   名義タイプ亜種, ジャワ亜種 H.bolina bolina (Linnaeus, 1758)  ※ ♀の前翅表面に赤斑が出現する
   フィリピン亜種 H.bolina philippensis (Butler, 1874)  ※ ♀の前翅表面の白斑は,よく発達する
   ミクロネシア亜種 H.bolina rarik (Eschscholtz, 1821) ※ ♀の前翅表面に赤斑が発達し,外縁には黄赤色の斑紋が広がる
   亜種名が未決定な個体も記録されている。 H.bolina ssp.
● リュウキュウムラサキの5亜種の分布図  ※ クリックすると拡大図があります

(引用) 福田晴夫・二町一成 「リュウキュウムラサキの諸問題」  Spec.Bu1L Lep .Soc.Jap.,(6): 35.68,1988.「蝶類学の最近の進歩」 より
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,様々なタイプの斑紋があるが,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 サツマイモ・ヨウサイ(ヒルガオ科),ツルノゲイトウ(ヒユ科)
【生  態】 八重山諸島では,年数回,発生している。冬期は,記録がない年もあり,単に記録がないだけなのか,発生していないのか,今後の調査に期待したい。国外からの迷蝶が遇産している可能性も大きい。越冬態はない。
【生息地】  八重山諸島では,夏から秋に個体数が多く見られる。沖縄本島以北や,日本本土の各地で見つかっているが,迷蝶,偶産蝶である。
 杉坂は,2019年9月3日,愛知県田原市蔵王山にて,1♂を記録した。同年8月27日にも田原市で記録されており,豊橋市でも採集され,7月に飛来した母蝶から偶産した可能性が高い。
【分  布】  種としては,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,グアム島,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 ヤエヤマムラサキ,メスアカムラサキに似ているが,本種は,より大型で,後翅裏面の白斑があまり発達しないこと,ヤエヤマムラサキのように,後翅の翅形が直線的にならないことで区別することができる。
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
八重山諸島




































沖縄本島以北



































記録
2015.9.25,沖縄県国頭村,1♂,安中弘行
2015.11.9,沖縄県石垣市,2♀♀,安中弘行
2015.12.11,沖縄県石垣市,1♂,安中弘行
2015.11.19,沖縄県石垣島,1♂,松井慶夫
2015.11.22,沖縄県石垣島,1♂,高崎 明
2015.11.23,沖縄県石垣島,1♂1♀,高崎 明
2016.10.22,沖縄県石垣市,2♂♂,安中弘行
2016.10.23,沖縄県石垣市,1♂,安中弘行
2016.11.22,沖縄県石垣市,1♂,安中弘行
2016.11.23,沖縄県石垣市,1♂,安中弘行
2017.4.14,沖縄県石垣市,2♂♂,安中弘行
2017.4.19,沖縄県石垣市,1♀,安中弘行
2019.8.27,愛知県田原市,1♂,関戸裕靖
2019.9.3,愛知県田原市,1♂
2019.11.8,沖縄県石垣市,1♂,安中弘行
2021.12.2,沖縄県西表島,1♀,三河和夫
2022.10.8,沖縄県南城市,1♂,三河和夫
2023.4.20,沖縄県宮古島,1♀,高村葉子
2023.7.2,沖縄県石垣島,1♂,高村葉子
2023.7.4,沖縄県石垣島,1♂,高村葉子
2023.7.5,沖縄県石垣島,1♀,高村葉子
2023.11.4,沖縄県竹富町,1♂1♀,荻野秀一
2024.9.1,高知県室戸市,1♂,高月陽生
2024.11.4,沖縄県石垣島,1♂,高村葉子
2024.11.4,沖縄県石垣島,1♂,村井弘子
2024.11.15,沖縄県石垣島,1♂,杉浦 昌

・リュウキュウムラサキ  大陸亜種  迷蝶・偶産蝶    Hypolimnas bolina jacintha (Drury, [1773])


写真数: 6枚

 ♀  (参考・タイ産)
出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  迷蝶,偶産蝶である。山林の周辺や人家の周辺など,明るい場所で見られる。
 この亜種は,♂♀とも後翅裏面の外縁の白帯が発達し,後翅表面の中央に白斑が発達する。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,様々なタイプの斑紋があるが,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 サツマイモ・ヨウサイ(ヒルガオ科),ツルノゲイトウ(ヒユ科)
【生  態】 夏から秋にかけての記録が多い。
【生息地】 南西諸島,太平洋沿岸で記録が多く,日本本土の各地で見つかっているが,迷蝶,偶産蝶である。
【分  布】  種としては,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシアグァム島,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキ 台湾亜種の欄を参照)
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
暖  地



































記録
2016.10.22,沖縄県石垣市,1♂,安中弘行
2016.10.23,沖縄県石垣市,1♂,安中弘行
(参考) 2019.3.14,タイ サイアム,2♂♂2♀♀,三河和夫
(参考) 2020.2.21,ベトナム ナムカッティエン国立公園,1♂,三河和夫



・リュウキュウムラサキ  名義タイプ亜種, ジャワ亜種  迷蝶・偶産蝶    Hypolimnas bolina bolina (Linnaeus, 1758)


写真数: 9枚


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。山林の周辺や人家の周辺など,明るい場所で見られる。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,様々なタイプの斑紋があるが,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 サツマイモ・ヨウサイ(ヒルガオ科),ツルノゲイトウ(ヒユ科)
【生  態】 夏から秋にかけての記録が多い。
【生息地】 南西諸島,太平洋沿岸で記録が多く,日本本土の各地で見つかっているが,迷蝶,偶産蝶である。
【分  布】  種としては,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,グァム島,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキ 台湾亜種の欄を参照)
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
暖  地



































記録
2009.10.18,高知県高知市,1♀,安中弘行
2016.10.15,高知県高知市五台山,1♀,高月陽生

・リュウキュウムラサキ  フィリピン亜種  迷蝶・偶産蝶    Hypolimnas bolina philippensis (Butler, 1874)


写真数: 1枚
(参考:フィリピン産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。山林の周辺や人家の周辺など,明るい場所で見られる。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,様々なタイプの斑紋があるが,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 サツマイモ・ヨウサイ(ヒルガオ科),ツルノゲイトウ(ヒユ科)
【生  態】 夏から秋にかけての記録が多い。
【生息地】 南西諸島,太平洋沿岸で記録が多く,日本本土の各地で見つかっているが,迷蝶,偶産蝶である。
【分  布】  種としては,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,グァム島,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキ 台湾亜種の欄を参照)
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
暖  地



































記録
(参考) 2018.3.8,フィリピン パラワン島,1♀,三河和夫

・リュウキュウムラサキ  ミクロネシア亜種  迷蝶・偶産蝶    Hypolimnas bolina rarik (Eschscholtz, 1821)


写真数: 3枚
(参考:グアム島産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。山林の周辺や人家の周辺など,明るい場所で見られる。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,様々なタイプの斑紋があるが,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 サツマイモ・ヨウサイ(ヒルガオ科),ツルノゲイトウ(ヒユ科)
【生  態】 夏から秋にかけての記録が多い。
【生息地】 南西諸島,太平洋沿岸で記録が多く,日本本土の各地で見つかっているが,迷蝶,偶産蝶である。
【分  布】  種としては,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,グァム島,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,台湾に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキ 台湾亜種の欄を参照)
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
暖  地



































記録
2009.10.18,高知県高知市,1♀,安中弘行

・ヤエヤマムラサキ  名義タイプ亜種   Hypolimnas anomala anomala (Wallace, 1869)


写真数: 24枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。山林の周辺や人家の周辺など,明るい草原で見られることが多い。
【雌  雄】 ♀は,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出るので,雌雄を区別することができる。
【食  草】 ヌノマオ(オオイワガネ科)
【生  態】 八重山諸島では,年数回,発生し,冬期に見ることもできる年もあるが,そうでない年もあり,土着種とはされていない。
【生息地】 八重山諸島では,夏から秋に個体数が多くなる。日本本土の各地で見つかっているが,迷蝶,偶産蝶である。
【分  布】 種としては,日本以外では,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,台湾に分布している。
【近似種】 リュウキュウムラサキに似ているが,本種は,後翅の翅形が直線的になることで区別することができる。
成虫期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
暖  地



































記録
2012.1.20,沖縄県石垣島,1♂,杉浦 昌
2016.10.6,沖縄県石垣島,1♂,高崎 明
2016.11.22,沖縄県石垣島,1♂2♀♀,安中弘行
2017.7.7,沖縄県石垣島,1♂1♀,高崎 明
2017.11.29,沖縄県西表島,1♀,安中弘行
2017.11.30,沖縄県石垣島,1♂,松井慶夫
2021.11.25,沖縄県石垣島,1♂,三河和夫
2021.11.26,沖縄県石垣島,1♂,三河和夫
2021.11.30,沖縄県西表島,1♂,三河和夫
2021.12.2,沖縄県西表島,1♂,三河和夫
2023.12.9,沖縄県石垣島,1♂,荻野秀一
2024.11.15,沖縄県石垣島,1♂,杉浦 昌


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