【特 徴】 |
日本産は別種で,
Papilio dehaanii dehaanii C. Felder et R. Felder, 1864 (日本本土・朝鮮半島亜種)
Papilio dehaanii hachijonis Matsumura, 1919 (八丈島亜種)
Papilio dehaanii tokaraensis Fujioka, 1975 (トカラ亜種)
に分かれている。種名は,上記の通りdehaanii である。以前は,カラスアゲハ Papilio bianor dehaanii であったが,亜種 dehaanii が格上げになり,種名カラスアゲハ dehaanii になった。
日本の奄美大島と沖縄本島には,オキナワカラスアゲハ
Papilio ryukyuensis amamiensis (Fujioka, 1981) (奄美亜種)
Papilio ryukyuensis ryukyuensis Fujioka, 1975 (名義タイプ亜種, 沖縄亜種)
日本の八重山諸島には,ヤエヤマカラスアゲハ
Papilio bianor okinawensis Fruhstorfer, 1898
が分布している。
台湾産は,P.bianor thrasymedes が世界的に定着しており,種名bianor からすれば,ヤエヤマカラスアゲハとしてもよいのであるが,以前は,カラスアゲハの種名が bianor であったことやbianor の八重山亜種が格上げになってヤエヤマカラスアゲハとなり,その和名がbianor の八重山亜種そのものを指すものであるので,宇野彰氏が,日本鱗翅学会誌YADORIGA aD239,2013 の論文の中で,台湾産の和名をカラスアゲハとしていたことも納得でき,ここでは,この論文に従い,台湾産の和名を カラスアゲハ としておく。
なお,林・蘇(2013)は,緑島産を ssp. kwashotoensis として新亜種記載をしたが,蘭嶼産をはじめとする各個体群の差異を比較したデータが示されていないなど,分類上の扱いに疑問があるため支持されていない。
開長90〜105mm。速く飛ぶが,花で吸蜜する以外に♂は地面で吸水する習性がある。個体変異が大きく,台東市の知本渓谷に発生する個体の中には,紅頭亜種のように,緑色麟が発達する個体がいた。 |