台湾の蝶 <タテハチョウ科2- イチモンジチョウ亜科2


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テングチョウ亜科〜カバタテハ亜科は,ここをクリックすると見ることができます

イチモンジチョウ亜科1は,ここをクリックすると見ることができます

・タイワンホシミスジ  (台湾産)   Limenitis sulpitia tricula (Fruhstorfer,1908)   台湾亜種


写真数: 44枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる習性がある。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,荒地,都市林で見られる。
 台北市立動物園虫虫探索谷南投縣本部溪陽明山の横峯古道,新平市の汐平路仁愛橋羅東寒溪羅東清水溪苗栗縣三義新北市八連渓谷基隆市七堵台北市聖人瀑布南投縣恵孫林場,台北市北投で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,中国の南西部・南部に分布している。
 中国では,西蔵區,雲南省,四川省,湖北省,広西區,湖南省,広東省,浙江省,福建省,上海市に,名義タイプ亜種 L.sulpitia sulpitia 分布している。
【近似種】  シロミスジに似ているが,本種は,後翅裏面の基部に黒点が現れることで区別することができる。

・シロミスジ  (台湾産)   Athyma perius perius (Linnaeus, 1758)   名義タイプ亜種


写真数: 21枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる習性がある。
【雌  雄】 ♀は,若干,翅形が丸くなるが,生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1500m)の常緑広葉樹林,海岸林,荒地,都市林で見られる。
 発生地が局部的で,撮影が難しい種の一つである。墾丁にある社頂自然公園,中部山岳の本部渓で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,インドネシア,中国の南西部・南部,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,雲南省,四川省,湖北省,広西區,湖南省,広東省,浙江省,福建省,上海市に,台湾や日本と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】  タイワンホシミスジに似ているが,後翅亜外縁の白斑の基部側に黒点が現れることで区別することができる。

・ヒラヤマミスジ  (台湾産)   Athyma opalina hirayamai (Matsumura,1935)   台湾亜種


写真数: 2枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。樹液,動物の排出物,腐った果実,各種の花に集まる。
【雌  雄】 ♀は,若干,翅形が丸くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 4月〜9月に,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(400m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 ちなみに,碧緑がある中部貫公路一帯は,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヒマラヤ,インド北部,インドシナ半島,中国の南西部・南部に分布している。
 中国では,西蔵區,雲南省,四川省,湖北省,広西區,湖南省,広東省,海南省,浙江省,福建省に分布している。海南省に分布しているものは,名義タイプ亜種 A.opalina opalina で,それ以外は,別亜種A.opalina constricta である。
【近似種】  ヤエヤマイチモンジの♀に似ているが,本種は,胴体の胸の辺りに白点が出ないことで,区別することができる。

・ナカグロミスジ  (台湾産)   Athyma asura baelia (Fruhstorfer, 1908)    台湾亜種


写真数: 35枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。人の気配に敏感な習性がある。
【雌  雄】 ♀は,若干,翅形が丸くなり,白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(50m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 発生地が局部的で,撮影が難しい種の一つである。中部山岳の本部渓南山溪陽明山二子坪陽明山横峰古道新北市八連渓谷新北市熊空拉拉山上巴陵,南投縣観音瀑布,陽明山新園街で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,インドネシア,中国の南西部・南部に分布している。
 中国では,西蔵區,雲南省,四川省,湖北省,広西區,湖南省,広東省,海南省,江西省,浙江省,福建省に分布している。江西省,浙江省,福建省に分布しているものは,別亜種 A.asura baelia で,それ以外は,名義タイプ亜種 A.asura asura である。
【近似種】  タイワンホシミスジに似ているが,後翅亜外縁の白斑の中央に黒点が現れることで区別することができる。

・ニトベミスジ  (台湾産)   Athyma jina sauteri (Fruhstorfer, 1912)    台湾亜種


写真数: 8枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,各種の花に集まる。
 拉拉山の南西側の開けた高原には,果樹園のための小道がある。その道のブッシュの上を飛んでいる個体を見つけ,ブッシュの中に止まったので撮影することができた。しかし,止まっていた時間は数秒で,パッと飛び立つと,ブッシュの上を滑らかに滑空し,飛び去って行った。
【雌  雄】 ♀は,若干,翅形が丸くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 3月〜11月上旬に,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(400m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 拉拉山の南西側の山腹に当たる上巴陵の奥地で撮影することができた。ちなみに,北部貫公路の明池国家森林遊楽区や拉拉山一体は,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヒマラヤ,インドシナ半島,中国の南西部・南部に分布している。
 中国では,西蔵區,新疆ウィグル自治区,青海省,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,福建省に分布している。新疆ウィグル自治区に分布しているものは,別亜種 A.jina huochengica で,それ以外は,別亜種 A.jina jinoides である。
【近似種】  ララサンミスジに似ているが,本種は,前翅亜外縁部の白斑の1つが横長になること,前翅表面翅頂部の白斑か3つになることで区別することができる。

・ララサンミスジ  (台湾産)   Athyma fortuna kodahirai (Sonan,1938)   台湾亜種


写真数: 4枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,各種の花,腐った果実,獣糞などに集まる。
【雌  雄】 ♀は,若干,翅形が丸くなるが,生態写真では,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 5月〜8月に,年1回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(400m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 ちなみに,北部貫公路の明池国家森林遊楽区や拉拉山一体は,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,中国の中部・東部に分布し,日本の九州と石垣島でも記録がある。
 中国では,陳西省,河南省,江西省,湖北省,四川省,広西區,浙江省,福建省に分布している。広西區に分布しているものは,別亜種 A.fortuna guangxiensis で,それ以外は,名義タイプ亜種 A.fortuna fortuna である。
【近似種】  ニトベミスジに似ているが,本種は,前翅亜外縁部の白斑の1つがニトベミスジと比べると横長にならないこと,前翅表面翅頂部の白斑が2つになることで区別することができる。

・ヤエヤマイチモンジ  (台湾産)    Athyma selenophora laela (Fruhstorfer,1908)   台湾亜種


写真数: 130枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産は,別亜種ishiana である。やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる習性がある。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,海岸林で見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド北部,ヒマラヤ,インドシナ半島,ボルネオ島,インドネシア,中国の南西部・南部,日本の八重山諸島に分布している。
 中国では,雲南省,四川省,湖北省,広西區,湖南省,広東省,海南省,江西省,浙江省,福建省に,別亜種 A.selenophora leucophryne が分布している。
【近似種】  タイワンイチモンジに似ているが,本種は,♂の胴体は黒色で白帯がなく,雌は,前翅中室の白斑が3つに分離することで区別することができる。♀は,ヒラヤマミスジに似ているが,本種は首のあたりに白点が現れることで区別することができる。
 

・タイワンイチモンジ  (台湾産)   Athyma cama zoroastes (Butler,1877)   台湾亜種


写真数: 61枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる習性がある。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,黄色斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2000m)の常緑広葉樹林,海岸林で見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド北部,ヒマラヤ,インドシナ半島,ボルネオ,中国の南西部・南部に分布している。
 中国では,雲南省,四川省,湖北省,広西區,湖南省,広東省,海南省,江西省,浙江省,福建省に,名義タイプ亜種 A.cama cama が分布している。
【近似種】  ヤエヤマイチモンジに似ているが,本種の♂は,胴体に白帯があり,♀は大型となり,斑紋が黄色で,前翅中室の黄斑が連続することで区別することができる。
 

・ムラサキイチモンジ  (台湾産)   Parasarpa dudu jinamitra (Fruhstorfer,1908)    台湾亜種


写真数: 48枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに止まる習性がある。
【雌  雄】 ♀は,白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2500m)で見られる。
 中部山岳の松崗(標高約2100m),陽明山の横峯古道台北市立動物園虫虫探索谷南投縣本部溪苗栗縣三義台北市聖人瀑布拉拉山上巴陵南投縣霧社で見られた。2016年6月には,どこから飛来したか分からないが,台北駅前の繁華街を飛翔し,看板に止まった個体を確認することができた。台南市でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島中部・北部,スマトラ島,中国の南西部・南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,雲南省,四川省,貴州省,広西區,広東省,海南省,福建省に,名義タイプ亜種 P.dudu dudu が分布している。
【近似種】 なし

・オスアカミスジ  (台湾産)   Abrota ganga formosana Fruhstorfer,1908   台湾亜種


写真数: 87枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 大型のタテハチョウである。森林性が強く,樹液,獣糞や腐った果実,各種の花によく集まる。♂は,渓流や樹林内の開けた場所で占有行動をする様子を確認することができた。占有行動では,全ての蝶を追い回し,順位的には最も強かった。♀は,林道上によく止まり,吸水行動をしていた。♂も吸水のために地上に下りることはあったが,非常に敏感で,近づくことは容易ではなかった。しかし,腐果に集まっている場合は,警戒心が薄く,近づいて撮影することができた。
 ♂には,翅表の黒斑の発達する個体,あまり発達せず橙色の地色が明るくなる個体があり,個体変異がかなりあることが分かった。

黒斑が発達している個体

通常の個体

橙色の地色が明るい個体
【雌  雄】 ♂は,翅表が明褐色になり,♀は,裏面が褐色になるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 5月〜10月に,年1回発生している。拉拉山の上巴陵(標高1200m)では,7月中旬に多数の新鮮な♀が見られ,南投縣南山渓(標高1000m)では,9月上旬に新鮮な雌が3頭見られたが,標高は大差がないのに,発生期が1か月半もずれている。年1回の発生であるならば,羽化する時期が地域によって大きく異なっているのか,もしくは,年2回発生しているのではないかという疑問を抱いてしまう。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(400m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 拉拉山の南西部の山腹に位置する上巴陵では,各所で見ることができた。台中市の東北部にある八仙山国家森林遊楽区の八仙山登山口,南投縣南山渓桃園市林班口桃園市上巴陵花蓮市碧緑慈恩で撮影することができた。特に桃園市林班口では,梅の腐果に多数の個体が集まる様子を確認することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヒマラヤ,インドシナ半島,中国の西部・南部・東部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,雲南省,四川省,貴州省,広西區,広東省,福建省に,名義タイプ亜種 A.ganga ganga が分布している。
【近似種】 なし

・イナズマチョウ  (台湾産)   Euthalia irrubescens fulguralis (Matsumura,1909)   台湾亜種


写真数: 52枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,獣糞や腐った果実などに集まる。
 八仙山登山口で,湿った地面で吸水している♂を見つけつことができた。吸水する場所を移動しながら,翅を開閉し,少し飛んでは,吸水する行動を繰り返す様子を観察することができた。数分間,同じ行動を繰り返していたが,そこへ他の蝶がやってきたとき,追飛行動を行い,そのまま,森林へ飛び去っていった。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 3月〜10月に,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(200m〜1500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台中市の東北部にある八仙山国家森林遊楽区の八仙山登山口,南投縣南山渓で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,中国の中部・南東部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,四川省,貴州省,湖南省,湖北省,浙江省,福建省に,名義タイプ亜種 E.irrubescens irrubescens が分布している。
【近似種】 なし

・オジロイナズマ  (台湾産)   Euthalia phemius seitzi Fruhstorfer, 1913    

♂  外来種
写真数: 20枚

♀  外来種
出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。外来種である。2019年10月8日,王淑華さんによって記録され,同月16日には,成虫だけでなく,卵も確認された。
 おそらく2019年の盛夏にコンテナ船で母蝶が貿易港である基龍港に運ばれてきて,偶産したものと思われる。
 飛び方は速いが,獣糞や腐った果実などに集まる。マンゴーを食樹としている。♂は,占有行動をとる。


(台湾で最初に記録された個体)
※ 日本鱗翅学会の千葉秀幸先生が,台湾の北部にある基隆市で,オジロイナズマが10月に初記録されたことを知らせてくださり,台南市の林 本初さんが,その詳細な情報を教えてくださいました。東南アジアでは,マンゴーの害虫として知られています。
 その後,千葉秀幸先生が,國立臺灣師範大學の徐教授のご協力を経て,本種の最初の記録者である王淑華さんから,このホームページへの写真の掲載の許可を取ってくださいました。 ありがとうございます。
【雌  雄】 ♀は,斑紋が異なり,マレッパイチモンジのように前翅表面が褐色になり,白帯が鮮明に現れるで,雌雄を区別することができる。
【生  態】 2019年10月に記録され,その後,台湾の北部の数か所で大発生するようになり,2024年には,北部一帯に定着した。
【生息地】 基隆市で記録された。その後,新北市,桃園市など北部一帯に拡散している。台北市でも多産していた。最近は,分布を南下させている。
【分  布】  種としては,インド北部,ヒマラヤ,インドシナ半島,中国の南西部・南部に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布している。
【近似種】 なし

・ホリシャイチモンジ  (台湾産)   Euthalia kosempona kosempona Fruhstorfer,1908   名義タイプ亜種


写真数: 33枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる習性がある。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】  5月〜10月に,年1回発生している。
 6月中旬,7月上旬に見ることができた。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(200m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 発生地が局部的で,撮影が難しい種の一つである。中部山岳の本部渓拉拉山下巴陵(標高656m),拉拉山上巴陵で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島北部,中国の南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,湖南省,江西省,浙江省,福建省に,別亜種 E.kosempona albescens が分布している。
【近似種】 タカサゴイチモンジ,マラッパイチモンジに似ているが,本種は,斑紋が黄色になり,マラッパイチモンジのように翅形が尖らないことで区別することができる。

・マレッパイチモンジ  (マラッパイチモンジ) (台湾産)  Euthalia malapana & Chung,1958  台湾特産種

♂ 表
写真数: 2枚

♂ 裏
出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,腐った果実にはよく集まる習性がある。
 絶滅危惧種で,以前は,台湾中部の石山渓で発生していたが渓谷が大崩落して入山できなくなり,最近は記録がない。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,白斑が発達するが,生態写真では雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 6月下旬〜7月に,年1回発生している。
【生息地】 台湾の中部と東部の中標高(1000m〜1600m)の常緑広葉樹林で見られる。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】 タカサゴイチモンジ,スギタニイチモンジに似ているが,本種は前翅の翅形が尖ることで区別することができる。

・タカサゴイチモンジ  (台湾産)   Euthalia formosana Fruhstorfer,1908   台湾特産種


写真数: 111枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる習性がある。拉拉山下巴陵では,カエデの樹液に集まっていた。
【雌  雄】 ♂は,前翅表面の黄白色斑の内側を結ぶ線が円弧状になり,♀は,ジグザグになること,さらに♀は,後翅裏面にある白帯の外側の境界が鮮明になるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 4月下旬〜11月に,年1回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(200m〜1500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 森林内の林道沿いで見られた。中部山岳の南投縣本部渓拉拉山下巴陵南投縣恵孫林場拉拉山上巴陵南投縣南山渓で確認できた。特に,拉拉山の下巴陵では,個体数が多く,♀も多かった。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】 マラッパイチモンジ,スギタニイチモンジに似ているが,後翅の斑紋が大きく発達することで区別することができる。

・スギタニイチモンジ  (台湾産)   Euthalia insulae Hall,1930   台湾特産種


写真数: 87枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 大型のタテハチョウである。少ないチョウの1つである。
【雌  雄】 ♀は,後翅裏面の中央にある白帯が白色になるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 6月〜11月上旬に,年1回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(200m〜3000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 発生地が局部的で,撮影が難しい種の一つである。中部山岳の梨山の思源(標高2028m),南投縣本部溪拉拉山林斑口拉拉山上巴陵南投縣松崗南投縣梅峰花蓮市碧緑神木花蓮市碧緑慈恩で撮影することができた。本部溪では,タカサゴイチモンジは,かなりの数が発生しているが,本種はその中に混じって1頭だけ,確認することができた。拉拉山林斑口では,渓流沿いの明るい空間に3頭が集まっていた。拉拉山上巴陵では,各所で複数の個体を確認することができた。花蓮市碧緑慈恩では,各所で見ることができた。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】 タカサゴイチモンジに似ているが,本種は,後翅の白帯の縁が直線的になることで区別することができる。

・イシガケチョウ  (台湾産)   Cyrestis thyodamas formosana Fruhstorfer,1898   台湾亜種

白色型
写真数: 79枚

♀ 黄色型
出現頻度
★★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産は,別亜種mabella である。中型のタテハチョウである。敏感で人の気配を感じると直ぐに飛び立つ習性がある。各地の渓流沿いには,多数の個体が吸水に訪れているのを見ることができる。
 翅の地色には,白色型と黄色型の2つの型がある。白色型の方が個体数は多い。
【雌  雄】 ♂は,白色型のみで,♀は,白色型と黄色型の両方がある。白色型の♂♀は,生態写真では区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,海岸林,都市林で見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(ラオスタイ),中国の南西部・南部,日本の紀伊半島以西に分布している。
 中国では,西蔵區,四川省,陝西省,河南省,浙江省,湖北省,江西省,福建省,広東省,広西區,香港,雲南省に,別亜種 C.thyodamas chinensis が分布している。
【近似種】 なし

・スミナガシ  (台湾産)   Dichorragia nesimachus formosanus Fruhstorfer,1898   台湾亜種


写真数: 42枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本の本土には,別亜種nesiotes,奄美大島,沖縄本島には,別亜種okinawaensis ,八重山諸島には,別亜種ishigakiana が生息している。
 やや大型のタテハチョウである。
 拉拉山の上巴陵では,樹林内の見晴らしの良い場所で占有行動をする♂を3頭,見つけることができた。同じ樹林内には,タイワンコムラサキ,ミスジチョウ類などがいたが,占有順位は最も高かった。樹液に集まる様子も観察できた。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはないが,若干,雌の翅形が丸くなるので,雌雄を区別することができる場合がある。
【生  態】 3月〜12月,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(100m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 羅東の清水溪で,人家のトイレの横にある汚水に飛来した個体を見つけたが,撮影することはできなかった。拉拉山の南西部の山腹に位置する上巴陵では,各所で見ることができた。高雄市桃源区籐枝では,トラップに来た♀を撮影することができた。本部渓でも撮影できた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ,中国の南西部・南部・東部,朝鮮半島,日本(本土奄美・沖縄八重山諸島)に分布している。
 中国では,西蔵區,四川省,陝西省,河南省,浙江省,湖北省,江西省,福建省,広東省,広西區,香港,雲南省に,別亜種 D.nesimachus nessea が分布している。
【近似種】 なし

タテハチョウ亜科は,ここをクリックすると見ることができます

コムラサキ亜科〜クビワチョウ亜科は,ここをクリックすると見ることができます

ジャノメチョウ亜科1は,ここをクリックすると見ることができます

ジャノメチョウ亜科2は,ここをクリックすると見ることができます。(容量の関係で,別ページにしてあります)




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