台湾の蝶 <タテハチョウ科3- タテハチョウ亜科


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テングチョウ亜科〜カバタテハ亜科は,ここをクリックすると見ることができます

イチモンジチョウ亜科1は,ここをクリックすると見ることができます

イチモンジチョウ亜科2は,ここをクリックすると見ることができます

・タテハモドキ   (台湾産)   Junonia almana almana (Linnaeus, 1758)     名義タイプ亜種


写真数: 55枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のタテハチョウである。敏感で人の気配を感じると直ぐに飛び立つ習性がある。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1600m)の海岸林,沼地・草原で見られるが,発生地は局所的である。
 台東市知本溪楽山,離島の蘭嶼高雄市宝来高雄市高中林道新北市五堵,台東縣達仁區,高雄市田寮區,新北市万里區,台南市龍崎區,新北市瑞芳區南雅で見られた。蘭嶼では,東北部の草原には,かなりの数の個体が発生していたが,その他の場所では見られなかった。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオス),フィリピン,インドネシア,中国の南西部・南部,日本の九州以南に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に,台湾や日本と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】 なし

・ハイイロタテハモドキ  (台湾産)   Junonia atlites atlites (Linnaeus, 1763)    名義タイプ亜種


写真数: 8枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 中型のタテハチョウである。迷蝶として飛来したが,2010年から2014年までは偶産し,台湾南部の各所で見られた。しかし,最近は激減している。
【雌  雄】 ♀は,翅表の褐色斑が黒くなり,裏面も全体的に色が濃くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生しているが,秋から冬にかけて記録が多い。
【生息地】 台湾の低・中標高(〜500m)の草原,湿地の周辺などで見られるが,発生地は局所的である。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島(マレーシアラオスタイ),フィリピン,インドネシア,中国の南西部・南部・東部に分布し,日本の八重山諸島でも記録がある。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,台湾と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】 なし

・ジャノメタテハモドキ  (台湾産)   Junonia lemonias aenaria Fruhstorfer, 1912   台湾亜種


写真数: 67枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産は,別亜種lemonias である。中型のタテハチョウである。花によく集まる。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜2000m)の常緑広葉樹林,荒地,草原,海岸林で見られる。
 南部の墾丁国家公園社頂自然公園,台東市の知本渓高雄市茂林拉拉山下巴陵高雄市直瀬溪陽明山の二子坪高雄市宝来南投縣本部渓,台東縣達仁區,屏東縣大漢山,南投縣観音瀑布,台北市碧湖歩道,台南市東山區,南投縣南山溪で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(ラオスタイ),中国の南西部・南部に分布し,日本の南西諸島でも記録がある。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,江蘇省,浙江省,福建省,上海市に,名義タイプ亜種 J.lemonias lemonias が分布している。
【近似種】 なし

・アオタテハモドキ  (台湾産)   Junonia orithya orithya (Linnaeus, 1758)   名義タイプ亜種


写真数: 64枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のタテハチョウである。乾燥した草原に見られ,♂は占有行動をする。日当たりのよい荒地や林道を好み,集団で生息していることが多い。センダングサの花によく集まる。
【雌  雄】  ♀は,前翅の前縁の褐色斑が発達するが,♂はあまり発達せず,♀は,後翅表面の中室の外側の眼状紋は,肛角付近の眼状紋より大きくなるが,♂は小さくなるので,雌雄を区別することができる。♀でも後翅表面の亜外縁に青色斑が出る個体があるが,♂に比べると青色斑の範囲は狭い。



【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜3000m)の常緑広葉樹林,荒地,草原,海岸林で見られるが,発生地は局所的である。
 中部山岳の南投縣廬山温泉奥萬大梨山の新佳陽(標高2028m),新北市の南洞高雄市宝来拉拉山上巴陵新北市瑞芳區南雅南投縣仁愛郷ナールー湾桃園市林班口,台東縣池上郷,台北市剣南山で見られた。梨山新佳陽では,かなり広い荒地で多数の個体が占有行動をしていた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,日本に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に,台湾や日本と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】 なし

・クロタテハモドキ  (台湾産)   Junonia iphita iphita (Cramer, [1779])    名義タイプ亜種


写真数: 75枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(マレーシアラオスタイ),ボルネオ,インドネシア,中国の南西部・南部に分布し,日本の八重山諸島でも記録がある。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 J.iphita horsfiedi が分布している。
【近似種】 なし

・イワサキタテハモドキ     Junonia hedonia ida (Cramer, [1775])


写真数: 1枚
(参考:日本産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のタテハチョウである。迷蝶,偶産蝶である。
【雌  雄】 ♀は,翅表が丸くなり,地色が薄くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 不明
【生息地】 文献では,恒春半島での記録がある。
【分  布】 種としては,フィリピン,パラオ,マレー半島南部,ジャワ,セレベス,ボルネオ,ハルマヘラ,ニューギニア,オーストラリア北部に分布している。
【近似種】 クロタテハモドキに似るが,本種は,後翅表面の亜外縁の円形の斑紋が大きくなり,翅形が丸くなるので,区別することができる。

・キオビコノハ  (台湾産)   Yoma sabina podium Tsukada, 1985


写真数: 30枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。やや大型のタテハチョウである。あまり数多い種ではない。
【雌  雄】 ♀は,後翅裏面がほぼ一様な赤褐色になるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の南部の低・中標高(〜1300m)の常緑広葉樹林,海岸林で見られる。
 発生地が局部的で,撮影が難しい種の一つである。南部の墾丁国家公園台東市知本溪楽山社頂自然公園高雄市直瀬溪高雄市宝来で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南部に分布し,日本の南西諸島でも記録がある。
 中国では,広西區,広東省,海南省,福建省に,台湾や日本と同じ亜種が分布している。
【近似種】 なし

・コノハチョウ 枯葉蝶 (台湾産)   Kallima inachus formosana Fruhstorfer, 1912    台湾亜種


写真数: 66枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産は,日本亜種eucerca である。大型のタテハチョウである。すぐに止まる習性があるが,高い場所に止まることが多かった。渓谷沿いの林道などによく見られ,占有行動をする。
【雌  雄】 ♀は,前翅の翅頂が大きく突出するが,個体変異もあり,生態写真では見分けがつきにくく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】  周年,年数回発生している。
 陽明山の二子坪では,6月下旬,7月中旬が発生の最盛期に当たっており,多数の個体が発生していた。
【生息地】  台湾の南部の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド北部,ヒマラヤ,インドシナ半島,中国の南西部・南部,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に分布している。海南省に分布しているものは,別亜種 K.inachus alicia で,それ以外は,別亜種 K.inachus chinensis である。
【近似種】 なし

・アカタテハ  (台湾産)   Vanessa indica indica (Herbst, 1794)    名義タイプ亜種


写真数: 58枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のタテハチョウである。敏感で人の気配を感じると直ぐに飛び立つ。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜3000m)の常緑広葉樹林,海岸林,荒地,都市林で見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド南部,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部・東部・北部,日本に分布している。
 中国の北西部の新疆ウィグル自治区から東北部の黒竜江省,南西部の雲南省,東部の浙江省,上海市まで,各地に,台湾や日本と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】 なし

・ヒメアカタテハ  (台湾産)   Vanessa cardui (Linnaeus, 1758)


写真数: 29枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のタテハチョウである。敏感で人の気配を感じると直ぐに飛び立つ。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜3500m)の常緑広葉樹林,海岸林,荒地,都市林で見られる。
 発生地が局部的で,撮影が難しい種の一つである。北部の新北市の水南洞新北市烏来区福山村新北市瑞芳區南雅南投縣ナールー湾で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヨーロッパ(イタリアクロアチア),インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア,中国の南西部・南部,日本に分布している。
 中国の北西部の新疆ウィグル自治区から東北部の黒竜江省,南西部の雲南省,東部の浙江省,上海市まで,各地に,台湾や日本と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】 なし

・シータテハ  (台湾産)   Polygonia c-album asakurai Nakahara,1920   台湾亜種


写真数: 98枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産は,別亜種hamigera である。中型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる習性がある。梨山晉元橋では,山から水が流れ出て道に広がっている場所に,多数の個体が吸水に訪れていた。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(300m〜3500m)の森林,草原など見られる。
 中部山岳の松崗(標高2024m),梨山和平梨山晉元橋(標高1858m),南投縣合歓山拉拉山上巴陵本部渓花蓮市碧緑で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヨーロッパ(フランスイタリア),インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,中国の南西部・南部,朝鮮半島,日本に分布している。
 中国の北西部の新疆ウィグル自治区から東北部の黒竜江省,南西部の雲南省,東部の浙江省,上海市まで,各地に,別亜種 P.c-album extensa が分布している。
【近似種】 なし

・ルリタテハ  (台湾産)   Kaniska canace drilon (Fruhstorfer, 1908)    台湾亜種


写真数: 60枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 台湾産は,drilon(台湾亜種)日本産は,nojaponicum(日本本土亜種),ishima(琉球亜種) に分かれており,最近は,台湾亜種も迷蝶として,記録されている。
 やや大型のタテハチョウである。♂は占有行動をし,獣糞や樹液に飛来する。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,青色斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,草原などで見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,中国の南西部・南部,朝鮮半島,日本(本土南西諸島)に分布している。
中国では,西蔵區,陳西省,山東省,河北省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に分布している。海南省に分布しているものは,別亜種 K.canace charonia で,それ以外は,名義タイプ亜種 K.canace canace である。
【近似種】 なし

・キタテハ  (台湾産)    Polygonia c-aureum lunulata Esaki & Nakahara, 1923


写真数: 52枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 台湾産の亜種は,lunulata,日本産は,名義タイプ亜種のc-aureum とされてきたが,両亜種に大差はなく,亜種名について再検討されるようである。
 中型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに地上に止まる。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1600m)の常緑広葉樹林,草原,都市林など見られる。
 中部山岳の南投縣南山渓陽明山の二子坪太平山鳩之澤苗栗縣三義新北市五堵台北市剣南山南投縣本部溪,高雄市桃源區籐枝で見られた。特に,6月中旬には苗栗縣三義で,6月下旬には陽明山二子坪で,多数の個体が発生していた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島東北部,中国,モンゴル,朝鮮半島,日本に分布している。
 中国では,陳西省,山東省,河北省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に,名義タイプ亜種 P.c-aureum c-aureum が分布している。
【近似種】 なし

・ヒオドシチョウ  (台湾産)   Nymphalis xanthomelas formosana (Matsumura,1925)   台湾亜種


写真数: 33枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産は,別亜種japonica である。やや大型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに止まる習性がある。花蓮市碧緑神木では,パイナップルビールに黒砂糖を混ぜた液体に集まってきた。
【雌  雄】 生態写真では顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年1回,2月〜7月に発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜3000m)の森林,草原,道端などで見られる。
 発生地が局部的で,撮影が難しい種の一つである。新北市烏来区福山村,花蓮市碧緑慈恩,花蓮市碧緑神木で見られた。拉拉山上巴陵,清境農場でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,中国,ロシア,朝鮮半島,日本に分布している。
 中国の北西部の新疆ウィグル自治区から東北部の黒竜江省,南西部の雲南省,東部の浙江省まで,各地に,別亜種 N.xanthomelas fervescens が分布している。
【近似種】 シータテハに似るが,本種は,前後翅の外縁に黒褐色斑が良く発達するので区別することができる。

・タイワンキミスジ  (台湾産)   Symbrenthia formosaus Fruhstorfer,1908    台湾特産種   


写真数: 83枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 2013年,Lin & Su によって新種として記載されたが,学名については,異論が多く,特に命名者は,Lin & Su ではなく,亜種名を記載した Fruhstorfer であるべきである(宇野彰,日本鱗翅学会誌YADORIGA aD246)に従う。
 中型のタテハチョウである。キミスジと混生していることが多い。♂は,占有性が強い。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,黄色斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,海岸林に見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。台東市の知本渓では,周年,タイワンキミスジ,キミスジ,ヒメキミスジの3種が同じ場所で生息していて,棲み分けもしていない。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  キミスジ,ヒメキミスジに似ているが,本種は,前翅中室の黄条斑が分離することで区別することができる。

・キミスジ  (台湾産)   Symbrenthia lilaea formosanus Fruhstorfer,1908    台湾亜種


写真数: 61枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のタテハチョウである。飛び方は速いが,すぐに葉上や地上に止まる習性がある。♂は,占有性が強い。
【雌  雄】 ♂は,後翅表面の外縁部の黄条が後角から中央までで途切れるが,♀は,後角部から前縁部までつながること。♀は,翅形が丸くなり,黄斑の色が薄くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1200m)の常緑広葉樹林,海岸林に見られる。最近は,高標高の場所でも見られるようになってきている。
 台湾の北部,中部山岳,南部など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,中国の南西部・南部,日本の八重山諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 S.lilaea lucina が分布している。
【近似種】  タイワンキミスジ,ヒメキミスジに似ているが,本種は,前翅中室の黄条斑が連続することで区別することができる。

・ヒメキミスジ  (台湾産)   Symbrenthia brabira scatinia Fruhstorfer, 1908   台湾亜種


写真数: 45枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  本種の学名には,種名を hypselis とする論文もあるが,ここでは,brabira としておく。
 中型のタテハチョウである。タイワンキミスジ・キミスジよりも局所的に分布しており,両種は棲み分けているように思われた。タイワンキミスジ・キミスジは,止まると直ぐに翅を開く習性があるが,本種は,なかなか翅を開く行動をしなかった。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,黄色斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】  周年,年数回発生している。
 発生数は,タイワンキミスジ・キミスジよりも少ない。5月下旬,羅東新城溪では,1か所で7頭を確認することができた。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2000m)の常緑広葉樹林に見られる。
 中部山岳の南山渓本部溪羅東新城溪新北市烏来区福山村新北市烏来区桶後林道台北市聖人瀑布拉拉山上巴陵,谷関八仙山,南投縣観音瀑布,桃園市林班口で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド北部,ヒマラヤ,インドシナ半島,ボルネオ島,インドネシア,中国の南西部・南部に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,名義タイプ亜種 S.brabira brabira が分布している。
【近似種】  タイワンキミスジ,キミスジに似ているが,本種は,裏面に小さな斑紋が分散することで区別することができる。

・メスアカムラサキ  (台湾産)   Hypolimnas misippus misippus (Linnaeus,1764)    名義タイプ亜種


写真数: 40枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産と同じ亜種である。やや大型のタテハチョウである。最近は,個体数が非常に少なくなってきている。各種の花を訪れ,腐った果実や獣糞にも集まる。
【雌  雄】 ♀は,翅が赤黄色になるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1000m)の常緑広葉樹林,海岸林に見られる。
 南投縣南山溪の樹林に入る林道の手前にあるセンダングサの草原(標高920m)で見つけることができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部。東部,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に,台湾や日本と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】  リュウキュウムラサキに似ているが,本種の♂は,後翅裏面の白帯が発達することで区別することができる。

・リュウキュウムラサキ  (台湾産)   Hypolimnas bolina kezia (Butler, 1878)    台湾亜種


写真数: 116枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 やや大型のタテハチョウである。♂は占有行動をするので,撮影はしやすかった。翅表の斑紋は,変異が大きく,下記のような亜種が存在し,亜種間での交雑も起こっている。
   台湾亜種 H.bolina kezia (Butler, [1878])  ※ ♀の前翅表面の白斑はあまり発達しない
   大陸亜種 H.bolina jacintha (Drury, [1773])  ※ ♀の後翅表面の白斑や白帯は発達する
   名義タイプ亜種, ジャワ亜種 H.bolina bolina (Linnaeus, 1758)  ※ ♀の前翅表面に赤斑が出現する
   フィリピン亜種 H.bolina philippensis (Butler, 1874)  ※ ♀の前翅表面の白斑は,よく発達する
   ミクロネシア亜種 H.bolina rarik (Eschscholtz, 1821) ※ ♀の前翅表面に赤斑が発達し,外縁には黄赤色の斑紋が広がる
● リュウキュウムラサキの5亜種の分布図  ※ クリックすると拡大図があります

(引用) 福田晴夫・二町一成 「リュウキュウムラサキの諸問題」  Spec.Bu1L Lep .Soc.Jap.,(6): 35.68,1988.「蝶類学の最近の進歩」 より
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,様々なタイプの斑紋があるが,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2000m)の常緑広葉樹林,海岸林に見られる。
 台湾の北部,中部山岳,南部,離島など各地で見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,上海市に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】  ヤエヤマムラサキ,メスアカムラサキに似ているが,本種は,より大型で,後翅裏面の白斑があまり発達しないこと,ヤエヤマムラサキのように,後翅の翅形が直線的にならないことで区別することができる。

・リュウキュウムラサキ  (台湾産)   Hypolimnas bolina jacintha (Drury, [1773])     大陸亜種


写真数: 1枚
(参考:タイ産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。やや大型のタテハチョウである。♀は,後翅表面の白帯が発達する。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 夏から秋にかけて記録がある。
【生息地】 各地で記録があるが,非常に少ない。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキの台湾亜種の欄を参照)

・リュウキュウムラサキ  (台湾産)   Hypolimnas bolina bolina (Linnaeus, 1758)     名義タイプ亜種, ジャワ亜種


写真数: 1枚
(参考:日本産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。やや大型のタテハチョウである。♀は,前翅表面に赤斑が発達する。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 夏から秋にかけて記録がある。
【生息地】 各地で記録があるが,非常に少ない。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキの台湾亜種の欄を参照)

・リュウキュウムラサキ  (台湾産)   Hypolimnas bolina philippensis (Butler, 1874)     フィリピン亜種


写真数: 1枚
(参考:フィリピン産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。やや大型のタテハチョウである。♀は,前翅表面に赤斑が発達する。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 夏から秋にかけて記録がある。
【生息地】 各地で記録があるが,非常に少ない。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキの台湾亜種の欄を参照)

・リュウキュウムラサキ  (台湾産)    Hypolimnas bolina rarik (Eschscholtz, 1821)    ミクロネシア亜種


写真数: 3枚
(参考:グァム島産)


出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 迷蝶,偶産蝶である。やや大型のタテハチョウである。♀は,前翅表面に赤斑が発達する。
【雌  雄】 ♂は,前翅裏面の中室外側と後翅裏面の中央に白帯が現れ,後翅表面中央に青藍色の斑紋があり,♀は,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出ることはないので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 夏から秋にかけて記録がある。
【生息地】 各地で記録があるが,非常に少ない。
【分  布】  種としては,台湾以外では,パキスタン,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島(シンガポールラオスタイベトナム),フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ミクロネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部,朝鮮半島,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,西蔵區,陳西省,山西省,河南省,雲南省,四川省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H.bolina jacintha が分布している。
【近似種】 (リュウキュウムラサキの台湾亜種の欄を参照)

・ヤエヤマムラサキ  (台湾産)   Hypolimnas anomala anomala (Wallace, 1869)     名義タイプ亜種


写真数: 8枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。やや大型のタテハチョウである。各種の花を訪れ,腐った果実や獣糞にも集まる。
【雌  雄】 ♀は,後翅表面中央に青藍色の斑紋が出るので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の低標高(〜500m)の海岸林に見られる。
 台湾本島では,土着しておらず,偶産的に発生している。土着しているのは,本島の南東部にある緑島のみで,蘭嶼でも偶産的に発生するだけである。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,日本の南西諸島に分布している。
 中国には分布していない。
【近似種】 リュウキュウムラサキに似ているが,本種は,後翅の翅形が直線的になることで区別することができる。



コムラサキ亜科〜クビワチョウ亜科は,ここをクリックすると見ることができます

ジャノメチョウ亜科1は,ここをクリックすると見ることができます

ジャノメチョウ亜科2は,ここをクリックすると見ることができます。(容量の関係で,別ページにしてあります)




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