台湾の蝶 <セセリチョウ科- セセリチョウ亜科1


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アオバセセリ亜科,チャマダラセセリ亜科,チョウセンキボシセセリ亜科は,ここをクリックすると見ることができます

・ホシチャバネセセリ 弧弄蝶 (台湾産)   Aeromachus inachus formosana Matsumura, 1931   台湾亜種


写真数: 15枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点

★・・・1973年に記録あり
【特  徴】 日本産は,別亜種inachus である。小型のセセリチョウで,飛び方が非常に速く,直ぐに止まる習性がある。地上を低く飛ぶのでハエが飛んでいるような感じである。飛んでいるときは,よく見ていないと直ぐに見失なってしまうことが多かった。
【雌  雄】 ♂は前翅の黄白色斑の発達が悪く,尾端は縁毛が短く,♀は前翅の黄白色斑の発達がよく,尾端は産卵口が下向きになっているので,縁毛の上部が長く,下部は短いので,縁毛の形状が確認できれば,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年2回発生し,3月〜9月上旬に見られ,個体数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(300m〜2500m)の常緑広葉樹林周辺,がけ崩れの周辺で見られるが,稀である。
 1973年3月には南投縣南山溪で1♂を採集した。太平山鳩之澤宜蘭縣清水溪で見ることができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,中国の中部・東北部,朝鮮半島,ロシア南部,日本の東北地方以南に分布し,台湾産は分布の南限に当たる。
 中国では,黒竜江省,吉林省,浙江省,甘粛省,山西省,山東省,河南省,陳西省,湖北省,河西省,福建省,四川省,貴州省,雲南省,上海市に分布している。福建省,浙江省,上海市に分布するものは,台湾亜種 A.inachus formosana で,それ以外の河西省などに分布するものは,別亜種 jiujianganus である。
【近似種】  ムシャホシチャバネセセリ,バンダイホシチャバネセセリなどに似ているが,本種は,前翅裏面の中室外側の黄白点列が逆くの字型になり,後翅裏面に黄白点列が各所に出現するので,容易に区別することができる。

・ムシャホシチャバネセセリ 霧社弧弄蝶 (台湾産)   Aeromachus matudai (Murayama, 1943)   台湾特産種

♂ 表
写真数: 2枚

♂ 裏
出現頻度
☆☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  原記載で示されている特徴を保有する個体は,これまでほとんど得られていないこと,これまで,本種として記録されたデータは,その大半がバンダイホシチャバネセセリの同定誤りとのことが,『日本鱗翅学会誌YADORIGA No.251』 に記されている。
 1950年代以降は,正確な記録がなく,絶滅したものと考えられる。
 小型のセセリチョウで,生活史は未知。
【雌  雄】 ♂の尾端は縁毛が円筒形に広がり,♀の尾端は産卵口が下向きになっているので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 6月に記録されている。
【生息地】 台湾の中部の霧社で記録された。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  バンダイホシチャバネセセリに似ているが,本種は,後翅裏面に黄色斑がほとんど出ないこと,前翅裏面の黄斑列が円弧状にならず,前縁部から4つ目と5つ目の黄斑が顕著に外側にずれることで区別することができる。


ホシチャバネセセリ属は,現在18種が記載されており,中国とその近隣国で主に採集されている。(下記はその一部)
 ※ 学名をクリックすると,その画像を見ることができるものもあります
学名
分布
Aeromachus piceus Leech, 1894
浙江省,四川省,雲南省
海南省,雲南省。ミャンマー中部,タイ北部
(上記の別亜種) A.stigmata shanda Evans, 1949
海南島
浙江省,海南省,雲南省。マレーシア,インド
Aeromachus catocyanea (Mabille, 1879)
雲南省
Aeromachus propinquus Alpheraky, 1897
雲南省
Aeromachus pseudojhora Lee, 1962
雲南省南部
Aeromachus monstrabilus Huang, 2003
チベット
ビルマ,タイ

・バンダイホシチャバネセセリ 萬大弧弄蝶 (台湾産)   Aeromachus bandaishanus Murayama & Shimonoya, 1968   台湾特産種


写真数: 115枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  小型のセセリチョウで,飛び方が非常に速く,直ぐに止まる習性がある。交尾した後の♀は,♂が近寄って来ると,前翅を震わせ,交尾を拒否する行動をする様子も観察することができた。
 2018年の調査では,新たに52頭を確認し,324枚の写真を分析することができた。得られたデータを統計学的に処理し,近似種ムシャホシチャバネセセリと思われる個体について,統計学的な同定を実施し,日本鱗翅学会誌に論文 台湾特産種バンダイホシチャバネセセリとムシャホシチャバネセセリの斑紋変異の有意差についてを発表した。
 2019年の調査では,2018年に多数の個体が発生した場所を数回調べたが,訪花植物が刈られ,花がほとんど咲いていないために,1頭を見つけることができただけであった。しかし,碧緑の他の場所で,のべ4頭を確認でき,南部の玉山の南東麓の向陽国家森林区でも4頭を確認することができた。
【雌  雄】 ♂の尾端は縁毛が円筒形に広がり,♀の尾端は産卵口が下向きになり,翅形もやや丸くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 5月下旬〜8月に,年1回発生し,個体数は少ない。
【生息地】  台湾の中・高標高(1000m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られるが,稀である。
 ちなみに中部貫公路,南部貫公路は,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  ホシチャバネセセリ,ムシャホシチャバネセセリに似ているが,本種は,後翅裏面に黄色斑がほとんど出ないこと,前翅裏面の亜外縁の黄白斑列が,若干の個体変異はあるものの,おおむね円弧状になり,ムシャホシチャバネセセリのように顕著に突出しないことで区別することができる。

※ (参考) 論文 台湾特産種バンダイホシチャバネセセリとムシャホシチャバネセセリの斑紋変異の有意差について

・タケウチセセリ 黄點弄蝶 (台湾産)   Onryza maga takeuchii Matsumura, 1929   台湾亜種


写真数: 26枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 小型のセセリチョウで,森林の周辺部の明るい場所を好む習性があり,♂は,川ぞいの濡れた場所などで吸水行動を行い,各種の花も訪れる。
【雌  雄】 ♂は,前翅中室の2つの黄白斑が融合し中央の斑が基部側に延びること,前翅の翅頂付近の黄白斑が小さくなること,♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 4月下旬〜7月に,年1回発生する。
【生息地】  台湾の中部の中・高標高(1000m〜3000m)の常緑広葉樹林,亜高山の草原で見られる。
 この5年間,台湾の高地を探しまくってようやく花蓮市碧緑神木で撮影することができた。南山溪の奥地でも記録があり,花蓮縣合歡山,南横公路でも撮影された。ちなみに,合歡山周辺は,合歡山国家森林遊楽区で,法律で,昆虫の採集は禁止されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,中国の中部・南部・東部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,浙江省,湖北省,広東省,福建省,海南省に分布し,名義タイプ亜種 O.maga maga である。
【近似種】  ホソバキボシセセリの♀に似ているが,本種は,前翅方面の黄斑列がどれもほぼ同じ大きさで,中室には2つの黄斑が現れること,後翅裏面の亜外縁の黄色斑が2つ現れること,前翅前縁には斑紋がないことで区別することができる。

・キスジチャバネセセリ 黄灣脈弄蝶 (台湾産)   Praethoressa horishana (Matsumura, 1910)   台湾特産種


写真数: 64枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  Hsu et al. (2019)の研究により,属名が Thoressa から Praethoressa に変更された。
 日本のコチャバネセセリと同種で台湾亜種である可能性もある。日本のコチャバネセセリの食草は,タケ類で,本種の食草は,ススキ類であることからして,別種として扱われることが多い。
 小型のセセリチョウで,飛び方が非常に速い。止まっても,すぐに飛び立ってしまう習性があり,撮影は非常に難しい種である。
【雌  雄】 ♀は前翅表面の黄白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年数回発生し,3月中旬〜11月中旬に見られ,個体数は非常に少ない。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1500m)の常緑広葉樹林に見られ,稀である。
 新北市烏来区福山村で確認することができた。台湾南部の屏東縣でも記録された。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】 なし

・キマダラコチャバネセセリ 昏列弄蝶 (台湾産)   Halpe gamma Evans, 1937


写真数: 46枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 小型のセセリチョウで,飛び方が非常に速い。止まっても,すぐに飛び立ってしまう習性がある。やや大型の種で,前後翅の外縁にある長円形の黄色斑紋列が特徴的であるので,止まれば,本種とすぐに確認することができる。
【雌  雄】 ♀は前翅表面中室の白斑が発達し,後縁部の白斑があるので,翅が開いた状態では区別することができるが,閉じた状態では,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年数回発生し,5月〜12月上旬に見られ,個体数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(200m〜1600m)の常緑広葉樹林に見られる。
 台東市の知本渓谷南投縣恵孫林場拉拉山上巴陵で確認することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ベトナム北部,中国の南西部・南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,浙江省,福建省,四川省,貴州省,広西省,西蔵區に分布している。浙江省,四川省などに分布するものは,別亜種 H.gamma nephele で,西蔵區の東南部に分布するものは,別亜種 H.gamma aucma である。
【近似種】  ホソバキボシセセリなど近似種は多いが,本種は,裏面亜外縁に長円形の円弧状に並ぶ黄白斑列があることで区別することができる。

・ホソバセセリ 白斑弄蝶 (台湾産)   Isoteinon lamprospilus formosanus Fruhstorfer, 1911   台湾亜種


写真数: 76枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】  日本産は,名義タイプ亜種lamprospilus である。日本産のホソバセセリは,個体変異は少ないが,台湾産のホソバセセリは,個体変異が大きい。特に,後翅裏面の変異は大きく,斑紋の大きさが違っていたり,一つ一つの斑紋が横長に変異したりして,別種と思えるほどであった。
 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,すぐに止まる習性がある。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年数回発生し,3月〜12月上旬に見られる。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台東市の知本渓谷中部山岳の南山渓本部渓拉拉山の下巴陵(標高656m),新平市の汐平路仁愛橋高雄市直瀬溪太平山鳩之澤宜蘭粗坑溪苗栗縣三義台北市剣南山南投縣恵孫林場,高雄市田寮區,新北市瑞芳區南雅,台東縣霧台郷で見ることができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ベトナム北部,中国の南西部・南部,日本の中部地方以西に分布する。
 中国では,浙江省,江西省,福建省,湖北省,広東省,海南省,広西省,四川省に分布している。中国に分布するものは,日本と同じで,名義タイプ亜種 I.lamprospilus lamprospilus である。
【近似種】 なし

・クロセセリ 袖弄蝶 (台湾産)   Notocrypta curvifascia curvifascia (C. & R. Felder, 1862)


写真数: 102枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産と同じ亜種である。やや大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。非常に速く飛ぶが,すぐに止まる習性がある。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】  周年,年数回発生しており,発生数はかなり多い。
 3月上旬,6月では,長い知本渓谷の中でも,特定な場所で発生しており,発生地では,かなりの数の個体を確認することができた。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1500m)の常緑広葉樹林,熱帯雨林,海岸林で見られる。
 台東市の知本渓中部山岳の南山渓本部渓拉拉山の下巴陵(標高656m),高雄市宝来直瀬溪台北市立動物園虫虫探索谷新北市烏来区福山村新平市の汐平路仁愛橋太平山鳩之澤羅東新城溪羅東清水溪拉拉山上巴陵台北市福州山新北市烏来区桶後林道谷関八仙山,高雄市桃源區籐枝,台南市東山區で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,インドネシア,中国の南西部・南部,日本の南西諸島・九州に分布し,台湾産,日本産は分布の東限に当たる。
 中国では,四川省,雲南省,香港に分布し,台湾,日本と同じ名義タイプ亜種である。
【近似種】  アリサンクロセセリに似ているが,本種は,前翅裏面の前縁に白線が現れないことで区別することができる。

・アリサンクロセセリ 連紋袖弄蝶 (台湾産)   Notocrypta feisthamelii arisana Sonan, 1930   台湾亜種


写真数: 10枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  やや大型のセセリチョウで,クロセセリと特徴は同じである。飛んでも直ぐに止まる習性がある。
 アリサンクロセセリは,台湾には次の2亜種が生息している。
     N. feisthamelii arisana Sonan, 1930         台湾亜種
     N. feisthamelii alinkara Fruhstorfer, 1911     フィリピン亜種
 台湾亜種は,台湾北部と中南部の山岳地帯に分布しており,非常に珍しい種である。
 台湾の南西部にある蘭嶼では,フィリピン亜種が生息し,島の南東部で見ることができた。
【雌  雄】 ♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 4月〜8月に,年1・2回,発生する。
【生息地】 台湾の北部と南部の中・高標高(300m〜2000m)の常緑広葉樹林に生息する。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,中国の南西部・南部・東部,フィリピンに分布する。
 中国では,四川省,貴州省,広西區に分布し,別亜種 N.feisthamelii rectifasciata である。
【近似種】  クロセセリに似ているが,本種は,前翅裏面の前縁に白線が現れるので区別することができる。

・アリサンクロセセリ 連紋袖弄蝶 (台湾産)   Notocrypta feisthamelii alinkara Fruhstorfer, 1911   フィリピン亜種


写真数: 32枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 やや大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,センダングサなどの花によく集まる。♂は,占有行動をし,縄張りに入ってきた他の♂を追い回していた。蘭嶼には,クロセセリは分布しない。
【雌  雄】 ♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年数回発生し,周年に渡って見られ,個体数は少なくない。
【生息地】  台東市の離島である蘭嶼のみに生息し,低標高(〜500m)の熱帯雨林,海岸林の周辺や道路わきの草むらに生息する。
 蘭嶼の南東部では,かなりの数の個体を確認することができたが,他の場所では少なかった。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,中国の南西部・南部・東部,フィリピンに分布する。
 中国では,四川省,貴州省,広西區に分布し,別亜種 N.feisthamelii rectifasciata である。
【近似種】  クロセセリに似ているが,本種は,前翅裏面の前縁に白線が現れるので区別することができる。

・オオシロモンセセリ 薑弄蝶 (台湾産)   Udaspes folus (Cramer, [1775])


写真数: 32枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産と同じ亜種である。やや大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,すぐに止まる習性がある。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年数回発生し,周年,見られるが,個体数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1000m)の常緑広葉樹林,熱帯雨林,海岸林の周辺に見られる。
 台東市の知本渓谷台東市の離島である蘭嶼高雄市宝来,台南市東山區,新北市瑞芳區南雅で確認することができた。社頂自然公園でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,インドネシア,中国の南西部・南部・東部,日本の南西諸島・九州に分布し,台湾産,日本産は分布の東限に当たる。
 中国では,浙江省,江西省,湖南省,福建省,広東省,海南省,広西區,雲南省,四川省,西蔵區に分布している。
【近似種】 なし

・クロボシセセリ K星弄蝶 (台湾産)   Suastus gremius gremius (Fabricius, 1798)    名義タイプ亜種


写真数: 39枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のセセリチョウで,非常に速く飛ぶため,飛んでいるときは本種を他の種から区別することはできないが,花に止まると,比較的長く止まっている習性がある。
【雌  雄】 ♀は,翅形が丸くなり,前翅中室の白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】
 周年,年数回発生しているが,発生数はあまり多くない。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の南部にある墾丁国家公園社頂自然公園台東市知本溪知本溪楽山高雄市寿山高雄市直瀬溪台北市剣南山南投縣恵孫林場,台南市東山區,高雄市田寮區,台南市龍崎區,新北市瑞芳區南雅台北市剣南蝶園,台東縣霧台郷で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,中国の南西部・南部・東部,日本の八重山諸島に分布し,台湾産,日本産は分布の東限に当たる。
 中国では,福建省,香港,海南省,雲南省,西蔵區,上海市に分布している。
【近似種】 なし

・バナナセセリ 香蕉弄蝶 (台湾産)   Erionota torus Evans, 1941 


写真数: 42枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 大型のセセリチョウで,バナナの枯葉や幹,バナナの木の近くの暗い場所の樹木に止まることが多く,日陰を好み,夕方や曇った日に活動する習性がある。非常には速く飛ぶが,すぐに止まる。しかし,人の気配には敏感である。
【雌  雄】 雌雄同形で,生態写真では,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生する。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1000m)の常緑広葉樹林に見られる。
 台北市の剣南胡蝶歩道にあるバナナ林で見つけることができた。ここは,農薬を使っていないので,多数の幼虫が生息していた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,中国の南西部・南部・東部,日本の南西諸島に分布している。
 中国では,浙江省,福建省,広東省,江西省,雲南省に分布している。
【近似種】 なし

・ニイタカキマダラセセリ 臺灣赭弄蝶 (台湾産)   Ochlodes niitakanus (Sonan, 1936)   台湾特産種


写真数: 104枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花に飛来したときは,ゆっくりと吸蜜する習性がある。
【雌  雄】 ♂は,前翅中央の黄白斑が細長くなり,♀はほぼ四角形なり,前翅翅頂に3つの黄白色斑が鮮明に現れること,翅形が丸くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】  4月〜10月上旬に,年数回,発生する。
 奥萬大では,7月上旬が最盛期で,花に飛来している6頭を確認することができた。
【生息地】  台湾の中標高・高標高(600m〜2800m)の常緑広葉樹林に見られる。
 標高1000m以上の場所に見られるといくつかの文献には書かれているが,低標高の太平山鳩之澤(標高536m)でも撮影することができた。その他,中部山岳の阿里山沼平(標高2274m),南投縣奥萬大拉拉山上巴陵南投縣梅峰花蓮市碧緑慈恩花蓮市碧緑神木桃園市林班口で撮影することができた。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  シルビアキマダラセセリに似ているが,本種は,前翅中室の黄白色斑が1つ,もしくは2つあっても分離すること,後翅裏面の黄白色斑は小さく,不鮮明であることで区別することができる。
 

・シルビアキマダラセセリ 菩赭弄蝶 (台湾産)   Ochlodes bouddha yuchingkinus Murayama & Shimonoya, 1963   台湾亜種


写真数: 18枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速い。種名に変遷があり,subhyalina であったり, siva であったりしたが,現在は,bouddha となった。
【雌  雄】 ♂は裏面の色が黄褐色になり,翅形がとがり,♀は前翅中室の白斑が発達し,裏面の色が黒褐色になり,翅形が丸くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年1回,6月〜8月に発生する。
【生息地】  台湾の北中部の中標高・高標高(1000m〜2600m)の常緑広葉樹林に見られる。
 阿里山の沼平(標高2274m),梨山思源(標高2028m)で確認することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島の北部,中国の南西部・南部,東部,北部に分布し,台湾産は分布の南東限に当たる。
 中国では,西蔵區から福建省,黒竜江省まで広くに分布し,いくつかの亜種に分かれている。
【近似種】  ニイタカキマダラセセリに似ているが,本種は,前翅中室の黄白色斑が2つあり接触すること,後翅裏面の黄白色斑は大きく,鮮明であることで区別することができる。
 

・タイワンキマダラセセリ 黄斑弄蝶 (台湾産)   Potanthus confucius angustatus (Matsumura, 1910)   台湾亜種


写真数: 86枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】 小型のセセリチョウで,日本産のキマダラセセリと習性がよく似ており,飛び方が速い。各種の花を訪れるが,比較的短時間で飛び去ってしまうことが多い。
【雌  雄】 ♀は翅形が丸みを帯び,前後翅亜外縁の黄色斑の外側にある黒帯が幅広くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生しており,発生数はかなり多い。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1000m)の常緑広葉樹林,熱帯雨林,海岸林で見られる。
 樹林の周辺の草原で撮影でき,離島の台東縣蘭嶼でも見られた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,インドネシア,中国の南西部・南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,浙江省,江西省,湖北省,福建省,広東省,広西區,雲南省,海南省に,名義タイプ亜種 P.confucius confucius が分布している。
【近似種】  近似種は数種あるが,本種は,小型で,前翅表面の黒帯は,前翅の前縁まで達し,後翅裏面の黄斑が,半円状になること,後翅裏面の黄斑を分離する黒線が不鮮明で,つながって見えることで区別することができる。
 

・ウスイロキマダラセセリ 淡黄斑弄蝶 (台湾産)    Potanthus pava pava (Fruhstorfer, 1911)   名義タイプ亜種


写真数: 7枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 小型のセセリチョウで,飛び方が非常に速い。
【雌  雄】 ♀は後翅の翅形が丸みを帯び,前翅表面基部の黒斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾の南部の低・中標高(〜1000m)の常緑広葉樹林,熱帯雨林,海岸林で見られる。
 台東縣蘭嶼で撮影することができた。台南市新化區でも撮影されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,フィリピン,中国の南西部・南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,浙江省,江西省,湖北省,福建省,広東省,広西區,雲南省,貴州省,海南省,四川省,西蔵區に分布している。
【近似種】  タイワンキマダラセセリに似ているが,体長はやや大きく,がっしりしており,裏面の黄色斑は,境界線があまり鮮明でないことなどで区別することができる。

・モウシキマダラセセリ 墨子黄斑弄蝶 (台湾産)    Potanthus motzui Hsu, Li & Li, 1990   台湾特産種


写真数: 17枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 小型のセセリチョウで,他のキマダラセセリ類とは,飛び方が異なり,ゆっくりと弱々しく飛ぶ習性がある。
【雌  雄】 ♀は翅形が丸みを帯び,前後翅亜外縁の黄色斑の外側にある黒帯が幅広くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生しているが,発生数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中標高(100m〜1400m)の常緑広葉樹林,熱帯雨林で見られる。
 中部山岳の南投縣本部溪台東市の知本渓知本渓楽山新北市烏来区福山村太平山鳩之澤屏東縣大漢山で撮影することができた。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  タイワンキマダラセセリに似ているが,本種は,翅表,翅裏とも地色の黒褐色がより黒くなり,後翅裏面の黄斑が黒条によって明確に分離されるので区別することができる。

・ホウライキマダラセセリ 蓬莱黄斑弄蝶 (台湾産)   Potanthus diffusus Hsu, Chiba & Tsukiyama,2005   台湾特産種


写真数: 8枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 小型のセセリチョウであるが,Potanthus の中では,最も大型である。
【雌  雄】 ♀は翅形が丸みを帯び,前後翅亜外縁の黄色斑の外側にある黒帯が幅広くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生しているが,発生数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中標高(300m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。従来,生息地は1400m程度までの標高とされていたが,2019年7月11日に,標高2000mを超える碧緑で撮影することができた。
 台東市の知本渓,台東縣達仁區,花蓮市碧緑で撮影することができた。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  モウシキマダラセセリやタイワンキマダラセセリに似ているが,本種は,後翅裏面の後角近くの亜外縁の黄色斑と後角までの幅が広いことで区別することができる。

・タケアカセセリ ェ邊橙斑弄蝶 (台湾産)   Telicota ohara formosana Fruhstorfer, 1911


写真数: 71枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 中型のセセリチョウで,短時間しか止まらない習性がある。
【雌  雄】 ♂は前翅中央の黒帯に性標が現れ,♀は翅形が丸みを帯び,前後翅亜外縁の黄色斑の外側にある黒帯が幅広くなるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生しているが,発生数はあまり多くない。
【生息地】
 台湾の低・中・高標高(〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 中部山岳地帯にある南山渓墾丁国家公園台東市知本社頂自然公園南投縣廬山温泉奥萬大陽明山の横峯古道新北市汐平路仁愛橋台北市立動物園虫虫探索谷太平山鳩之澤羅東新城溪新北市烏来区福山村新北市熊空台北市聖人瀑布拉拉山上巴陵,台南市東山區,高雄市桃源區籐枝で見ることができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部・東部に分布している。
 中国では,浙江省,江西省,湖北省,福建省,広東省,広西區,雲南省,貴州省,海南省,四川省に分布し,台湾と同じ亜種T.ohara formosana である。
【近似種】  ホリシャアカセセリ,ネッタイアカセセリに似ているが,裏面が全体的に黒っぽいこと,♂は前翅表面中室の性標がとても細いこと,♀は前翅中室の黒帯が前縁部まで届くことで区別することができる。ホウライキマダラセセリ,モウシキマダラセセリ,タイワンキマダラセセリにも似ているが,本種は,前翅表面の翅頂近くの黄色斑の外側の輪郭線が曲線状になり,前縁部の3斑の境界線が鮮明でクサビ形になるので,区別することができる。
 
 

・ホリシャアカセセリ 竹邊橙斑弄蝶 (台湾産)   Telicota bambusae horisha Evans, 1934


写真数: 141枚


出現頻度
★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 中型のセセリチョウで,人の気配に敏感で,短時間しか止まらない習性がある。
【雌  雄】 ♂は前翅中央の黒帯に性標が現れ,♀は黒斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】  周年,年数回発生しており,発生数はあまり多くない。
 タケアカセセリよりは,数多く発生しており,5月下旬には,羅東新城溪では,数十頭の個体を見ることができた。
【生息地】
 台湾の低・中標高(〜1300m)の常緑広葉樹林,竹林で見られる。
 5月下旬,羅東新城溪では,数十頭の個体を見ることができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部・南部・東部に分布している。
 中国では,浙江省,江西省,湖南省,福建省,広東省,海南省,広西區,雲南省,四川省,西蔵區,上海市に分布している。
【近似種】  タケアカセセリ,ネッタイアカセセリに似ているが,♂の前翅表面中室の性標は,黒斑の中央に広がること,♀は前翅中室の黒帯が前縁部まで届かず,黄斑で区切られること,後翅裏面の黄色斑の境界線は鮮明でなく,黄色斑の幅は同じであることなどで区別することができる。
 

・ネッタイアカセセリ 熱帶橙斑弄蝶 (台湾産)   Telicota colon hayashikeii Tsukiyama, Chiba & Fujioka, 1997


写真数: 19枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 日本産と同じ亜種である。中型のセセリチョウで,人の気配に敏感で,短時間しか止まらない。局所的に発生するので,撮影は難しい蝶の1つである。午前中は,開けた草原の明るい場所のセンダングサには集まらず,日陰になった場所に集まり,占有行動をする習性があることが分かった。さらに,止まっている個体に傘などで影を作ると,翅を開く習性があることも分かった。
【雌  雄】 ♂は前翅中央の黒帯に性標が現れ,♀は黒斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生しているが,発生数は少ない。
【生息地】
 台湾の低標高(〜600m)の常緑広葉樹林,河川堤防,水田・沼周辺の草地で見られる。
 台湾の南東部の社頂自然公園,高雄市山上區,台東縣池上郷で見ることができた。高雄市田寮區でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,ヒマラヤ,インドシナ半島,フィリピン,ボルネオ島,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部・東部,中国の南西部・南部,日本の八重山諸島に分布している。
 中国では,浙江省,江西省,湖南省,福建省,広東省,海南省,広西區,雲南省,四川省,西蔵區に分布している。
【近似種】  タケアカセセリ,ホリシャアカセセリに似ているが,本種は,翅頂がとがること,♂の前翅表面中室の性標は,黒斑の前縁部側に偏ること,♀は前翅中室の黒帯が前縁部まで届かず,黄斑で区切られ,裏面が全体的に黒っぽいことで区別することができる。



セセリチョウ亜科2は,ここをクリックすると見ることができます。(容量の関係で,別ページにしてあります)




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