台湾の蝶 <セセリチョウ科- アオバセセリ亜科 〜 チョウセンキボシセセリ亜科


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・トビイロセセリ 鸞褐弄蝶 (台湾産)   Burara jaina formosana (Fruhstorfer, [1911])   台湾亜種


写真数: 35枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 大型のセセリチョウで,非常に速く飛ぶ習性がある。ランタナの花によく集まる。日本に生息するキバネセセリと同じ属に分類され,大きさや斑紋が似ている。
【雌  雄】 ♂は前翅表面中室に黒褐色の性標があるので雌雄を区別できるが,生態写真では翅を開かないため,区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生し,幼虫で越冬する。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1300m)の海岸林,常緑広葉樹林で見られる。
 墾丁国家公園社頂自然公園南投縣本部溪苗栗縣三義新北市烏来陽明山二子坪新北市熊空拉拉山上巴陵で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,中国の南西部から南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布している。
【近似種】 なし

・テツイロビロウドセセリ 鐵色絨弄蝶 (台湾産)   Hasora badra badra (Moore, [1858])    名義タイプ亜種


写真数: 25枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産と同じ亜種である。大型のセセリチョウで,非常に速く飛ぶ。花に訪れる姿は,見ることができなかった。ジャングルの暗い場所を好み,止まる場合は,葉の裏側に静止する習性がある。
【雌  雄】 ♀は前翅の黄白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年数回発生し,周年,幼虫成虫期が混在し,年数回発生する。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜1300m)の常緑広葉樹林で見られる。
 墾丁国家公園高雄市直瀬溪,台南市東山區,南投縣南山溪で撮影することができた。社頂自然公園でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,フィリピン,インドネシア,中国の南西部から南部,日本の西表島に分布し,台湾産,日本産は分布の東限に当たる。
 中国では,河南省,浙江省,福建省,江蘇省,湖北省,西川省に分布しており,台湾産と同じ亜種である。
【近似種】 オナシビロウドセセリに似ているが,本種は,後翅の翅形が三角形に近く,オナシビロウドセセリでは丸みを帯びることで区別できる。

・ニセテツイロビロウドセセリ 南風絨弄蝶 (ミクスタビロウドセセリ) (台湾産)   Hasora mixta limata Hsu & Huang,2008   台湾亜種


写真数: 8枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 大型のセセリチョウで,離島の蘭嶼のみに生息し,非常に速く飛ぶ。渓流近くに見られることが多く,各種の花を訪れる。
【雌  雄】 ♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年数回発生し,周年,年数回発生する。
【生息地】 台湾の蘭嶼の低標高(〜500m)の常緑広葉樹林,海岸林で見られる。
【分  布】  種としては,台湾以外では,フィリピン,ボルネオ,インドネシアに分布している。
 中国には分布していない。
【近似種】 テツイロビロウドセセリやオナシビロウドセセリに似ているが,本種は,後翅裏面の中室付近に黄白点がなく,全体的に緑色を帯びることなどで区別できる。

・オキナワビロウドセセリ 尖翅絨弄蝶 (台湾産)   Hasora chromus chromus (Cramer, [1780])    名義タイプ亜種


写真数: 9枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産は,別亜種 inermis である。大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。ジャングルの中では,すぐに葉の裏側に止まる。
【雌  雄】 ♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができるが,前翅の白斑が見えない場合は,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年数回発生し,周年,幼虫成虫期が混在し,数回発生している。
【生息地】  台湾の海岸地帯,低標高(〜500m)の公園等の植栽園,海岸林,道路周辺植栽,常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の南部のある社頂自然公園高雄市直瀬溪羅東新城溪苗栗縣三義高雄市左営區で撮影することができた。墾丁国家公園でも記録がある。
【分  布】 種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,フィリピン,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北部,中国の南西部から南部,東部,日本の南西諸島に分布している。 中国では,河南省,浙江省,福建省,江蘇省,湖北省,西川省,上海市に分布し,台湾産と同じ名義タイプ亜種が分布している。
【近似種】  タイワンビロウドセセリに非常によく似ているが,本種は,後翅後角が広がり,黒色斑が発達すること,前翅の翅形がとがること,雌は前翅表面中室の斑紋は本種では三日月なる個体が多いこと,前翅裏面の暗黒色斑の外側の境界部が直線的になることなどで区別できる。

・オナシビロウドセセリ 無尾絨弄蝶 (台湾産)   Hasora anura taiwana Hsu,Chiba & Tsukiyama, 2005   台湾亜種


写真数: 9枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。
【雌  雄】 ♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができるが,前翅の白斑が見えない場合は,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年1回発生し,3月〜9月上旬に見られる。
【生息地】  台湾の中部山岳地帯で見られ,低・中・高標高(500m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 分布域が狭く,なかなか撮影出来ない種の一つである。台湾の中部山岳にある南投縣南山溪台中市谷関,高雄市南横公路で撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島の北部,中国の南西部から南部,東部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に,別亜種 H. anura china が分布している。
【近似種】 オキナワビロウドセセリ,タイワンビロウドセセリに似ているが,本種は,後翅裏面の白帯が発達せず,後翅後角に黒斑部がないことで区別することができる。

・タイワンビロウドセセリ 圓翅絨弄蝶 (台湾産)   Hasora taminatus vairacana Fruhstorfer, 1911    台湾亜種


写真数: 62枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。雄は地面で吸水することもある。
【雌  雄】 ♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができるが,前翅の白斑が見えない場合は,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 周年,年数回発生し,幼虫成虫期が混在する。
【生息地】  台湾全土の低・中・高標高(100m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の中部山岳にある眉溪松崗(標高約2024mの高地),阿里山沼平太平山鳩之澤羅東新城溪羅東寒溪南投縣本部溪苗栗縣三義拉拉山上巴陵,高雄市桃源區籐枝で撮影することができた。社頂自然公園,高雄市南横公路でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,フィリピン,インドネシア,中国の南西部から南部に分布し,日本の八重山諸島でも記録がある。台湾産,日本産は分布の東限に当たる。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布している。広西區には,別亜種 H.taminatus bhavara が分布し,海南省周辺には,別亜種 H.taminatus malayana が分布している。
【近似種】  オキナワビロウドセセリに非常によく似ているが,本種は,後翅後角があまり突出ぜず,色が薄いこと,前翅の翅形が鈍角になること,雌は前翅表面中室の斑紋は本種では台形なる個体が多いこと,前翅裏面の暗黒色斑の外側の境界部がくの字型になることなどで区別できる。

・タイワンアオバセセリ 長翅弄蝶 (台湾産)   Badamia exclamationis (Fabricius, 1775)


写真数: 72枚


出現頻度
★★★★★
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産と同じ亜種である。大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。非常に速く飛ぶが,ランタナの花に良く集まる。花に止まっている時間は,非常に短く,人の気配を感じると直ぐに飛んでしまう習性がある。
【雌  雄】  ♂は,後脚のつけ根に長毛の束があり,♀は短毛になること,♀の前翅中室の白斑はよく発達するので,雌雄を区別することができる。ただし,痛んだ♂は,後脚の長毛が脱落したり,短くなっている場合もあるので,注意が必要である。


【生  態】 年数回発生しており,周年,幼虫成虫期が混在し,発生数はかなり多い。
【生息地】  台湾の低・中標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,海岸林,熱帯雨林で見られるる。
 墾丁国家公園社頂自然公園台東市知本渓高雄市宝来台北市立動物園虫虫探索谷,新北市南洞南投縣本部溪台東縣蘭嶼新北市烏来区福山村高雄市寿山羅東新城溪羅東寒溪苗栗縣三義新北市五堵台北市剣南山陽明山二子坪新北市熊空台北市剣南山新北市瑞芳區南雅,屏東縣霧台郷で撮影することができた。特に台湾南部,台東縣蘭嶼では,個体数が多かった。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,フィリピン,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北東部,中国の南西部から南部,東部,日本の八重山諸島に分布し,台湾産,日本産は分布の東限に当たる。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布し,台湾産と同じ亜種である。
【近似種】 なし

・アオバセセリ 腰M蝶 (台湾産)   Choaspes benjaminii formosanus (Fruhstorfer, [1911])    台湾亜種


写真数: 12枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産は,別亜種japonicus である。大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。花に止まっている場合は,ある程度の時間,止まっている。台湾産を日本産と同じ亜種とする説もあり,この場合,formosanus は,japonicus のシノニムとなる。
【雌  雄】 ♂は足の脛節に毛束があり,♀にはないので,足のつけ根を見ることができれば,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生し,幼虫・成虫期が混在している。
【生息地】  台湾全土の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の中部山岳の松崗(標高約2024mの高地)太平山鳩之澤新北市烏来区福山村新北市熊空南投縣南山溪で撮影することができた。陽明山の横峰古道でもChoaspes を見つけたが,撮影できず,本種か次種かは確認できなかった。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,朝鮮半島南部,インドシナ半島,スマトラ島,中国,日本の本州以南に分布している。
 中国では,西蔵區,四川省,陝西省,河南省,浙江省,湖北省,江西省,福建省,広東省,広西區,香港,雲南省に分布している。中国に分布するものは,日本と同じ亜種C. benjaminii japonicus である。
【近似種】  ニセアオバセセリと酷似しているが,本種は,裏面の黒条の幅が太く,後翅裏面前縁付近の黒条の幅は,条の間隔の2分の1〜3分の1になること,雌の翅表は暗緑色になることで区別できる。

・ニセアオバセセリ 褐翅腰M蝶 (台湾産)   Choaspes xanthopogon chrysopterus Hsu,1988   台湾亜種


写真数: 26枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  渓谷にある小さな沢の斜面で見つけることができた。大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速かったが,すぐに葉の裏面に止まる習性がある。
 台湾産は,特産亜種ではなく,名義タイプ亜種に含まれるという説もある。
【雌  雄】 ♀の表面は,青藍色があるので,表面が見える場合は区別することができ,♂は足の脛節に密生した毛束があり,♀にはないので,足のつけ根を見ることができれば,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年数回発生し,4月〜11月上旬に見られるが,発生数は少ない。
【生息地】  台湾の北部・中部に生息し,低・中・高標高(300m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 新北市烏来区福山村苗栗縣三義拉拉山上巴陵で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヒマラヤ,インドシナ半島北部,中国の南西部から南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,福建省に分布している。。
【近似種】  アオバセセリに似ているが,本種は,裏面の黒条の幅が狭く,後翅裏面前縁付近の黒条の幅は,条の間隔の4分の1程度になること,雌の翅表は青藍色になることで区別できる。
 アオバセセリの♂は足の脛節の毛束が大きく広がるが,本種の♂の脛節の毛束は,まとまって密生するので,区別することができる。

・マエキセセリ 雙帶弄蝶 (台湾産)   Lobocla bifasciata kodairai Sonan,1936   台湾亜種


写真数: 19枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。午前11時ころから正午にかけて活発に活動する習性がある。
【雌  雄】 雌は,前翅の白斑がよく発達し,白斑の基部側が直線的につながるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年1回発生し,6月〜8月に見られるが,発生地は限られる。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(500m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 分布域が狭く,なかなか撮影出来ない種の一つである南投縣仁愛郷ナールー湾で撮影することができた。台湾の中部山岳の屯原でも撮影されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島北部,中国の南西部から南部・東部・北部,韓国に分布している。
 中国では,北京,吉林省,遼寧省,黒竜江,山東省,河北省,山西省,河南省,湖北省,四川省,雲南省,広西區,福建省,広東省などに分布している。
【近似種】 なし

・タイワンキコモンセセリ 尖翅星弄蝶 (台湾産)    Celaenorrhinus pulomaya formosanus Fruhstorfer,1909   台湾亜種


写真数: 9枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,各種の花に集まり,動物の排出物,渓流で吸水することもある。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 6月〜9月に,年1回発生する。
【生息地】  台湾の中・高標高(1000m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 梨山思源(標高2028m)梨山晉元橋で撮影することができた。南投県仁愛郷屯原でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヒマラヤ,インドシナ半島北部,中国の南西部から南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,福建省に,別亜種C.pulomaya pulomaya が分布している。
【近似種】  キヒメキコモンセセリに似ているが,本種は,後翅表面の黄斑があまり発達せず,前翅表面の後縁部にある小白斑が1つになるか,2つの場合は,基部側の斑紋が黄色になることで区別することができる。

・ヒメキコモンセセリ K澤星弄蝶 (台湾産)    Celaenorrhinus kurosawai ,1960   台湾特産種


写真数: 5枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,陽だまりによく集まり,各種の花や動物の排出物にも集まる。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 7月〜9月に,年1回発生する。
【生息地】  台湾の中・高標高(1000m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 ちなみに,碧緑がある北部貫公路の明池国家森林遊楽区や拉拉山一体は,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  タイワンキコモンセセリに似ているが,本種は,後翅表面の黄斑があまり発達せず,前翅表面の後縁部にある2つの小白斑が大きくなることなどで区別することができる。

・ヒゲジロキコモンセセリ 小星弄蝶 (台湾産)   Celaenorrhinus ratna Fruhstorfer, 1909   台湾亜種


写真数: 10枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。梨山晉元橋では,横10m×縦5mほどの広さの山の斜面にある草地のみで見られた。数頭が縄張り争いをしながら飛翔し,ほとんど止まらない習性がある。その草地を離れて飛翔することはなかった。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年1回発生し,5月下旬〜10月に見られるが,発生地は限られる。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(500m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 分布域が狭く,なかなか撮影出来ない種の一つである。台湾の中部山岳の梨山晉元橋拉拉山上巴陵で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,ヒマラヤ,インドシナ半島北部,中国の南西部から南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布している。
【近似種】  ホリシャキコモンセセリに似るが,本種は,後翅表面の黄斑はやや発達し,前翅の中室の基部側に小白点が現れることで区別することができる。

・ホリシャキコモンセセリ 埔里星弄蝶 (台湾産)    Celaenorrhinus horishanus ,1960   台湾特産種


写真数: 17枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。花に止まっている場合は,ある程度の時間,止まっている習性がある。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年1回発生し,3月〜7月に見られるが,発生数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(500m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の中部山岳の南投縣奥萬大拉拉山上巴陵で撮影することができた。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  ヒゲジロキコモンセセリに似ているが,本種は,前翅表面の大きな2つの白斑が接して並ぶこと,その後縁側にある小白斑の位置が基部側にずれることなどで区別することができる。

・エサキキコモンセセリ 臺灣流星弄蝶 (台湾産)    Celaenorrhinus major Hsu,1990   台湾特産種


写真数: 24枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,陽だまりによく集まり,各種の花や動物の排出物にも集まる。
 本種は,従来,ベトナムに分布する C. oscula の亜種とされていたが,種に昇格された。しかし,種間差は微妙で,今後検討される可能性がある(宇野彰,日本鱗翅学会誌YADORIGA aD251)。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 6月中旬〜9月に,年1回発生する。
【生息地】  台湾の中・高標高(1000m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 ちなみに,碧緑桃園市上巴陵がある北部貫公路や拉拉山一体は,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  オオキコモンセセリに似ているが,本種は,後翅表面の黄斑がよく発達し,前翅表面の中室の外側にある小白斑が大きくなることなどで区別することができる。

・オオキコモンセセリ 大流星弄蝶 (台湾産)    Celaenorrhinus maculosus taiwanus Matsumura,1919   台湾亜種


写真数: 3枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,陽だまりによく集まり,各種の花や動物の排出物にも集まる。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 5月〜9月上旬に,年1回発生する。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(500m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 ちなみに,碧緑がある北部貫公路の明池国家森林遊楽区や拉拉山一体は,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,中国の南西部・南部。東部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,河南省,浙江省,福建省,江蘇省,湖北省,貴州省,四川省,上海市に分布している。中国に分布するものは,名義タイプ亜種C.maculosus maculosus である。
【近似種】  エサキキコモンセセリに似ているが,本種は,後翅表面の黄斑がよく発達し,前翅表面の中室の外側にある小白斑が小さくなることなどで区別することができる。

・アトキバネセセリ 臺灣窗弄蝶 (台湾産)    Coladenia pinsbukana Shimnoya & Murayama,1976   台湾特産種


写真数: 5枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点

●… 北部貫公路
▲… 南投縣阿木溪
【特  徴】 中型のセセリチョウで,1976年に記載されたが,その後の記録がなかった。しかし,2016年4月に呉 憲政氏によって再発見された。2017年4月には,林 本初氏によって撮影され,その写真を提供していただけた。 
【雌  雄】 ♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年1回発生し,4月に見られる。
【生息地】  台湾の南投縣仁愛郷阿木溪で採集され,新種として記載されている。
 2016年に台湾の北部の北部貫公路で再発見された。ちなみに,北部貫公路の明池国家森林遊楽区や拉拉山一体は,採集禁止である。 
【分  布】  台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
 中国には,Coladenia属が,7種類生息しているとされ,本種によく似た C. hoenei Evans,1939 が生息し,本種よりも前翅表面と後翅表面の白斑がよく発達する。C. hoenei は,河南省,浙江省,福建省に分布している。
【近似種】 後翅表面の斑紋が独特で,台湾には近似種はいない。

・ハッセンザンセセリ 黄襟弄蝶 (台湾産)    Pseudocoladenia dan sadakoe Sonan & Mitono,1936   台湾亜種


写真数: 18枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,独特の明褐色をしており,止まると翅をすぐに開く習性がある。危険を感じると,葉の裏側に止まる様子も確認できた。食草がある場所から離れず,♂が♀が羽化してくるのを待っているような様子であった。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年2回発生し,5月〜11月上旬に見られる。 
【生息地】  台湾の中部の一部と南部の・高標高(400m〜1500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 近年は,絶滅が危惧されており,台湾中部の発生地では,近年,記録がなく,絶滅した可能性が高い。南部の発生地でも,限られた場所に僅かの個体が生息しているに過ぎない。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド周辺,中国に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,浙江省,福建省,海南省,広西省,雲南省,四川省,上海市に分布している。四川省の周辺に分布するものは,別亜種P.dan dea,雲南省に分布するものは,別亜種P.dan festa,海南省,広西省に分布するものは,別亜種P.dan fabia,浙江省,福建省,上海市に分布するものは,別亜種P.dan decora である。
【近似種】 なし

・オオシロシタセセリ 小紋颯弄蝶 (台湾産)    Satarupa majasra Fruhstorfer,1909   台湾特産種


写真数: 29枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,中部山岳の各地で,稀に見ることはできる。ほとんど止まらない。花に飛来しているときは,あまり飛ばないので容易に撮影することができた。
【雌  雄】 ♂は,前翅の翅形が尖り,♀は,前翅の翅形がやや丸みを帯び,前翅表面の白斑がよく発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年1回発生し,5月〜9月に見られるが,発生数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(500m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 台湾の中部山岳の梨山晉元橋(標高1858m),拉拉山の下巴陵(標高656m)拉山上巴陵で撮影することができた。南投縣眉溪でも,本種か次種かは確認ができなかったが,Satarupa 属を見ることができた。
【分  布】  台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
 近似種 gopala は,インド,インドシナ半島,スマトラ島,中国南部に分布している。
【近似種】  タイワンオオシロシタセセリに似るが,本種は,前翅中室前縁部の白斑が大きくなること,前翅後縁の白斑が小さくなることで区別することができる。

・タイワンオオシロシタセセリ 臺灣颯弄蝶 (台湾産)   Satarupa formosibia Strand, 1927   台湾特産種


写真数: 23枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 大型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,中部山岳の各地で,稀に見ることはできる。ほとんど止まらない。花に飛来しているときは,あまり飛ばないので容易に撮影することができた。
【雌  雄】 ♂は,前翅の翅形が尖り,♀は,前翅の翅形がやや丸みを帯び,前翅表面の白斑がよく発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年1回発生し,5月〜9月に見られるが,発生数は少ない。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(800m〜2000m)の常緑広葉樹林で見られる。
 分布域が狭く,なかなか撮影出来ない種の一つである。台湾の中部山岳の拉拉山の上巴陵(標高1207m)で撮影することができた。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】  オオシロシタセセリに似るが,本種は,前翅中室前縁部の白斑が大きくなること,前翅後縁の白斑が小さくなることで区別することができる。

・オオクロボシセセリ 臺灣瑟弄蝶 (台湾産)    Seseria formosana (Fruhstorfer,1909)   台湾特産種


写真数: 62枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。ランタナの花に集まり,止まっている場合は,かなりの時間,静止している習性がある。
【雌  雄】 ♀は,腹部の先端の体毛が黄色になるので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年数回発生し,1月下旬〜12月に見られるが,個体数は多くない。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(〜2000m)の常緑広葉樹林,都市林で見られる。
 台湾の南部の墾丁国家公園社頂自然公園,中部山岳の南投縣奥萬大拉拉山の下巴陵台北市立動物園虫虫探索谷新平市の汐平路仁愛橋南投縣本部渓高雄市宝来苗栗縣三義陽明山二子坪台北市聖人瀑布南投縣南山溪南投縣恵孫林場台北市剣南山陽明山新園街,台東縣知本で撮影することができた。
【分  布】 台湾以外には分布せず,台湾の特産種である。
【近似種】 なし

・シロシタセセリ 白裙弄蝶 (台湾産)   Tagiades cohaerens cohaerens Mabille, 1914    名義タイプ亜種


写真数: 42枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】
 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。警戒すると葉の裏に静止する。一度止まるとなかなか動かない習性がある。
【雌  雄】 ♀は,若干翅形が丸くなり,前翅表面の中室の外側の白斑が発達し,後脚に長い白毛が密生するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 年数回発生し,1月下旬〜12月上旬に見られるが,個体数は多くない。
【生息地】  台湾全土の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,熱帯雨林,海岸林で見られる。
 台東市の知本渓谷南投縣本部渓南投縣奥萬大拉拉山下巴陵社頂自然公園苗栗縣三義拉拉山上巴陵新北市烏来区桶後林道で撮影することができた。台北市でも撮影された。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド北部,ヒマラヤ,インドシナ半島,中国の南西部から南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布し,別亜種T.cohaerens cynthia である。
【近似種】  コウトウシロシタセセリに似ているが,本種は,後翅表面の亜外縁の黒班が2列になることで区別できる。


・コウトウシロシタセセリ 熱帶白裙弄蝶 (台湾産)   Tagiades trebellius martinus Plotz, 1884


写真数: 14枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 日本産と同じ亜種である。中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。
【雌  雄】 新鮮な個体では,♂は翅表の地色が濃くなり,♀は前翅の白斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生しているが,個体数は少ない。
【生息地】  台湾の南部の低標高(〜500m)の熱帯雨林,海岸林で見られる。
 分布域が狭く,なかなか撮影出来ない種の一つである。墾丁国家公園社頂自然公園台東市の沖にある離島・蘭嶼,台南市龍崎區で確認することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,フィリピン,インドネシア東部,ニューギニア,日本の八重山諸島に分布し,台湾産,日本産は分布の北限に当たる。
 中国には,本種は分布せず,近似種のシナシロシタセセリ Tgiades litigiosa が広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省に分布している。
【近似種】  シロシタセセリに似ているが,本種は,後翅表面の亜外縁の黒班が1列になることで区別できる。

・ダイミョウセセリ 玉帶弄蝶 (台湾産)   Daimio tethys moori (Mabille,1876)    中国中・南部・台湾亜種


写真数: 43枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】  日本産は,別亜種tethys である。 日本産は,地理的変異,個体変異が大きいが,台湾産は,極めて小さく,後翅表面の白帯が発達する。
 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】  年数回発生し,周年,見られる。
 台湾の南部では,3月上旬には多数の個体が発生していた。
【生息地】  台湾全土の低・中・高標高(〜2500m)の常緑広葉樹林,熱帯雨林で見られる。
 墾丁国家公園台東市の知本渓拉拉山の下巴陵高雄市桃源台東市知本溪楽山苗栗縣三義拉拉山上巴陵新北市五堵台北市剣南山拉拉山上巴陵,屏東縣大漢山,台南市龍崎區で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島北部,中国,朝鮮半島,ロシア南部,日本の本州以南に分布し,台湾産は分布の南限に当たる。
 中国では,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,湖南省,江西省,浙江省,湖北省,河南省,山東省,山西省,河北省,遼寧省,吉林省,黒竜江省,上海市に分布している。
 中国の中部,南部,東部の四川省から浙江省にかけて分布するものは,台湾と同じ亜種D.tethys moori で,中国北東部の黒竜江省,吉林省,遼寧省には,日本と同じ亜種で名義タイプ亜種 D.tethys tethys が分布している。
【近似種】 なし

・ユウマダラセセリ 白弄蝶 (台湾産)   Abraximorpha davidii ermasis Fruhstorfer, 1914   台湾亜種


写真数: 51枚


出現頻度
★★☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 中型のセセリチョウで,飛び方が非常に速いが,花によく集まる。林道沿いの林で見られ,驚くと葉裏に静止する習性があり,この習性は,シロシタセセリやコウトウシロシタセセリ,ダイミョウセセリと同じであった。日中は,占有行動をとり,この習性もシロシタセセリやコウトウシロシタセセリと同じである。
【雌  雄】 生態写真では,顕著な違いはなく,雌雄を区別することは難しい。
【生  態】 年数回発生し,3月〜12月に見られ,個体数は多くない。
【生息地】  台湾の低・中・高標高(50m〜2500m)の常緑広葉樹林で見られる。
 南投縣本部渓梨山の晉元橋(標高1858m),拉拉山下巴陵(標高656m),太平山鳩之澤羅東寒溪高雄市直瀬溪高雄市高中林道南投縣恵孫林場拉拉山上巴陵花蓮市碧緑慈恩で撮影することができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インドシナ半島北部,中国に分布し,台湾産は分布の南限に当たる。
 中国では,山西省,河南省,湖北省,湖南省,江西省,浙江省,四川省,広東省,海南省,雲南省に分布している。雲南省に分布するものは,別亜種A. davidii esta で,それ以外の産地のものは,名義タイプ亜種 A.davidii davidii である。
【近似種】 なし

・ニセキマダラセセリ 小黄星弄蝶 (チビキマダラセセリ) (台湾産)   Ampittia dioscorides etura Mabikke, 1891


写真数: 33枚


出現頻度
☆☆☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 小型のセセリチョウで,沼や沢など,湿度の多い場所に生息している。各種の花を訪れ,地上で吸水することも多い。近年,台湾では,生息地の湿地が激減しており,本種の絶滅が心配されている。
【雌  雄】 ♂は前翅の黄色斑が発達するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生する。
【生息地】  台湾の低標高(〜1000m)の河岸,渓流沿い,淡水生湿地,水田周辺で見られる。
台南市新化區,台南市白河區,屏東縣牡丹郷東源の湿地の中にある草原で見られた。特に,屏東縣牡丹郷東源の湿地では,多数の個体が生息していたが,広い湿地の中で発生している場所は限られていた。ちなみに,屏東縣牡丹郷東源は自然保護公園で,昆虫採集は禁止されている。
【分  布】  種としては,台湾以外では,インド,インドシナ半島,ボルネオ島,フィリピン,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア北東部,中国の南西部・南部・東部に分布している。
 中国では,西蔵區,四川省,雲南省,貴州省,広西區,湖南省,広東省,海南省,福建省,湖南省,江西省,浙江省,湖北省,河南省,山東省,上海市に分布し,福建省,広東省,江西省,浙江省,上海市に分布するものは,台湾と同じ亜種で,それ以外に分布するものは,別亜種 A.dioscorides camertes である。
【近似種】  ホソバキボシセセリに似ているが,本種は前後翅表面の黄色斑が発達することで区別することができる。

・ホソバキボシセセリ 黄星弄蝶 (台湾産)   Ampittia virgata myakei (Matsumura, 1910)   台湾亜種


写真数: 150枚


出現頻度
★★★☆☆
分布域 と 記録地点
【特  徴】 小型のセセリチョウで,非常に速く飛ぶが,花によく集まる。花に静止しているときは,数十秒は吸蜜していることが多く,晴れているときは,なるべく日が体に当たらないような向きに止まる習性がある。裏面の斑紋は,個体変異が大きい。
【雌  雄】 ♂は前翅表面の黄斑が発達するが,前翅表面中央の斑紋は2個で,♀は中室後縁部に鮮明な黄斑があり,下の写真のように3〜4個の斑紋を形成するので,雌雄を区別することができる。
【生  態】 周年,年数回発生している。
【生息地】  台湾全土の低・中・高標高(〜2800m)の常緑広葉樹林で見られる。発生地では,数頭,まとまって見られることが多い。
 各所で見ることができた。
【分  布】  種としては,台湾以外では,中国の南西部から南部に分布し,台湾産は分布の東限に当たる。
 中国では,河南省,湖北省,湖南省,浙江省,江西省,福建省,広東省,四川省に分布している。中国に分布するものは,名義タイプ亜種 A.virgata virgataである。
【近似種】  ニセキマダラセセリに似ているが,前翅表面の斑紋が連続しないことや翅形がとがることで区別することができる。タケウチセセリに裏面がよく似ているが,本種は,前翅前縁に黒褐色と横褐色の細い条が交互に現れるので区別することができる。
 


セセリチョウ亜科1は,ここをクリックすると見ることができます

セセリチョウ亜科2は,ここをクリックすると見ることができます。(容量の関係で,別ページにしてあります)




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